さつきのブログ「科学と認識」

福島第一原発、アンダーコントロールで、わざと昨年の2倍の放射能を放出か

社会のこと

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 養老孟司氏は、「むずかしい内容は同じむずかしさの程度をもって、表現されるべきである」として、次のような意味のことを言った。つまり、やさしく語れる問題というのは、所詮、最初からやさしい問題にすぎなかったということ。世の中には必ずむずかしい問題があって、ほんとうにむずかしい問題はむずかしくしか語れない。それをやさしく伝えてしまったら、やさしい別の問題にすり替えられてしまう。
 
 このたびの東電原発事故にかかわるいろいろな問題に、この社会がちゃんと対応できていないという現実に直面しているのだが、問題の質が急にむずかしくなった筈はないので、かつては、どの問題もそれほどむずかしくはないと錯覚されていた、ということなのだろう。結局、むずかしい問題をやさしい別の問題にすり替えて分かった気になっていたということではないか。現実とは、まことに正直である。
 
もちろん、この文明そのものをこの先どうコントロールして行くべきかといった、ほんとうにむずかしい問題こそ重要なのだろう。そういう問題になると、いよいよ、私たちの社会はまともに対応できそうにない。
 なにしろ、それ以前の問題に、現にうまく対応できていない。そのことは、専門家達の言うことがバラバラで、原発事故の拡大を防ぐ初動も、その後の復旧も、放射能汚染への対応も、なにもかもうまくいかなかったことから明らかだ。
 
 当然、技術や科学を超える問題へと波及している。マスコミに登場して「100 mSv以下なら安全」と、繰り返し「安全」を強調していた被曝医療の専門家が、実は、過去の学会講演において、10 Svの被曝でも発がんのリスクは無視できない、日本の医療被曝は世界の中で突出して高く、問題があるなどと力説していたことが暴露されたりしている。
 善意に解釈すれば、住民を不安におとしいれないようにとの配慮があったのだろう。しかし、そうした二枚舌はじきにバレるもので、そのとき、不安は一気に肥大化する。このケースでは、価値論的判断から科学の成果がねじ曲げられたということになるが、結局、その医師にとっては問題がむずかし過ぎたのだろう。
 避難に伴うストレスの方が放射線の健康リスクより高いことも予想されるが、私自身は、そうしたことは、基本的には被災者自身の判断にゆだねるのがスジで、そのためには、正確な情報を、迅速に、隠すことなく提供する以外にないと考えている。
 
 放射化学や放射線防護にかかわる単位が多すぎて分かりにくいという声もよく耳にする。Bq, Bq/kg, Bq/m2, Gr, Sv, mSv/yer (uSv/h) などは、全てそれぞれが固有に表現する明確な意味を持っていて、これらを、なにか一つの分かり易い単位に統一することなどできない。目的に応じて正しく使い分けなければならないのであるが、一方で、被曝線量を表す基本単位であるSvは、「等価線量」、「実効線量」、「貯託実効線量」という、それぞれに異なる意味を持つ量に共通に使用されていて、混乱を招いている。
 大気から降り注いで地表に蓄積された放射性物質(フォールアウト)の濃度について、例えば、一ヶ月間の単位面積当たりの積算量はBq/m2で表現されるが、グラフにする時などはBq/m2monthと記すべきである。それをBq/m2のまま掲げてしまうと、ある時点での実測値なのか、一日あたり、あるいは一ヶ月あたりの積算値なのかが、グラフを見ただけでは分からなくなってしまい、誤った議論誘発する(注1)。
 
 再臨界を防ぐために、原子炉へホウ素が注入されたが、再臨界はおこったのかおこらなかったのか、今後おこる可能性はあるのかないのかをめぐっても、意見が対立した。この分野の学問にとって「臨界」という現象は、もっとも中心的な問題である。そこに専門家が口をそろえて断言するような定説がないということは、この学問領域が正しく構成されていないことを意味する。
 天然原子炉についての院生の学会発表を聞いたことがあるが、「臨界」について、核分裂と同時に放出される中性子(即発中性子)が、次々と連鎖反応を起こすといった、高校生レベルの素朴な理解を原子炉のアナロジーとしていることに驚いた。そのモデルが本当なら原子炉の出力制御は不可能だと気づかなければならない(注2)。
 かく言う私も、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の輸送容器(キャスクに、なぜ中性子遮蔽材があるのか、理解できずにいる。
 
 4月30日のエントリーに書いたように、放射能で汚染された食品や飲料水の流通を規制するための暫定基準値の導出過程についても、これを正しく理解している専門家は少ないようだ。実際に今も誤った運用がなされている。
 もともと、特定の核種の汚染量は半減期に従って次第に減少していくことを前提として年間の被曝線量(mSv/年)を積算した時に、安全の目安となる被曝線量を与える単位質量当たりの放射能(Bq/kg)の、その初期値をもって規制値とされているのだから、現在値で規制する場合は、壊変定数に同期した時間の関数として、その時々に引き下げられた基準値を再設定しなければならない。と、こう書いても、どれくらいの人が理解してくれるか、心許ない。
 
 核燃料サイクルの中心的な施設である六ヶ所村の再処理工場はいつまで経っても完成せず、実質的には頓挫したままであるという。高速増殖炉の原型炉もんじゅもしかり。要するに、当初考えられたよりずっとむずかしかったのだ。結果、毎年1000トンもの使用済み燃料が溜まり続け、そのツケを次世代へ押しつけようとしている。そうした事業に何兆円もの金を注ぎ込んできた訳だが、かくも異様な社会がかつてあっただろうか。
 
 このような混乱の例は、あげればキリがない。要するに、何もかもがうまくいっていないのである。専門家の右往左往ぶりを見るにつけ、また、私たち自身の戸惑いや不安や意見の食い違いを思うと、原子力発電とそこから派生するいろいろな問題のむずかしさは、この社会が許容できる限度を遙かに超えているということに気づく。
 
 それならば何故、私たちの社会は原発を抱え込んでしまったのだろう。
 
 過誤というものは、一般に、本当はむずかしい問題を別の簡単な問題に置き換えてしまうことからおこる。
 
大きなリスクを伴う問題で本当にむずかしいと最初からわかっていれば、人は容易には手を出さないものだ。最初はおそらく、いろいろと面倒なことは全て簡単な問題に置き換え、分かった気になって出発したのだろう。そのうち、実はむずかしい問題だと気がついた人は皆手を引いてしまった。残った人々は、置き換えられたやさしい問題として、世の中に広め、分かりやすさ故に社会もそれを受け入れてきた、ということではないか。
 
いまだに、安全な原発は可能との幻想に取り憑かれている人たちがいる。原子炉の耐震設計と電源のバックアップ態勢と津波対策を強化し、使用済み燃料プールの設置場所を再考したら万全という訳だ。これだけでも本気でやろうと思うなら、一から全体を作り直さなければならない訳で、そんなことをしたら採算はとれないし、何年も稼働できなくなる筈だが、そういう話ではないらしい。つまり、相変わらず、簡単な問題として切り抜けようとしているのだ。
 
圧力容器や格納容器の水素脆性の問題も、送電システムの耐震性も、テロ対策も、使用済み燃料の再処理も、放射性廃棄物の最終処分もと考えると、現実の問題はどんどんむずかしくなってくる。繰り返すが、原子力発電をシステム全体として見れば、その難しさはこの社会が許容できる限度を遙かに超えている。
 
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注1)リンク先の論考では当初、気象研究所地球化学研究部が公表した東京・筑波での大気圏内核実験にともなうグローバルフォールアウトの経年変化を示すグラフの縦軸の汚染量が1ヶ月の積算量であることに気づかずに、福島での1日のフォールアウトと比較して、安全だと主張された。しかし、コメント欄でその間違いが指摘され、やがて、安全ではないと主張が変えられた。このような間違いは、場合によっては取り返しのつかない健康被害を生じかねない。
 
注2)ATOMICA詳しい解説がある。ただし、このページには誤字・脱字や不正確な表現が多い。例えば87K87Krの誤りで、表2のβ=(ν/νd)は、β=(νd/ν)の誤り。また、「実際にはあたかも中性子が87Br の半減期である55秒の時間遅れを持って生じたように見える。」とあるが、半減期は確率的に半分になる期間であり、全てが55秒の時間遅れで生じる訳ではないので、表現が稚拙。要するに、このようなページは、「ちゃんとやっています」というポーズを取るだけのために掲げられているのであって、これで勉強しようと思わない方が良い。


 自民、公明、たちあがれ日本の野党3党が菅直人政権に対する内閣不信任決議案を衆院に共同提出したという。まさか可決されることはあるまいと思っていたが、民主党の小沢派と鳩山派が結束して賛成にまわり、可決される可能性が大きくなってきたらしい。「原発震災」の復興に与野党こぞって全力をあげなければならないときに、なにをやっているのか訳がわからない。

 

 なるほど、管首相の震災対応は、とてもほめられたものではない。ならば、その不備を補うような良案・妙案をどしどし出して、一刻も早い収束と復興に協力したら良いのではないかと思うのだが、どうしてそうならないのだろう。

 

 共産党と社民党は棄権するらしい。共産党の志位氏は「この決議案に賛成すると、自公の党略的で、無責任な動きに手を貸すことになる。一方で、菅内閣は信任できないので、党として棄権という選択をすることにした」と述べた。

 

 「自公の党略的で、無責任な動き」の意味内容が良くわからないが、もし震災対応を優先すべきとの発想があるなら、この際、反対票を投じるのがスジではないかと思う。

 

 管総理は、可決されたら解散・総選挙の意向だと報道されているが、実際はどうなるかわからない。もし、そうなったら、長期の政治空白が生じ、震災復興に大きなマイナス影響が出るだろう。一切の選挙運動を行わず、復興に手を尽くすというような覚悟があるのならままだしもと思うのだが、今の政治家には望むべくもない。

 
 前回の記事で四国電力の伊方原発についてふれたが、ついでにこの原発に象徴される問題について整理しておく。
 
 伊方原発の建設に際しては計画段階から強い反対運動があったが、Wikipediaの「伊方原子力発電所には、「反対運動」の項目にも、いわゆる「伊方原発訴訟」についての記述がない。京都大学原子炉のメンバーを中心に活動している「原子力安全研究グループのウェブサイトにある荻野晃也さんの寄稿「コメント:伊方原発訴訟と地震問題」から引用する。
 
 原告が重視したのは、世界最大級の活断層である「中央構造線」の存在でした。この問題は伊方2号炉の訴訟でも中心的な問題になったのですが、敗訴してしまいました。安全審査では、日本の活断層研究の第一人者である「松田時彦・東大助教授」が「この中央構造線は心配ない」とお墨付きを与えました。その後になって反省していて、本にも書いているそうです。しかし、私はこれらの地震学者を許すわけにはいきません。権力に迎合した研究者たちだとしか思えないからです。
 
 荻野さんの専門は原子核物理であるが、「伊方原発訴訟」で原告側証人となった1978年当時、近代的な「活断層学」というものが創始された米国の研究成果を参考に、その危険性を的確に指摘した。一方で、当時の争点の一つに、断層は地震の結果なのか原因なのかということがあったのだが、実は、日本では、荻野さんが批判する松田時彦さんこそが、70年代の早い時期から断層運動そのものが地震動を引き起こすということを主張して、活断層研究の重要性を訴えたその人であり、今日、多数の活断層研究者が育つ下地を創った人でもあった。
 
 その松田時彦さんが、安全審査において「この中央構造線は心配ない」としたのには訳がある。一つには「中央構造線」の多義性という問題(注1)、もう一つは、70年代当時における活断層研究の成果として、中央構造線の活断層としての活動度は、西部の伊予灘地域においてはそれほど高くないと考えられていたという事情がある(注2)。それはともかく、あれから30年が経過して、最新の研究成果ではどう評価されているか調べてみた。
 
 阪神淡路大震災を契機に設立された「地震調査研究推進本部」のウェブサイトの中に、「活断層の長期評価のページがある。その地図上に示された断層番号をクリックスすると、個々に調査結果の詳細を記したページへのリンク先が表示される。この調査は危険度が高いと予想される活断層から優先的に開始され、現在も進行中であり、全ての活断層について網羅されている訳ではないことに注意が必要。
 
 この中で、No.8189の紀伊半島から四国西部にかけての中央構造線活断層系についての最新版は下記。


 
 伊方原発に影響を及ぼすのは「石鎚山脈北縁西部の川上断層から伊予灘の佐田岬北西沖」である。関係する記述を、以下に引用する。
 
3.断層帯の将来の活動
 中央構造線断層帯は連続的に分布しており、地表における断層の形状のみから将来同時に活動する区間を評価するのは困難である。ここでは主に過去の活動時期から全体を6つの区間に区分したが、これらの区間が個別に活動する可能性や、複数の区間が同時に活動する可能性、さらにはこれら6つの区間とは異なる範囲が活動する可能性も否定できない。
 6つの区間が個別に活動する場合には、以下のような地震の発生が想定される。
(中略)
 石鎚山脈北縁西部の川上断層から伊予灘の佐田岬北西沖に至る区間が活動すると、マグニチュード8.0程度もしくはそれ以上の地震が発生すると推定され、その際に2−3m程度の右横ずれが生じる可能性がある(表1)。
(中略)
また、紀淡海峡から鳴門海峡に至る区間、讃岐山脈南縁から石鎚山脈北縁東部の石鎚断層に至る区間、石鎚山脈北縁の岡村断層からなる区間、及び石鎚山脈北縁西部の川上断層から伊予灘の佐田岬北西沖に至る区間は、今後30年の間に地震が発生する可能性が、我が国の主な活断層の中ではやや高いグループに属することになる。
 
また、「表1 中央構造線断層帯の特性」には以下の記述がある。
 
過去の活動時期
 活動1(最新活動): 16世紀
 活動2(一つ前の活動):1世紀以後、8世紀以前
  ただし、活動2は重信断層以西には及んでいない可能性もある。
 
平均活動間隔
 石鎚山脈北縁西部−伊予灘  約1千−2千9百年
 
地震の規模
 マグニチュード8.0程度もしくはそれ以上


 さらに、「表3 想定される将来の地震規模」によると、四国全域から伊予灘にかけての断層が連動して動いた場合のモーメントマグニチュード(Mw)7.88.2、紀伊半島以西の全ての断層が連動した場合にはMw7.98.4になると予想している。


 内陸地震(地殻内地震)としてMw8以上のものは、ほとんど記録がないのではないかと思う。兵庫県南部地震のMw6.9 であったことを想起すると、直下型地震の破壊力の凄まじさが理解されよう。


 地殻内地震としては異常に大きなマグニチュードが想定される理由として、中央構造線の特異な構造がある。北米西海岸のサンアンドレアス断層のように、横ずれ断層は、ふつう断層面が鉛直になっているため、断層面を深部へ延長した「幅」は、地殻が脆性破壊を起こす最大の深さ(日本では平均15 km)より大きくはならない。ところが、紀伊半島から四国にかけての中央構造線は北へ2040°で緩く傾斜しているため、深さ15 kmに至るまでの「幅」が2030 kmにもなる。モーメントマグニチュードは断層の面積(長さ×幅)とずれの大きさに比例するので、海溝型(プレート境界型)地震にも匹敵する大きなマグニチュードになる。

 伊方原発は、内陸の地殻内部を震源として、海溝型地震にも匹敵する巨大地震を起こす可能性のある中央構造線の直近に建設されているという点で、立地条件としては浜岡原発とともに最悪と言えよう。

 同じように、九州電力の川内(せんだい)原発、中国電力の島根原発、関西電力の美浜原発、東京電力の柏崎刈羽原発、電源開発が建造中の大間原発なども活断層の問題を抱えているが、いずれにおいても電力会社の「活断層隠し」が問題になってきた。

 原発の新設にかかる安全審査に際しては、活断層の調査が義務づけられているが、電力会社が調査・作成した資料をもとに、それが正しいという前提で審査されているのである。誰かが訴訟でも起こさない限りその真偽についておおやけに議論されることはないが、一度建設されて稼働を初めてしまえば、運転差し止めを求めても審査結果が翻ることは期待できない。5月28日の中国新聞社会面に載った島根原発についての記事の一部を引用しよう。
 
建設当初、中電は近くに考慮すべき活断層は「存在しない」としていた。それが1998年、原発の南約2.5キロに長さ8キロの「宍道断層」の存在を認める。2004年には10キロ、08年には22キロに延長。その都度国も長さを承認した。
(中略)
地元住民の一部は、中田高・広島大名誉教授の地質調査を基に、宍道断層は全長30キロ以上あると主張。運転差し止め訴訟を起こしたが昨年5月、松江地裁により棄却された。・・

中国電力の度重なる「訂正」の背景には活断層研究者達の地道な取り組みがあった(資料1)。原子力安全委員会の安全審査の姿勢にも問題が多いと指摘されている(資料2


このたびの東電原発事故でも露わになった電力会社と原子力安全委員会がグルになっての隠蔽体質を思えば、泥棒に金庫番をさせるに等しい審査体制と言えよう。石橋克彦さんが指摘するように日本においては原発の立地に適した場所などない。予防原則の立場に立って安全審査を厳密にやれば日本での原子力発電は成り立たなくなるので、原子力推進派としてはこのような審査体制を敷く他ない。
 
私が原発に反対する理由として「立地条件」の問題は大きくはないのだが、差し迫った危機という点では大変重要と考えている。この次の大規模な原発事故は世界のどこでおこるか。再び日本でおこる確率が最も高いのである。
 
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注1:「中央構造線」は白亜紀中頃(約9千万年前)に発生し、当時のプレートの斜め沈み込みに対応して左横ずれの断層運動をおこした。この運動は数千万年以上継続して、少なくとも400 km以上、一説には2,000 kmにも及ぶずれを生じ、このため幅広い断層破砕帯が形成され、その差別浸食によって衛星画像にもはっきりと現れる顕著な谷地形の連なり(リニアメント)が形成された。
 今日、「中央構造線」という時、その最も顕著な特徴は、この白亜紀から続く第一期の活動によって形成され、地体構造を分ける大規模な構造線になったと考えられている。その後幾つかの異なる運動時階を経て、第四期になると右横ずれ運動に転じて活断層となったが、その位置は、本来の中央構造線の位置からずれている場所も多く、地質境界になっていないこともある。つまり、活断層としての中央構造線は、いわば「見かけ倒し」との通念がある。
 
注2:「活断層研究会」が1991年に出版した「新編 日本の活断層―分布図と資料」では、中央構造線に沿う愛媛県西部の伊予断層について、確実度I、活動度A、と記載しているが、より西方の伊予灘海域においては、1975年に実施された佐多岬半島北岸海域における音波探査の結果から、確実度II、活動度Cと判定されていた
15年ほど前、同窓会の二次会の席上、原発関連の仕事をしている友人と口論になった。二人共シコタマ飲んで酔っていたので、売り言葉に買い言葉。私が「原子力産業関係者はウソつきばかりではないか」と口走ったことからエスカレートしてしまったのである。その場は、恩師になだめられてしぶしぶ鉾を収めるということになった次第。このこと自体はたいしたことではないが、その際に具体的にどのような出来事を念頭に「ウソつき」と言ったのか、当時のことが思い出せない。それくらい、日本の原子力産業かいわいには、事故隠し、欠陥隠し、活断層隠し、虚偽報告などが日常茶飯事のようにあふれていて、いちいち思い出せないくらいになっていた。
 
かねてより、原発に対する私の中心的な問題意識は、原子力基本法に謳われている「民主、自主、公開」の平和利用三原則は絵に描いた餅であるということであった。
 
民主:日本国家の民主主義的諸原則がまともに機能していないときに、原子力開発だけは民主的に運営され得ると期待するのは愚かと言うべき。
 
自主:ウラン調達も、使用済み燃料の再処理も他国任せである以上、自主はあり得ない。米国の核開発で余ったウランを押しつけられたり、英仏の国内法に縛られた形で使用済み燃料の再処理を委託したりしなければならない。IAEAに加盟している以上、そもそも完全に自主的であってはいけないという側面もある。
 
公開:核兵器が「貧者の兵器」と呼ばれるように、最も安上がりの大量破壊兵器となり得ることから、核施設はテロ攻撃の標的になりやすく、ことに、貯蔵や運搬に関わっては真の公開ということはあり得ない。高レベル放射性廃棄物でさえ、これを盗んで散布するだけで広義の核兵器(汚い爆弾)となり得る。そのため、例えば核燃料や高レベル廃棄物の輸送については、日程やルートが非公開になったりする。ただでさえ、日本の原子力施設はテロ対策がなっていないと海外から批判されているので、この傾向は今後ますます強まるだろう。
 
「公開」があり得ない以上、「民主」も「自主」もあり得ないという関係にあるので、真の公開は不可能という問題こそが原子力開発に歪みをもたらす元凶になっている。原子力業界の隠蔽体質も、このことと無関係ではないかもしれない。
 
1995 年、日本がフランスのCOGEMA 社に委託していた使用済み核燃料の再処理で生じた高レベル放射性廃棄物が返還されることになった。既に、93年には再処理で核燃料として抽出されたプルトニウムが返還されていたが、フランスの国内法により廃棄物の返還も義務づけられている。4月26日、高レベル放射性廃棄物返還輸送船パシフィック・ピンテール号が青森県のむつ小川原港に入港し、荷揚げ・陸上輸送されることになった。4.26と言えば、奇しくも1986 年にチェルノブイリ原発事故が起こったことで記念されるべき日である。その日の様子を大庭里美さん経由で聞いたことがある。
 
全国の反原発グループは、半年ほど前から高レベル廃棄物の返還(長距離輸送)に対する抗議行動を計画していたが、直前まで、海上も陸上も輸送ルートと日程が非公開とされていた。93年のプルトニウムの荷揚げは東海港であったが、六ヶ所村の廃棄物保管施設が完成間近ということで、そこから7 kmほどと近いむつ小川原港に荷揚げされると予想された。具体的な作業時間が絞り込めないが、反対派は、ルートとして予想される何カ所かに分かれて集結した。ついに、その一つのグループが待ち構えているところへ、巨大な円筒形のステンレス容器を積んだトラックが現れ、目の前を通り過ぎようとするまさにその時、突然にわか雨がザーッと降ってきて、放射能で高温になっていた廃棄物容器から蒸気が盛大に立ち上った
 
2006年3月に公開された東電社内グループによる下記検討資料に、六ヶ所村の一時保管施設の概要と将来の見通しが記されている。
海外再処理に伴い発生する返還廃棄物について
 
この資料を読むと、上記の第一回返還の際には、高レベル廃棄物のガラス固化体28本が返還されていて、その後、年1回のペースで2005年の第10回までに合計1,016本となっている(注1)。同資料は、このCOGEMA社のガラス固化体について次のように記載している。
 
高さ:約 1.3m 、外径:約 0.4m 、容積:約 170L 、重量(最大):550kg  
α放射能量(最大):3.5×10^14Bq 
βγ放射能量(最大):4.5×10^16Bq
想定返還数量:約 1,350本 (約 260m3)

 
βγ放射能の4.5×10^16Bqは、4.5京ベクレルであり、この度の東電原発事故に際し、レベル7に引き上げられた時点での全放射能放出量のおよそ10分の1の量となる。しかもこの時点では、数ヶ月未満の半減期を持つ短寿命核種は大部分消滅していて、主体は、半減期数十年から数万年の放射性核種である。最終処分ができるようになるまで地上施設において30〜50年間保管し、その後1〜10万年もの間管理するということになっている。この1本だけでもテロリストに奪われたらどうなるか、想像がつかない。
 
高レベル放射性廃棄物(死の灰)は、今も運転中の原発で日々大量に生み出されている。先週5月15日のサンデーモーニングで、河野洋平氏は、放射性廃棄物処理の目処も立たない内に原発を運転するのは不道徳であると語った。不道徳な連中に「民主、自主、公開」の三原則が守れると期待するのは、どだい無理というものだ。原発が停止されて電力不足で停電になれば、(病院などで)死者が出るとか弱者にしわ寄せがくるなどといった道徳をふりかざす主張を見かけるが、そもそも話の順番が違っていることに気づくべきだ。
 
参考:「七重のまったり日記」より、
原発を止めると電力供給が追いつかなくて弱者が死ぬ」という主張が「ゲスい」わけ
 
原子力発電は、国家的危機を招くおそれのある多岐にわたる要因を無制限に拡大しつづけていると言えるだろう。
 
さて、原子力産業の「ウソつき体質」の件であるが、記憶に残る「事件」として、2003年におこった東電の全原発停止問題がある。
東京電力2003年4月14日プレスリリース「福島第一原子力発電所6号機の点検停止について
 
「これにより、当社の保有する原子力発電プラント17基(合計1730.8万キロワット)全てが停止することとなります。」
 
きっかけは、ひとつの内部告発であった。この事件を扱った「2003年の筑紫哲也News23」がYou Tubeで紹介されている。
 
経過の一端は、東電の広報誌「TEPCOレポート」の2003年8月特別号にも報告されている。とりあえず、これをそのまま信じることにして、上記「News23」の報道内容と合わせると、つまり、こういうことだ。
 
1989年8月、福島第一原発1号機の定期点検のために派遣されていたアメリカGE社の技術者スガオカ・ケイ氏は、蒸気乾燥機が180度間違って取り付けられ、多くのひび割れもあることを発見したが、GE社は、東電の強い求めに応じて、点検報告書からそのことを削除した。証拠ビデオも東電の指示により改竄された。98年、スガオカ氏はGE社を解雇されるに及び、2000年6月に来日して、旧通産省資源エネルギー庁に内部告発、福島県知事とも面談した。その後1年に渡って、スガオカ氏と通産省との間で事実確認についてのやりとりがあったものの、やがて通産省からの連絡が途絶える。
 
東電の社長が突然お詫び会見をしたのは2002年8月になってからである。スガオカ氏が内部告発したのは2件の事案についてであったが、調査の結果、29件のトラブル隠しが発覚したのだと言う。
 
まったく、次にどんなウソをついてくるか、油断もスキもあったものではない。
 
それらのことが正式に原子力安全・保安院へ報告されたのは2002年9月。その後10月から順次「定期点検」と称しての停止操作が始まり、翌2003年の4月15日の福島第一原発6号機の停止をもって東電の全原発が停止することとなった。やがて、同年5月7日には、柏崎刈羽原子力発電所6号機の発電再開を皮切りに、順次再起動され、電力需要が増加する夏を目前に正常化された。全原発が停止していた期間は22日間である。この事件は、はからずも、原発こそが最大の不安定電源であることを証明することとなった。
 
前掲「News23」の中で、GE社の幹部が、「日本人はクレイジーだ」と語ったと紹介されている。自らを含む日本国および日本人を危険にさらしたまま、欠陥原子炉と分かっていながら10年以上も運転し続けたのであるから、東電には原子力発電を管理・運営する資格も能力も、もともとなかったと言えるだろう。東電だけが悪いのでないとすれば、日本人には・・と言うべきか。
 
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注1: COGEMA社から返還される高レベル廃棄物は、他にも固形物収納体3,600本、ビチューメン固化体1,100本などがあり、英国核燃料公社(BNFL)からも同程度の返還がある。
迂闊だった。

前回の「地震兵器」の記事に、「妄想科學日報」さんから有益な情報をトラックバックいただいたので、実際に行われている「人工地震」を用いた研究(注1)のことを紹介しようと「人工地震 サンアンドレアス断層」でネット検索したが、目的の情報が見つからない。「サンアンドレアス断層 注水試験」で試したが、やっぱりダメだ。「野島断層 注水試験」や「葛根田 注水試験」はそれなりの情報がヒットする。そこで、「人工地震」だけで検索してみた。
 
なんということだ。1,400万件がヒットして、そのほとんどが「人工地震」=「地震兵器」という妄想(陰謀論)の産物ではないか。
 
全く迂闊だった。
 
ここまで盛り上がっているのは、どうやら、広島の民主党県議が震源地の一つになっているらしい。
資料1
 
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“今、日本は戦時下の非常事態にあることを認識すべき。自然界ではありえない地震だということは、「人工地震」でネット検索をかければ、実証データがでてきます。なぜか、ここにリンクで貼れないので、自分で確かめて下さい。 日本のマスコミが報道することだけを信じるな!が、私のつぶやきの意図です”
-------------------------
 
そこで、陰謀論者の巣窟である「阿修羅」を、おそるおそる覗いてみた。
あるはあるわ、例えばこれ

それにしても何故文部科学省所管のちきゅうにアメリカ人と思われる白人たちが乗船、調査しているのでしょうかね?不思議でなりません
 
って、いったい。IODPは、最初から国際プロジェクトとして出発しているのに・・・
 
阿修羅で人工地震テロがランキング1位になった」らしい。
 
もうだめだ、頭がくらくらする。
 
1,400万件のゴミ情報に埋もれて、ほんとうに大切な情報にたどり着けないということを実体験してしまった。
 
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注1)「人工地震」には、爆薬を用いたものの他に、地下に高圧の水を注入して起こされるものがある。前者は地震波探査によって地下構造を探るために、後者は、特定の断層や、付近の岩盤の力学特性を探査するために行われる。ダムの貯水によって地震が誘発されるということはかなり以前から知られていた。これは、ダムの水が地下に染みこんで岩盤の間隙水圧を高め、その分だけ有効封圧が低下するからと説明されている(資料2)。
 
かつてアメリカでは、活断層の周辺で蓄積されている弾性エネルギーを、高圧水の注入によって計画的に解放させ、つまり人工地震を起こさせ、地震の不意打ちによる災害を軽減させようとのアイデアが出されたことがある。
 
これらの情報を収集しようと試みたのだが・・・

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