tassa税金taxSteuer,impuesto

戦争は戦争のために戦われるのでありまして、平和のための戦争などとは嘗て一回もあったことはありません

全体表示

[ リスト ]

イメージ 1

「2005年の思い出」



歳の暮れに2005年をふり返れば何を思い出すだろうか。それはもちろん人による。かけがえのない誰かとの出会い、あるいは死別、あるいは成功、あるいは失敗・・・そういう私的な出来事ばかりではなく、大多数の人々が思い出すだろ画期的な、……少なくとも画期的らしくみえる事件もあった。

 女の夜道が危ないどころか、小学生を路上に襲う犯罪が相次いだのもその一つである。子供が無事に自宅の「アパマン」に辿り着いても、その晩地震があれば忽ち崩壊して圧死するかもしれない。そういう手抜き工事が全国に何十となく散在していることも、この年にわかった。神戸の地震では高架高速道路も崩れた。手抜き工事は今やこの国の文化的伝統のようにみえる。
 子供が学校に通う路上から拉致されず、地震にも耐えて生きのび、スクスクと育ったなら、食べ物に注意しなければならない。鳥類は食べない方がよいだろう。トリ・インフルエンザ・ビールスの大流行がいつ始まるかわからない。米国産の牛肉も、BSEの疑いがはれるまで、あきらめた方が用心深い。「ながらえば今このごろやしのばれんうしたべし世ぞ今はこひしき」

 そしてこの年2005年に、日本の首相は自民党を率いて9月の総選挙に大勝し、対外的には靖国神社参拝を強行することで、アジア殊に中・韓両国との政治的関係を戦後最悪の状況に導いた(いわゆる「政冷経熱」)。首相白身はこの「政冷」を「一時のことにすぎない」と語っている。「一時」がおよそどの程度の長さを意味するのかあきらかでないが、長ければ長く、短ければ短く、日中関係の画期としてこの年は記憶されることになるだろう。
 いずれにしても2005年の事件の多くは、10年といわず少なくとも5年は、問題を根本的に解決しないままで続いていくだろう。
 2010年の日本社会は、5年前に始まった出来事を語ること少ないかもしれない。それならば問題解決はなおさら先送りされるだろう、……手抜き工事の対策から手抜き外交政策の修正まで。

 50年後には今の日本の何が思い出されるだろうか。それは50年後の状況による。敗戦・占領の後50年以上経って日本は大いに変わったが(経済的発展)変わらなかった面もある(政治的保守主義)。同じ時期のドイツと比較すれば、戦前と戦後の政治権力の断絶(その構造と指導者の機能の仕方における断絶)は、ドイツの場合に著しく、日本の場合に明瞭でない。そのことからベルリン市の真中にユダヤ人犠牲者の碑があり、東京の真中に日本の戦没兵士と合わせて戦争指導者を祀る神社がある、というちがいが出て来るのだ。さらにそのちがいは戦後の日独と隣国との関係にも反映して今日に及ぶ。
 20世紀前半のアジア・太平洋地域で日本軍が戦った戦争(15年戦争)には二つの解釈がある。第一、アジアを西洋の植民地帝国主義から解放して「大東亜共栄圏」を建設することを目標とした義戦。第二、中国侵略を中心とする軍国日本の膨張政策と、そのために生みだされた厖大な人数の死傷者と特徴とする犯罪的戦争。

 第一の解釈は、戦時中の日本の見方で、積極的に支持する国は日本の他にほとんどなかったし、今もない。この解釈によれば、戦争の指導者は犯罪人ではなくて、英雄的愛国者とされる。第二の解釈は日本以外のほとんどすべての国の圧倒的世論であり、各国政府−もちろん戦中・戦後の米国も含む−の見方であり、殊に昭和天皇を除く戦争指導者たちを「A級戦争犯罪人」と断じた東京裁判の考え方である。 
 そこで戦後日本の指導者たちはどちらの解釈をとって来たか。表向きに、ためらいがちに、第二の侵略戦争観を認めながら、また折りにふれて第一の解放戦争説を示唆するような言説・行動をくり返してきた。首相による靖国神社参拝の固執はその典型であり、2005年に頂点に達した。同時に日中関係は、あらかじめ予想された通り、国交正常化以来最悪の状態となった。そのことを50年後の人々も思い出すだろう。

 日中関係ばかりではない。靖国参拝の糸を辿れば日米間の摩擦にも行き着く。靖国参拝(それ白身の違憲判決は二回、合憲判決はなし)は、靖国史観を公認し、靖国史観は戦争を美化し、東京裁判の前提を真っ向から否定する。その否定は、米国の戦った第二次世界大戦の正当化の否定でもある。米国がそれを歓迎するはずはなかろう。たしかに米国の政治はブッシュ政権の下で右へ動いた。日本の政治はそれより早く右へ動いたようにみえる。右よりに追いつき追いこせか。

 その兆候はすでに2005年に現れていた。現にたとえば国務省報道官の警告(2005年10月15日記者会見)。またたとえば7月の下院の東京裁判判決を再確認する決議。ジャーナリズムではすでに無数の例があるが、たとえば「ニューヨーク・タイムズ」(10月18日付)は首相らの参拝を「無意味な挑発」と称していた。米国との軍事同盟を強化さえすれば「世はすべて事もなし」 (All’s right with the world))というほど世界は簡単にできていない。

500年後はどうか。2005年の日本でおこったどんな事件も人物も思い出されないだろう。このまま進めば核不拡散条約の極端な不平等体制は崩れる。核武装野放し状態の出現は時間の問題で、おそらく100年とはかかるまい。それでも核戦争なしでさらに100年が過ぎるとしよう。その間に有効な世界政府はできないだろうから、いつか遂に第三次世界大戦がおこる。多くの愛国者はナショナリストとなり、多くのナショナリストは「ならず者」となり、神も仏も現われず、放射能エントロピーは増大し、地球上には平等に廃墟と焼け野原が拡がる。
 500年後の世界に日本国や日本語は消滅しているから、もう誰も思い出さないだろう。ただ考古学者だけが、昔の日本列島に在った国の遺跡を発掘し、小さな石碑の破片に刻まれた文字を判読するかもしれない。その文字は「かくとだに」と読め「さしも知らじな燃ゆる野原を」と読める…。


.
モンテ・ヤマサキ
モンテ・ヤマサキ
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

Yahoo!からのお知らせ

検索 検索

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!
CMで話題のふるさと納税サイトさとふる
毎日お礼品ランキング更新中!
2019年のふるさと納税は≪12/31まで≫

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事