さつきのブログ「科学と認識」

福島第一原発、アンダーコントロールで、わざと昨年の2倍の放射能を放出か

歳時記

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2018年夏

 この季節、夜になって空を見上げるとき最初に探すのはなんと言ってもさそり座のアルファ星アンタレスである。さそり座ほどそれらしく見える星座はないが、南中高度が低いので全体がきれいに見える機会は少ない。

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 昨年、星野写真用の安価な追尾装置を手に入れたのに最近まで使うチャンスに恵まれなかった。それが、多忙な毎日になんとか時間を工面して、月明かりがないこと、晴天であること、夜更かしするので休日の前日であることの三拍子揃った機会がやっと訪れたのである。せっかくだからとgoogle 航空写真で探した街明かりのなさそうな場所に遠出して、夏の銀河を撮ってきた。残念ながら高い湿度で空の透明度が悪く、さそり座の見える方角の遠くの街明かりが空を照らし、近くにもナトリウムランプの外灯があったりと、決してベストとは言えない条件。露出時間を長くしてアンタレス付近にまとわりつく七色の星雲を捉えたかったのだが、それは叶わなかった。

 下の写真はAPSサイズの安物一眼デジカメに古いフィルムカメラ用の55 mmレンズを装着して撮った6枚を合成したもの。途中、夜露でレンズが曇ったので射手座の北西側が大きく欠けている。あらためて眺めてみると、多数の球状星団が明るい恒星のように写って、星座の形が崩れている。

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 宮沢賢治の銀河鉄道の夜には天の川に沿って北から南へ旅をする様子が描かれている。以下は、いよいよ旅の終盤に差し掛かった頃である。

 川の向う岸が俄かに赤くなりました。楊の木や何かもまっ黒にすかし出され見えない天の川の波もときどきちらちら針のやうに赤く光りました。まったく向ふ岸の野原に大きなまっ赤な火が燃されその黒いけむりは高く桔梗いろのつめたそうな天をも焦がしさうでした。ルビーよりも赤くすきとほりリチウムよりもうつくしく酔ったやうになってその火は燃えてゐるのでした。「あれは何の火だらう。あんな赤く光る火は何を燃やせばできるんだらう。」ジョバンニが云ひいました。「蝎の火だな。」カムパネルラが又地図と首っ引きして答へました。「あら、蝎の火のことならあたし知ってるわ。」
「蝎の火ってなんだい。」ジョバンニがききました。「蝎がやけて死んだのよ。その火がいまでも燃えてるってあたし何べんもお父さんから聴いたわ。」「蝎って、虫だらう。」「ええ、蝎は虫よ。だけどいい虫だわ。」「蝎いい虫じゃないよ。僕博物館でアルコールにつけてあるの見た。尾にこんなかぎがあってそれで螫されると死ぬって先生が云ったよ。」「さうよ。だけどいい虫だわ、お父さん斯う云ったのよ。むかしのバルドラの野原に一ぴきの蝎がゐて小さな虫やなんか殺してたべて生きてゐたんですって。するとある日いたちに見附かって食べられさうになったんですって。さそりは一生けん命遁げて遁げたけどたうたういたちに押へられそうになったわ、そのときいきなり前に井戸があってその中に落ちてしまったわ、もうどうしてもあがられないでさそりは溺れはじめたのよ。そのときさそりは斯う云ってお祈りしたといふの、
 ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない、そしてその私がこんどいたちにとられやうとしたときはあんなに一生けん命にげた。それでもたうたうこんなになってしまった。ああなんにもあてにならない。どうしてわたしはわたしのからだをだまっていたちに呉れてやらなかったらう。そしたらいたちも一日生きのびたらうに。どうか神さま。私の心をごらん下さい。こんなにむなしく命をすてずどうかこの次にはまことのみんなの幸のために私のからだをおつかひ下さい。って云ったといふの。そしたらいつか蝎はじぶんのからだがまっ赤なうつくしい火になって燃えてよるのやみを照らしてゐるのを見たって。いまでも燃えてるってお父さん仰ったわ。ほんたうにあの火それだわ。」
「さうだ。見たまへ。そこらの三角標はちゃうどさそりの形にならんでゐるよ。」
 ジョバンニはまったくその大きな火の向ふに三つの三角標がちゃうどさそりの腕のやうにこっちに五つの三角標がさそりの尾やかぎのやうにならんでゐるのを見ました。そしてほんたうにそのまっ赤なうつくしいさそりの火は音なくあかるくあかるく燃えたのです。
(筑摩書房 校本宮沢賢治全集 第九巻、[銀河鉄道の夜](初期形)より)

 賢治は彼の作品に何度も手を加えているが、この部分が最終形と何も変わらないことを確認するため、敢えて初期形から引用した。よほど確信を持って書いたのだろう。

 「向ふ岸の野原に大きなまっ赤な火が燃され」とあるのは、もちろんアンタレスの暗喩としてある。この星はひときわ赤い色を放っていることから、アンチ・アーレス「火星に対抗するもの」という意味の名が付けられたという。今年は火星大接近の年で、まもなく7月28日に衝を迎え、31日に最接近となる。既にマイナス2.7等の明るさで、夜8時くらいから南東の空に明るく輝いて見える。

 確かにアンタレスの色は火星の色によく似ている。しかし、両者とも実際の色は赤というよりはオレンジ色である。そこで、続く、「ルビーよりも赤くすきとほりリチウムよりもうつくしく酔ったやうになって」燃えていたとの表現からは、さそり座の長時間露光のカラー写真を見たことがある者なら、この星座のそこここにある散光星雲の方を連想するだろう。例えば、サソリの尻尾の付近にあるロブスター星雲や猫の足星雲の真紅は、実際には水素の放つ色であるが、まさにリチウムの炎色反応を彷彿とさせる。この作品が書かれた頃にはそうした天体写真はまだ存在しなかったので、賢治がそのような星雲の存在を知っていた筈はない。東北の花巻付近からだとさそり座は南のかなり低い位置に見えるので、大気の影響でアンタレスの赤さもひときわ際立って見えたのだろう。

 ところで、火星の大接近を報じたカラパイアの記事 のタイトルに「火星が地球に大接近。2018年7月31日に最接近し肉眼で見えるレベルに。」とあって、これはちょっと、普段は肉眼では見えないとの誤解を生むかもしれないと思った。中には、肉眼で火星の模様が見えるまで接近するのかと勘違いする人もいるような気がする。笑い事ではなく、星に全く興味のない人というのは、そんなものなのである。

 数年前、田舎のコテージでゼミの合宿をやった折、夜になって天の川(milky way)が良く見えるよと言ったら、真っ先にベランダに飛び出して来たのはインド人の留学生であった。インドではPM2.5のせいで空が霞んで田舎でも天の川がきれいに見えるところは少ない。彼は、生まれて初めて見たと興奮していた。日本でも、街明かりも月明かりもない真夜中の漆黒の闇を照らす晴天の星明かりというものを知らない人は、特に都会育ちに多いのではないかと思う。賢治の「銀河鉄道の夜」も、ひどく観念的なものとしか受け取られないようになりはしないかと心配である。
Twitter やってないけど、まとめて呟いてみました。

●川内原発が本日再起動したが、まだ稼働はしていない。
 マスコミはこぞって再稼働したって言うけど「稼働」の意味を知らない訳ないだろ?
 だろ??

●「ヒロシマ」って言うな、という人は、カタカナの用法を知らないんじゃないの?
 知ってるの?

●使うべきでないのはむしろ「ブラック企業」という言葉。
 これは絶対アウト。

●安倍「大噴火でも川内原発は安全」
 確かに、この人が言うと不吉な予兆のような気さえするね。
 いろんなデータをぶち込んでベイズ統計に基づく地震ポテンシャルのオッズ予想をする研究が始まっているけれど、安倍語録もデータに入れたらいい。

●海外で日本の終戦記念日は8月15日だという話をすると、たいがいびっくりされる。
 説明しても、納得してもらえないことも。

●今年の「伝統的七夕」は8月20日です。
 7月7日に願い事するのを忘れた人は、まだ間に合うよ。

●わーい、
 予約していた『赤塚不二夫生誕80周年記念フレーム切手セット』が届いた。

●共産党の小池さんが暴露した自衛隊統合幕僚監部が作成した内部文書
News23 はさらっと流したけれど、分かってんの?
「安保法案」廃案へむけての運動が一気に山場を迎えることに。
野党は結束して作戦会議でもやって、攻勢に出てほしい。

(8月27日追記)
●ル・モンド記事タイトルの日本語訳はおかしいよ。
 Le Japon suspend le redémarrage du réacteur nucléaire de Sendai
 「日本は川内の原子力発電所の再稼働を一時停止」とあるけど、
 直訳だと「上昇を一時停止」でしょ? 出力上昇を中断したということ。

 この季節、とくに夕刻が近づく時間帯になると外からツクツクボウシの大合唱が聞こえてきて、ああ、今年の夏も空振りだったかと、妙に愁然とした気分になる。今日はまさにそんな日だった。



(つくつく法師、寒蝉、Meimuna opalifera )はカメムシ目(半翅目)・ヨコバイ亜目(同翅亜目)・セミ科に分類されるセミの一種。晩夏から初秋に発生するセミで、特徴的な鳴き声をもつ。オーシンツクと呼ばれることもある。」また、「北海道からトカラ列島・横当島までの日本列島、日本以外では朝鮮半島、中国、台湾まで、東アジアに広く分布する。」と書いてある。

 うむ、蝉はカメムシ目だったのか。


日本産の中では勿論、恐らく世界的に見ても最も複雑で音楽的な鳴き方をする小型〜中型のセミ」との記載がある。

 そうか!。世界的に最も複雑で音楽的な鳴き方をするセミが身近にいる幸運に感謝しよう。

 ところで、高校入学時に買った旺文社の『国語辞典』には、その鳴き方について「オーシンツクツクと鳴く」とだけ書いてあって、ながい間これに不満だった。というか、論外だ。いやいやいや、まてまて、そうじゃないだろ。ここは虚心坦懐に聴いてみろよ。音が違うし、ちゃんと起承転結もあるだろ、と思っていた。ずっと思い続けていた。

 その起承転結について、Wikipedia  は、「「ジー…ツクツクツク…ボーシ!ツクツクボーシ!」と始まり、以後「ツクツクボーシ!」を十数回ほど繰り返し、「ウイヨース!」を数回、最後に「ジー…」と鳴き終わる。最初の「ボーシ!」が聞き取りやすいためか、図鑑によっては鳴き声を「オーシツクツク…」と逆に表記することもある。」と記載している。・・・えっ?


『セミの図鑑』から「ソロ:広島県(2007)

 ほら、Wikipediaだって違ってる。だからWikipediaは信用するなっていつも学生に言ってるんだ。

 まず最初の「ジー」からして違う。虚心坦懐に聴けば、「ジリジリ・・・」から始まってるだろ? まあ、これは些細なことだからいいだろう。しかし次はどうだ。「ツクツクツク・・・」じゃなくて、ここは明らかに濁音になってるだろ?「ヅグヅグヅグ・・・」か「ジュクジュクジュク・・・」だ。いや「ジュグジュグジュグ・・・」だと主張するむきもあるかもしれない。あっていい。ここは意見の分かれるところかもしれないが、すくなくとも「ツクツク・・・」とはいってない。断じてない。遠くからじゃわからない。近づいて聴いてみるとよくわかる。

 そこから一気に佳境に入っていく。「ヅグヅグヅグヅグウォーーッシ、ヅグヅグヅグウォーッシ、・・・・」だ。虚心坦懐に聴けばそういってる。決して「ツクツクボーシ」ではない。で、これが十数回繰り返されるうちにだんだん加速していく。アッチェレランドだ。

 最後だって、「ジュグーッショイ、ジュグッショー、ジュグッショー、ジリジリジリ・・・」だ。決して、「ウイヨース!」なんかでない。だいたい「ウイヨース!」って何だ。若大将が光進丸の上から手を挙げてる姿が脳裏をよぎったぞ。

 という訳で、ツクツクボウシの鳴き方はこれで決まりだ。やれやれ、やっと積年の思いを吐露してすっきりした。秋の夜長、梨のおいしい季節だし、なんだかすがしがしい気分で過ごせそうだ。

 どうでも良いが、
「ネコはどうして「にゃし」って言えないんだろう」by ニャロメ

ケンタウルス祭の夜

 梅雨があけて久しぶりの快晴だったので、街灯りの少ない近くの山の裏まで車でひとっ走り。林道わきの土手に寝転がって夏の銀河を堪能する。

 七夕の織女と牽牛の居ること座とわし座、その傍のいるか座、や座、こぎつね座。星座では白鳥座とさそり座がいちばんそれらしく立派にみえるが、夜10時近くになって、さそりの方はもうずいぶん傾いている。さそり座の見頃は梅雨の時期と重なっているが、まだまだどうして、たいしたものである。しっぽの先の散開星団もちゃんと見える。

 なによりの圧巻は、いて座付近の天の川である。これほどきれいに見えることは滅多にないと思い、ちょっとデジカメで写真を撮ってみた。

イメージ 1

いて座付近の銀河(撮影データは脚注参照)

 七夕は何もせずにやり過ごしたが、本当の七夕は旧暦の7月7日、今年は8月13日になるらしいと知って、なんとなくほっとする。子どもの頃は、自分で調達した笹を学校に持って行って、図工の時間に、折り紙で作った飾りや願い事を書いた短冊を結び付け、各自それを家に持ち帰って軒先にかざすという習慣があった。近頃あまり見かけなくなったが、どうなのだろう。

 函館出身の知人から聞いて知ったことだけれど、当地では、七夕の日の夜に子ども達が集まって町内の家々をめぐり、「ろうそく一本ちょうだいな」と歌い、お菓子をもらったりするのだそうな。「まるで、ハローウィンのようでしょ」と話してくれたが、その時に思い出していたのは、『銀河鉄道の夜』に出てくるケンタウルス祭のこと。

 この作品の四章「ケンタウルス祭の夜」から、この祭の様子を彷彿とさせる記述を拾ってみる。

 街燈はみなまっ青なもみや楢の枝で包まれ、電気会社の前の六本のプラタヌスの木などは、中に沢山の豆電燈がついて、ほんとうにそこらは人魚の都のように見えるのでした。子どもらは、みんな新らしい折のついた着物を着て、星めぐりの口笛を吹いたり、「ケンタウルス、露をふらせ。」と叫んで走ったり、青いマグネシヤの花火を燃したりして、たのしそうに遊んでいるのでした。
 (略)
 十字になった町のかどを、まがろうとしましたら、向うの橋へ行く方の雑貨店の前で、黒い影やぼんやり白いシャツが入り乱れて、六七人の生徒らが、口笛を吹いたり笑ったりして、めいめい烏瓜の燈火を持ってやって来るのを見ました。
 (略)
「川へ行くの。」ジョバンニが云おうとして、少しのどがつまったように思ったとき、「ジョバンニ、らっこの上着が来るよ。」さっきのザネリがまた叫びました。

 最後の「川へ行くの。」から、子供達が烏瓜をくりぬいて中にろうそくを灯した燈火を川に流したりするのかなと、勝手に想像したりする。

 ところで、ケンタウルス座そのものは春の星座で、しかも中心緯度がー50°付近の南天の星座なので、沖縄以南でないと全体は見えない。一方、ジョバンニの父親はらっこ捕りに行ったという設定から、舞台はケンタウルス座の見えないやや北の地方ではないかと思われる。このようなことから、「ケンタウルス祭」と「ケンタウルス座」を結びつけるのは無理があるかなと、以前から考えていた。

 しかし、今になって、下半身が馬で上半身が人というケンタウロス族は、いて座の射手もそうであったと思い出す。そう考えると、夏の夜の祭であるらしい賢治の「ケンタウルス祭」は、我が銀河系の中心方向に位置するいて座を愛でるものではないかと、これも勝手に想像してみる。

----------------
注)f = 50 mm、F2、露出6秒・固定、感度 ISO 3200 相当
横位置の画角で撮ったものを上下に二枚繋げたもの。
古いフィルムカメラのレンズを使ったために像があまい。
絞りを開放(F1.2)にすると収差がひどいので絞ったら、さすがに暗い。
元画像を拡大してみると、6秒でも星像が流れているので、f 50 mmだと、これ以上の露出はかけられない。

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