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東電原発事故によって大量に溜まり続けている「トリチウム汚染水」の海洋放出の可能性が問題になっている。問題の本質は、隅田金属日誌さんによる次の記事にあると思う。
まあ、カミオカンデのタンクの容量は3000トンしかないので、ここに流し込んでも焼け石に水だが、論旨に賛同する。
ちなみに、2016年2月時点で保管されていた汚染水の総量は約78万トンで、このうちALPSでの処理水は約61万トンであったのが、今年2月時点では90万トンを超え、貯蔵タンクは1000基に上るという。
いろいろとひどい議論がまかり通っているが、ここでは、たまたま目にした林 智裕 @NonbeeKumasanさんの「ソジウムクロライド」のtweetを取り上げよう。
一瞬なんの話かと思ったが、「海水中に平均 3.5%」のところで「ソジウムクロライド」が塩化ナトリウムを意味するとわかった。海棲生物は3.5%程度の塩分濃度に適応して元気に生きているけれど、その濃度が限度を超えて変化したら生きていけなくなるし、逆に淡水生物は海水中では生きていけない。また、ナトリウムはほとんどすべての生物の生命維持活動になくてはならないもので、人もまた、塩化ナトリウムを摂取することでそれを補っている。それに比べてトリチウムは害しかない・・・、等々のことは多くの人が常識として知っているので、これを読んだほとんどの人は、何を言っているのかと不審に思ったに違いない。
保存料として食品添加物に使われるのは人にとって毒性がないからであるし、普通におにぎりに添加するのは調味料として、また、塩分補給にも不可欠であるからに決まっている。ガンや高血圧のリスクが高まるのはとりすぎによるもので、逆に不足しないよう継続的な摂取が必要なものであることも、多くの人は常識として知っている筈だ。
だいたい、すべての物質は限度を超えて摂取したら体に悪いに決まっている。水だって例外ではないし致死量だってある。「したがって全ての物質は毒物である」と言うか。答えはNoである。そんな理屈は馬鹿げているし、ほとんどの人はそんなふうには思わない。塩化ナトリウムが毒物でないことは常識なので、希釈などせずにその結晶を舐めたりもするし、それで何の問題もない。何しろ生体に必須のものだ。だから、これを読んだほとんどの人は、なんて馬鹿なことをと思ったに違いない。
限度を超えて摂取したら体に悪いが毒物ではないもの、例えば塩や砂糖や醤油などと、どんなに微量でも微量なりの毒性を有する放射性物質とを一緒くたにして限度が問題と結論する論法がネット界の片隅で流行っているらしい。しかしこれは、問題の本質を何も理解していないことを告白しているに過ぎないものである。
誰かを馬鹿にする意図はないと言いつつ、騒いでいるのはトリチウムのことを良く知らないからだと馬鹿にしているのである。
そんなにトリチウムに詳しいのなら、管理対象となる基準値がトリチウムについて、総量が10億 Bq、かつ濃度が100万 Bq/g(注1)となっている根拠を説明してほしい。
トリチウムの実効線量換算係数が、吸入・経口摂取ともに、水の場合で 1.8 E-8 mSv/Bq、有機物の場合で 4.1 E-8 mSv/Bq(注1) と、およそ 2.3 倍の開きがあるが、なぜ 2.3 倍なのか説明してほしい。トリチウムの結合した有機物を介して数千倍の生物濃縮があるとの報告(注2)があるが、本当に2.3倍で良いのか説明してほしい。
トリチウムは処理する術がないため原発から多量に放出されているらしいが、もし簡単に処理できるものであるなら、本来どれくらいの規制基準にすべきものであるか、教えてほしい。
「みんなが知ろうとすることが大切だよね。」という意見に賛成である。もし知っていたらぜひ教えてほしい。
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注1)放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(文部科学省)
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2017年07月26日
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