さつきのブログ「科学と認識」

福島第一原発、アンダーコントロールで、わざと昨年の2倍の放射能を放出か

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 7月28日に資源エネルギー庁が計画している高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定に向けた「科学的特性マップ」が公表された。前回27日の投稿  は、この発表の前日であったので、直接には対応できなかった。とはいえ、具体的な問題提起は学術の現場で行わないと大した意味はないので、ここでは補足的なことを書き足しておくにとどめたい。

 昨年末以降だと思うが、従来、資源エネルギー庁とNUMOが用いてきた「科学的有望地」の文言は一切用いられなくなった。この「科学」が自然科学の意味に限定的に用いられていることはいろいろな報告書を読めば明らかである。最終処分場としての有望性が自然科学によってのみ決められる訳はないから、他の基準による有望性についても併せて議論しなければならない。彼らのほんねとしては「社会的有望地」なるものがあるのであろう。しかし、例えそのような図面を作成しても公表などできない。「自然科学」だけで押し通すことは不可能だが、そこを足がかりに、あとは地域住民との直談判に持ち込もうという訳なのだろう。

 こうして公表された「科学的特性マップ」によると、「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」地域が全体の約 65%、このうち、廃棄物の海上輸送に便利な海岸から20キロ以内の沿岸部は、「より好ましい」とされ、全体の約 30%を占める。

 注意すべきは、相対的な好ましさが高い地域を示してあるだけであるという点だ。相対的に好ましいことだけでは絶対的な安全性の程度はわからないので、結局は個々の地域で具体的にどのような問題があるかを議論し続けなければならないということになる。

 いずれにしてもこれから政府主導で候補地の選定がおこなわれ、金で釣って「各個撃破」的に決めてしまうということが始まるのであろう。その場合には自治体住民向けの説明会が開催される筈だから、できるだけ出席して、納得のいくまで疑問をぶつけるべきである。これ以上ゴミを増やさないために直ちに原発を停止するのが話し合いのテーブルに着く条件であるくらいのことは言うべきだろう。「原発の再稼働は民主的な手続きを経て意思決定された結果である・・云々」といった返答には、2012年8月に国がこれからの原発政策について問うたパブリックコメントでは、圧倒的多数が脱原発を志向する意見を提出したのであり、民意は脱原発、再稼働停止であると返すべきだ。また、様々な影響が広範に及ぶ問題であり、一自治体だけの判断で決めてはならないということも主張されるべきである。

 さて、前回の記事に南鳥島のことを書いたが、その後調べてみると、高橋正樹さんの地質学会講演以来、専門家の間でも南鳥島を推す意見がいくつか散見される。例えば、togetter「高レベル放射性廃棄物を南鳥島で地層処分」 (2016年12月26日:主に群馬大学の早川由紀夫さんと鹿児島大学の井村隆介さんとの議論)があり、これは、JAMSTECが南鳥島で調査研究というNHKの報道を受けたもの。井村さんはまた、早稲田大学松岡俊二さん の科研・基盤研究(B) 「高レベル放射性廃棄物(HLW)処理・処分施設の社会的受容性に関する研究」第 7 回バックエンド問題研究会(2017年2月20日)において招待講演をおこない、議事録 には「個人的な見解としては、地球上におけるゼロリスクの追求は不可能であり、できるだけ生活圏から離すべきという観点から、南鳥島を候補地とする案が最終的には望ましいのではないかと思う。」との発言が記されている。

 最終処分場の候補地として専門家が具体的な地名を口にするのは、もちろん、周囲 1000 km 以内に誰も居を構えていないことで可能になっている。ところで、本年5月14日に資源エネルギー庁とNUMOが開催した「いま改めて考えよう地層処分」と題する全国シンポジウムの東京会場での概要の報告 があるが、その中に質疑応答で次のやりとりがあったことが記録されている。

質問者6 昨年のニュースで海洋研究開発機構が南鳥島で新しい処分方法の研究をしていることを 知った。
小林 海洋研究開発機構という組織、それから政府として、現在、そういう計画は持っていない。

 回答者は資源エネルギー庁 放射性廃棄物対策課長の小林大和氏である。前回の記事で、このことを伝えるNHK NEWS WEB の記事がリンク切れになっていると書いたが、この記事はNHK「かぶん」ブログ にそのまま転載されて残っている。ガセネタということではなく、JAMSTECとして検討はしているが、そのような計画が策定されたという段階ではないということなのだろう。エネ庁の回答はなんとも素っ気ないが、少し真面目に検討してみると、南鳥島を最終処分場とすることは現在進行中のプランとはかけ離れていて、「適合性」に乏しいことがわかる。

 現行の計画は、300 m 以深、とはいってもせいぜい 500 m くらいの深さまでの地下に 3 km × 3 km くらいのサイズの施設を建設し、100 年間くらい管理してその後埋設することが前提となっている。前回の記事では、南鳥島の石灰岩は「3,000 m を超えるとは考えられない」と書いたが、この付近の海洋プレートの年齢は約 160 Ma(1 Maは百万年前)で、南鳥島周辺の海山の形成年齢は 120 〜 75 Ma の範囲にある(図1:脚注の文献参照)。南鳥島もこの範囲のどこかの時点、すなわち、海洋プレートが生まれて早くて 4,000 万年、遅くて 8,500 万年が経過した頃に形成されたと推定される。海洋底基盤の深度 D (m) = 2500 + 340√T に当てはめると、その後の(陸上火山活動が停止した後の)沈降量は最大で 2,200 m 程度、最小で 1,100 m 程度と見積もられる。この沈降量がそのまま礁石灰岩の厚さということになる。石灰岩は透水係数が高く、処分場建設には適さないので、その下位の陸上で噴出した玄武岩層がターゲットとなるが、最低でも 1,500 m 、最大で 2,500 m 程度の超深度空間に建設しなければならないことになるのである。

イメージ 1

図1.南鳥島周辺の海山の年齢(ほとんどはAr/Ar法による)

 高橋さんがなぜ陸上噴出の玄武岩層にこだわったかというと、その下位の海中で噴出したものは枕状溶岩やハイアロクラスタイトとなって、やはり透水係数が高く適さないからであろう。玄武岩の島が陸上に露出していた時のサイズは沈降後の環礁のサイズとほぼ等しいと考えて良いが、南鳥島はせいぜい一辺が 2 km の三角形に過ぎないので、そもそも陸上噴出の玄武岩層の容積は 3 km × 3 km の地下施設を建設するにも足りない可能性が高い。

 NUMOが昨年おこなった地層処分意見交換会の説明用参考資料 によると、事業費は約 3.7 兆円程度で原子力発電を行う電力会社が拠出することになっている。もし、現行の計画から大幅に修正しなければならないとしたら、あらゆることが一からやり直しになり、事業費は数倍に膨らむ可能性があり、電力会社としては何としても避けたいところだろう。また、JAMSTEC が調査研究をやるにしても、その経費を国費で賄うことは許されず、あくまで電力会社の資金によってなされなければならないことも押さえておく必要がある。

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注)南鳥島周辺の海山の年齢はClouard and Bonneville (2004)  (pdf: 123 kB) によってコンパイルされている。一部不正確な記述があり、これは Pringle (1992)  (pdf: 3.5 MB) によって補うことができる。
 この海域(Mariana Basin)の海洋プレートの形成年代については、Sager et al. (1998)  がある。

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