さつきのブログ「科学と認識」

福島第一原発、アンダーコントロールで、わざと昨年の2倍の放射能を放出か

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 タイトルに書いた通りです。
 ぜひ、多くの方に読んでいただき、また、実際に活用していただきたいと思います。

 副題は、「“減思力げんしりょく”を防ぎ,判断力・批判力を育はぐくむために」

 監修は「福島大学 放射線副読本研究会」で、本年2月に結成された教員有志の組織とのことですが、先ずはその労に敬意を表したいと思います。

 「はじめに」の主部を引用します。

(前文略)
 汚染された地域では,高い放射線量のため,長期にわたって人の居住が制限される地域が生じました。事故以前に設定されていた年間の追加被ばく線量(医療除く)限度を超える放射線を浴びてしまったり,その恐れがあるために,多くの人々が避難を余儀なくされました。避難の途中で亡くなった方や,原発事故の影響を苦にして自殺に追い込まれた方もいました。東日本の各地で,水道水の摂取や一部の食品の摂取・出荷が制限されることとなり,日常生活にも大きな悪影響を及ぼしました。 
放射性物質は,その影響が収まるまでにとても長い期間を要するため,これから私たちは,放射線による被ばくの問題と向き合っていかなければなりません。 
 そのような中で文部科学省は,2011年10月に小・中・高校生向けの放射線副読本をそれぞれ作成しました(以下,新副読本と省略します)。新副読本は,福島第一原子力発電所の事故の後に作成されたものですが,事故に関する記述がほとんどなく,放射線が身近であることを強調し,健康への影響を過小に見せるなど,内容が偏っているという問題点が指摘されています。また,原発事故の前にも文部科学省と経済産業省資源エネルギー庁が作成した原子力に関する小・中学生向けの副読本(以下,旧副読本と省略します)があり,事故後に回収されたり,ウェブサイトから削除されたりしましたが,これらも原子力の推進側に偏った内容となっていました。
 今回の原発事故で教訓とすべき点の一つは,偏重した教育や広報により国民の公正な判断力を低下させるような,いわば“減思力げんしりょく”を防ぐことです。そして,放射線による被ばく,特に低線量被ばくによる健康への影響については,正確なことは分かっておらず,専門家の間でも見解が一致していません。このような「答えの出ていない問題」については,どのように考えていけばよいのでしょうか。 
 私たち,福島大学放射線副読本研究会のメンバーは,学問に携わる者として,また,原発事故によって被ばくした生活者として,このような不確実な問題に対する科学的・倫理的態度と論理を分かりやすく提示したいと考え,この副読本をまとめました。
(後略)

 最大の特徴は、倫理的な問題にも踏み込んだ検討がなされている点だと思います。

 私がキモだと思った部分を抜粋しておきましょう。15ページからの「放射線と被曝の問題を考える際のヒント」の項には「楽観派の人々の代表的な見解の例と,その妥当性を考える際のヒント」として、例えば次のように書かれています。

●放射線は,正しく怖がることが大切です 
 ・・・一方,低線量被ばくについては,その影響は解明されていません。専門家でも,安全と考える立場から,小さくてもリスクはあるとする立場まで捉え方に幅があり,「正解」は出ていません。解明されていない以上,「正しい」怖がり方というのは論理的に成立しません。例えば,穴の深さが分かっていない「落とし穴」がある場合,10cmと考えて安心する人や,10mと考えて心配する人など,誰の怖がり方が正しいかは判定できないのと同様です。つまり,「怖がり過ぎ」を「間違い」と断定できる根拠はありません。・・・

●放射能のことを心配し過ぎる方が,健康によくない 
 ・・・このような見解は,放射線の被ばくによる健康影響の原因を,被ばくした人の心の不安,つまり「被害者側」に帰着させます。そこには,「加害者の責任を見えにくくし,被害者へ転嫁する」という,倫理的問題があります。例えば,次のような状況を考えてみましょう。あなたが傷害事件の被害者になってしまったとします。傷害の程度は軽微で,「直ちに健康に影響が出るレベルではない」ものでしたが,再び同じような事件に遭うかもしれないことを不安に思っています。そのとき,友人が,「傷害事件を心配し過ぎる方が健康によくない。日本では,がんなどで死亡する人の方が多いんだから,自分の健康管理の方をしっかりすべきだ」とアドバイスしたとします。あなたはその友人のことをどのように思うでしょうか。・・・・

●放射線よりもタバコや自動車の交通事故の方が危険だ 
 ・・・喫煙や飲食,交通事故による死を避けるには,禁煙することや食生活に気をつけること,自動車に乗らないことといった,個人での対応が可能です。しかし,放射線に汚染された地域では,その被ばくを完全に避けることは極めて困難です。・・・
 ・・・喫煙や飲食,自動車の利用,あるいはレントゲンやCTスキャンの利用でも,目的をもってそれを行う人にとって,何らかの便益を得ることが可能です。このことは新副読本(高校生用)や教師用資料にも書かれています。しかし,放射能の汚染による被ばくは,何ら便益をもたらしません。・・・
 ・・・次のような例を考えましょう。あなたが病院で医者から「今日は無用な放射線を少し浴びてもらいましょう。なぁに,喫煙や肥満の方がリスクが高いですから,そちらを気をつけて下さい」と言われたとします。あなたは納得できるでしょうか。 
 性質の異なるリスクの比較は,危険性の目安にはなっても,それを許容させる根拠にはなり得ません。 ・・・

 気になった点をあげれば、JCOの事故で亡くなったO氏の右手の写真と、個人名をあげての批判は、「副読本」としての普及を目指す観点からはマイナスポイントになるでしょうね。気持ちは分かるのですが。

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