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前回、劣化ウランについての誤解について書いたが、関連して、ちょっと古いけれどもひどい記事を目にしたのでコメントしておく。
未来バンク理事長田中優氏のウェブコラム「環境はエンタメだ!」の第二十八回「『流言飛語』という流言飛語」に次のくだりがある。
この中にある、「残念ながらα線の測定はほとんど困難」というのも、「劣化ウランはα線しか出さない」という流言飛語に騙された結果出てきた言説であろう(前回の記事参照)。
もっと深刻なのは、「福島の汚染地帯では、α線の測定器は持ち込みを禁止されていた」の部分。これを信じた人は、情報リテラシーの欠如を反省した方が良いと思う。法的にも、実効的にも禁止できる訳がないではないか。何を目的にこんなウソをつくのか理解に苦しむ。α線専用のサーベイメータは、一般のシンチレーションカウンターやガイガーカウンターに比べたらかなり高価だが、それなりに出回っているし、かの大山こういち南相馬市議も、これを持ち込んで、せっせと「不安煽り情報」を発信している。
過去記事にもまとめたように、文科省も福島県で数ベクレル/m2になるくらいの量のプルトニウムの放出を認めているのであるが、いくら測定しても、このレベルを大きく超えるα核種が検出されないのは周知の事実である。その事実が知れ渡ったら何か不都合なことでもあるのだろうか。
極めつけは、「しかし多くの人は気づかないまま、今でも劣化ウランの延焼はウソだと思っている」の部分。延焼したのは劣化ウラン保管施設である。イコール「劣化ウランの延焼」ではない。確認されている限り、劣化ウランそのものへの影響はなかった。
J-Cast ニュース:千葉の劣化ウラン管理倉庫 震災コンビナート火災で「危機一髪」(2011/7/ 4 19:23)
ウソだと思うなら、安物の放射線サーベイメータで良いから付近を測定してみたらよい。危険な量の劣化ウランが飛散していれば簡単に検出できるから。
劣化ウランそのものへ延焼したと主張するなら、その証拠を提示すべきだ。当局の発表を信じたくないのは勝手だが、その場合には「信じたくない」と書くべきで、「事実」を捏造してはいけない。
人知れず大変なことが起きている、しかし検証は不可能だ・・・
これで陰謀論の一丁あがり。副題は「今のぼくらは幾重にもウソに囲まれている」とのことだが、これはいわば、「『流言飛語』という流言飛語」という流言飛語である。環境はエンタメなんかではない。こんないい加減な言説を信じてしまった者は、原発の安全神話に騙され続けてきた己の、その根本の問題をいまだ克服できずにいることに気付くべきだと思う。
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