さつきのブログ「科学と認識」

福島第一原発、アンダーコントロールで、わざと昨年の2倍の放射能を放出か

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 東電原発事故の放射能による土壌汚染の実態(核種構成の地域的な変化)を詳細に明らかにする文科省のプロジェクトが動き出し、私の所属する教室からも院生がかり出されている(ほとんどは自発的なボランタリー)。また、避難指示区域以外にも年間20 mSvを超えると予想される「ホットスポット」の存在が明らかにされ、放射線量の測定ポイントをさらに密に展開する必要性も指摘されている。
 
 ところで、日本の大地からの自然放射線量の分布図が日本地質学会のHP上で公開されていて、この図を貼り付けたブログ記事などもみかけるようになった。これは、地上1m高で実測された空間線量率(空気カーマと、その地域の岩石や土壌の放射性元素(カリウム:K, ウラン:U, トリウム:Th)の平均濃度との関係から経験的に求められた換算式による値(単位:μGy/h)である(注1)。この場合、ほとんどγ線によるものと考えて良いので、そのままμSv/hに置き換えても、大きな違いはない。
 
 この図を見ると、大地からの自然放射線量は地域ごとに大きなばらつきを示し、それ自体が「ホットスポット」を形成していることがわかる。全体としておよそ10倍の開きがあり、高い地域は0.127μGy/h以上となっている。
 
 関東圏の全自然放射線量(大地、大気、宇宙線からの合計)は、ほとんどの地域で0.05μGy/h以下であることからすると、大地成分だけで0.1μGy/hを超えるのは、かなり高い値と言えるが、花崗岩類が広く露出している中部地方や中国地方には、局所的に0.5 μGy/hを超えるところもあるのである。
 
福島第一原発由来の放射能で、東京都内においても比較的高い線量を示す「プチ・ホットスポット」と呼べる地点があるとの指摘があり、東京都も独自に調査をおこなうことになった。
 
「日刊ゲンダイ」の独自の調査によっても、最大で2.91μSv/hという、異常に高い地点の存在も明らかになっている。東京都内の場合は、かなり局所的な現象で、汚染物質を特定して、それを取り除くといったことも比較的容易に行えるのではないかと思う。
 
 一方、テレビ報道で、花崗岩の化粧板を貼ったビルの傍で放射線量を測定しているのを見かけた。建築石材のほとんどは中国、インド、北欧、南アなどから輸入されたもので、それらの中には、日本の平均的な花崗岩よりかなり高いK, U, Th含有量のものがある。大きなビルの玄関周りの化粧板としてよく見かける茶色っぽい卵形のカリ長石を主成分として含む花崗岩(石材名はバルチックブラウン、岩石学上の名称はラパキビ花崗岩)などは、特に高い放射線量を示すものがあるので、測定には注意を要する。
 
 この場合、β線に感度のあるサーベイメータを用いて、石材に接近した時にカウント率が急上昇する傾向があれば、建築石材が原因とわかるので要チェックである。ただし、建築石材の場合は、土埃になって吸い込んだり、地下水を汚染したりといった危険性はないので、それ自体を恐れる必要はないと思う。要は、原発事故による放射能と混同しないよう注意が必要ということである。
 
 身の回りには、比較的高い放射能を含むものがある。私が一番驚いたのは、ホームセンターで購入した砥石である。茶褐色の細粒の砂を焼き固めたように見えるものであったが、普通の花崗岩の40倍のβ線を放っていた(注2)。いろいろ調べて、砂粒の主成分がジルコン(ZrSiO4)という鉱物であることがわかった。おそらく、海外のジルコンサンドから作られたのだろう。ジルコンには、ウランやトリウムをそれぞれ最大2%程度含むものがあり、地質年代の測定に利用される。この場合は、台所で使用するものであり、口に入る危険もあるので、使用しないようにした。
 
-------------------
注1)この図の放射線量は、全国の河川底質の化学分析値から次式によって算出されたものである。
   D = 13.0 CK + 5.4CU + 2.7CTh (Beck et al.,1972)
 
 ここで、Dは、地上1m高での吸収線量率(nGy/h)、CKは重量%で表したカリウムの濃度、CUCThは、それぞれppmで表したウランとトリウムの重量濃度。分布図ではこの式で求められたDを千分の一にしてμGy/h単位で表示されている。
河川底質は、おもに上流域の平均的な地質を反映するので、実際に露出している岩石や土壌からの放射線量は、この図よりもさらに大きなばらつきを示し、かつてのウラン探鉱の候補地には、平均の100倍を超える所もある。
下記に、日本列島の平均地殻組成(Togashi,et al., 2000)、岩石標準試料から、平均的な花崗岩であるJG-1および比較的放射能の多い花崗岩であるJG-2K, U, Th含有量と、上式から求めたそれぞれの放射線量を示す。
 
 
日本列島の平均
JG-1
JG-2
K2O wt%
2.72
3.98
4.71
K wt%
2.28
3.34
3.95
U ppm
2.32
3.47
11.30
Th ppm
8.30
13.20
31.60
D μGy/h
0.065
0.098
0.198
 
注2)上記注1)に示した試料と平均的な組成のジルコン(U: 500 ppm, Th: 400 ppm)の1kg当たりのベクレルを算出すると下記のようになる。これらの放射能が問題になることがないのは、食する物ではないからである。
 
親核種
日本列島の平均
JG-1
JG-2
ジルコンサンド
K-40
714
1,044
1,236
0
U-238系列
401
600
1,955
86,488
U-235系列
15
22
71
3,129
Th系列
338
537
1,287
16,286
合計
1,467
2,204
4,548
105,903
 

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