さつきのブログ「科学と認識」

福島第一原発、アンダーコントロールで、わざと昨年の2倍の放射能を放出か

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 表記のことについて、誰も書かないのでメモ書きを残しておく。

 原発の再稼働にかかわって活断層の問題がクローズアップされている。例えば、既に再稼働した大飯原発の敷地内にある破砕帯は活断層である可能性が高いとの指摘がなされた。

大飯原子力発電所敷地内観察結果(東洋大学渡辺満久教授:2012年6月28日)

 日本原電敦賀原発では、1、2号機の敷地を通る活断層が、安全審査に際して提出された資料にある25 kmではなく、実際には35 kmあって、M7.4程度の地震を引き起こす可能性のあることも明らかになった。

 さらに、石川県の志賀原発では、1号機の直下におよそ300 mの亀裂があり、7月17日の国の専門家会議で、「活断層の可能性が高いが、調査が不足している」という異議ありの声が相次いだ。もしこれが活断層と認定されたら、国の指針に反することになり、志賀原発は運転できないことが確実となる(注1)。

 さて、上記NHKの記事によると、今回改めて問題になったのは、新たな調査によって新事実が判明したからではなく、設置審査に提出され、問題なしと判定された過去の資料を再検討した結果だという。

専門家も意見分かれる
志賀原発の亀裂について、地形学が専門の東洋大学の渡辺満久教授は、「岩盤がシャープに食い違い、典型的な活断層だ。断層がずれた両側に同じような大きさの石が積もっていて、明確なずれが確認できる。北陸電力が説明する波の削り跡だという主張は、非常に無理があり、すぐに廃炉にすべきだ」と述べました。
また、これまでの国の審査について、渡辺教授は「電力会社の調査の不備を探すための審査なのに、何をやっていたのか。専門家や、審査を行った保安院や安全委員会の責任は重大だ」と述べました。
一方、専門家会議の委員を務める京都大学の遠田晋次准教授は、「一見すると、断層が動いて段差が出来たように見えるが、反対側を見ると、明瞭な段差を確認できない。1つの断面だけを見て、原発を廃炉にしてしまうことを判断せずに、慎重に追加の調査をしたうえで結論を下すべきだ」と述べ、再調査の必要性を指摘しました。
これまでの国の審査について、遠田准教授は、「これまでの審査は不透明な部分があったかもしれない。東日本大震災以降、動かないとされていたところも動いていることから、原発の耐震性を判断する指針や手引きを見直す時期だ」と述べています。

 遠田氏は、「東日本大震災以降、動かないとされていたところも動いている」との認識を示してはいるが、では、想定外のところが動くことが<想定される>ときにどう対処せよと言うのだろうか。しかもこのことは、3.11以降になってはじめて問われることになったのでもない。既に2000年10月6日、鳥取県西部地震(M7.3、Mw6.6、最大震度6強)が想定外のところに起こって、原子力産業界は大変なショックを受けた。

 この地震は、震央が過疎地にあったことなどにより死者こそ出なかったが、地震の規模では兵庫県南部地震に匹敵するものであった。震央近くの日野町(当時)では、震度7相当(計測震度6.6)の1135 galという、兵庫県南部地震の最大加速度848 galを大きく超える値が観測されている。震源が深さ9 kmと比較的浅かったことにもよるのだろう。1989年以降、この地域ではM5クラス以下の地震が比較的多く発生していたが、歴史地震の記録もなく、活断層の存在も知られておらず、このような大きな地震が起こるとは誰も予想していなかった(鳥取県西部の地震活動の評価)。

 それまでの大きな地震は、予知(prediction)こそ成功していないが、将来いつかは起こるであろうと予想(expect)されていた範囲に起こっていた。1997年山口県の北部で起こった地震のように、明確な活断層は知られていないものの、微小地震帯に認められる空白域の時空分布から発生が(中期)予測(forecast)されていた例さえあったのである。

 阪神淡路大震災を機に大々的に推進された活断層調査や、地震観測網、GPS観測網などの整備によって、どこにどのような備えが必要であるかが明らかになりつつある。たとえ予知に成功しなくても、そうした事業は必ずや震災軽減に役立つであろう。それでも、それが万全であり得ないことは、鳥取県西部地震の発生によって、多くの関係者が自覚した筈だ。

 一般に地震の規模(マグニチュード)と震源断層のサイズは比例する。地震のマグニチュードは、地震によって動いた断層(震源断層)の面積とズレの大きさ、岩盤強度に比例し、断層面の面積とズレの大きさも比例するので、敦賀原発の敷地を通る活断層のように、その総延長が35 kmとわかれば、その全体が動いたときの最大のマグニチュードは7.4と予想することができる。鳥取県西部地震の震源断層の水平方向の延長は、余震域の広がりなどから、およそ25 kmと推定されている。震源の深さが9 kmなら、震源断層が地表に現れて地震断層として確認されても良い筈である(注2)。そうした地震が過去に繰り返し起こっていれば、地震断層の変位が累積されて、活断層と認定され得る変動地形が観察されても良い筈である。

 ところが、この地域においてはそれ以前に活断層は知られていなかった。地震直後に発見された地割れや小断層も、地震動により局所的に形成されたものと考えられた。余震域に平行なリニアメントや河川の屈曲も、地震発生後に認められたものである。実際に、このときの震源断層の変位は地下1 km付近で止まったと考えられており、「地下活断層」と呼ばれるようになった。このように、地震後の調査によって、いわば「後出しじゃんけん」のように発見される現象によらずに、地震ポテンシャルを精度良く評価する方法の確立が強く望まれるようになり、意識的な研究も開始された(例えば、木の下ほか、2005)。

 何より困ったのは、電力会社をはじめとした原子力産業界である。原発などの原子力施設の設置認可に際しては、個々の地域に想定される最大の地震動を元にした耐震設計が求められる。ところが、鳥取県西部地震のように、まったく想定外のところにM7クラスの直下型地震が起こり得るとすれば、「最大の地震動」の予測が不可能となる。活断層があろうとなかろうと、日本列島はどこでも危険だとの認識が広まることは、原子力産業界としては何としても阻止したい。そこで彼らは、上に引用した木の下ほか(2005)に類する研究を、独自に行った。

 本来、こうした研究は国が率先して推進すべきであろう。しかし、そうした組織的な事業の痕跡を見いだすことはできない。そもそも、そうした問題のあることが広く周知されるのを避けたいのかもしれない。一方で、査読のある学術雑誌に掲載されるような成果でなければ信用されないというジレンマもある。いずれにしても、研究成果も十分に出そろわない2006年9月19日、原子力発電所の耐震指針の改訂がおこなわれた。
 一部を引用しよう

原子力発電所の耐震指針が9月19日、25年ぶりに改定された。
近くに活断層がある場合、これまでの指針では過去5万年前までの断層を対象にしていたが、新指針では最大13万年前までさかのぼって調査する。
活断層が近くにない原子力発電所は、一律に決めていた「最大マグニチュード(M)6・5の直下型地震による370ガル(ガルは加速度の単位)程度の揺れを想定していたが、これを廃止。代わりに岩盤など立地条件を十分に調査し、原子力発電所ごとに最大の地震を想定するよう求めている。
(中略)
今回の指針が適用されるのは新設の原子力発電所からであるが、既存の55基の原子力発電所や再処理工場について耐震性が新指針に合致しているかどうか、事業者に自主的に点検・再確認するよう求めている。
指針見直しのきっかけとなった阪神大震災や鳥取県西部地震はいずれもM7・3だった。しかも鳥取県西部地震は活断層が確認されていない場所で起きている。昨年8月の宮城県沖地震では想定規模に届かなかったにもかかわらず、女川原子力発電所が耐震設計の限界を超える揺れにより自動停止した。さらに、今年3月の志賀原子力発電所の運転差し止め判決が原子力発電所耐震性の根拠を打ち砕いた。金沢地裁は、想定を超える地震の可能性と住民の被ばくの可能性を指摘し、現在の耐震指針の想定や手法について「妥当性を肯定しがたい」とした。耐震性は保たれているという国や電力会社の主張は、説得力を持たなくなったことなどが要因となった。
(後略)

 鳥取県西部地震の発生などから、志賀原発の運転差し止め訴訟の判決があって、これまでの耐震設計指針の信頼性がなくなり、やむを得ず改訂したということ。付近に活断層がない原発については、立地条件を十分に調査し、最大の地震を想定するよう求めているのであるが、不可能なことを電力会社に丸投げしているのである。しかも、この改訂以前に建造された55基の原発については、「事業者に自主的に点検・再確認するよう求めている」だけである。

 地下活断層の検出のための一般的な手法の開拓に果敢にチャレンジした木の下ほか(2005)は、「まとめ」で次のように述べている。

したがって,断層変位地形の発達に乏しい山間部や花崗岩類分布地域においても,詳細なリニアメント判読や広域的な地形変化を考慮した地形地質調査,数値解析などの調査結果を総括的に検討することで地下活断層の存在の可能性やその方向,活動履歴などをある程度推定できると考えられる.しかしながら,今回行った検討は2000年鳥取県西部地震一例であり,地下活断層の一般的な特徴を把握しているとはいえない.今後,2000年鳥取県西部地震と同程度の規模(Mw6 . 4〜6 . 6 程度)の他の地震を対象とした調査を行い,震源域の地形地質学的特徴や測地学的データの比較・検討を行う必要がある.

 要するに、地下活断層の存在や、その地震ポテンシャルを正しく評価する一般則としては、未完のものであるということ。改訂された耐震指針の適用を実質的に免れていた55基の原発は、本来なら、再起動に向けてのストレステストに際して、この新しい耐震指針を適用した厳格な審査が求められるべきである。しかしそれは、そもそも不可能である。すなわち、全ての原発は、その安全性を正しく評価することが不可能なのである。

 何ごとにつけ、なし崩し的になされてしまうこの国のありようは、何とかならないものか・・・

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注1)このことを「廃炉」という言葉を用いて表現すべきではない。狭義の「廃炉」は、原子炉を解体・撤去することを意味するが、私は、被曝労働を伴わない解体・撤去の技術が確立するまで、燃料を取り出した状態で、そのまま「置いておく」べきだと考えている。半永久的な「負の遺産」となるかもしれないが、それもやむを得ないだろう。

注2)日本列島の地殻が脆性破壊する最大の深さはおよそ20 kmで、火山地帯のように地温勾配が高くなっている所では10 km程度と浅くなっている。そして、この脆性破壊を起こす範囲では、深くなるほど高い圧力によって断層面が押し付けられているので、断層面の摩擦強度は高くなる。つまり、日本列島の地殻を変形に抗して支えているのは、脆性破壊を起こす最大の深さ付近にある岩盤ということになる。その部分が破壊しない限り、地殻が大きく変位することはない。逆にいうと、大きな地震の震源はほぼこの深さのところにある。山陰地域で起こる地震の震源の最大の深さは18 km程度であるが、何故か鳥取県西部地震の震源の深さは9 kmと浅くなっている。

文献
木の下ほか、2005、比較的規模の大きな地下活断層の特徴とその調査手法の検討、活断層研究、25、 27〜37

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