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戦争は戦争のために戦われるのでありまして、平和のための戦争などとは嘗て一回もあったことはありません

キューブリック

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ラスト

プレイボーイ:何らかの形の強力な世界政府、あるいは急進的で新しい社会、政治、経済システムのなかには、核戦争のような問題に合理的でしかも長期的に対処できるものがありますか?



キューブリック:そうですね、現在のシステムでうまくいっているものは一つもありませんが、どう変えればよいかも分かりません。哲人王のグループが考え、恵み深く、すべて知りつくしたうえで、万事、温情主義で運べたらよいといつも思いますが、その哲人王はどこにいるんでしょう? いても後継者をどう育てるんでしょう? そんなことは無理です。民主主義社会にはそれなりの緊張や矛盾もありますが、問題なく史上最良のシステムであることは認めるべきです。チャーチルだったと思いますが、かつて「民主主義は世界最悪の社会システムだ、これ以外を除けばね」と指摘しています。



プレイボーイ:あなたの作品は現代の産業化された西洋民主主義社会への強い敵意、オートメーションにはことさら敵意――皮肉にも妖しい魅惑的なレースをまとっている――を抱いていると非難されます。「2001年」でも唯一人間らしいのは最大の悪役コンピュータ HAL9000で、このことはきわめて明白だと批評家たちは主張します。機械が人間にちかづき、人間が機械のようになると思いますか――そして両者のあいだで、支配権をめぐる最終闘争が起きると思いますか?



キューブリック:まず初めに、機械に対する敵意なんてこれっぽっちもありません。事実はまったく逆です。それでも機械の時代の入口に立ち、機械とはすでに複雑な関係にありますが、機械が知的になるほど関係はさらに複雑になるでしょう。最終的にはこの惑星を機械と共有し、機械の知性や能力は人間をはるかに凌(しの)ぐでしょう。しかしこの共存関係によって――人間が合理的に管理すれば――社会は測り知れないほど豊かになるでしょう。

 遠い未来を考えると、なかば知覚のあるロボット・コンピュータのサブカルチャーが発達し、いつの日か人間はもはや必要ないと判断されることも想像できます。究極の未来型コンピュータの話を、たぶん聞いたことがあるでしょう。何ヵ月もかけて科学者たちがコンピュータにあたえる問題を考え、ついによい質問を見つけました「神は存在するか?」。一瞬ライトがぐるぐる回り、点滅したあと、1枚のカードが出るとこう印刷されていました「今はいる」。しかしこの問題は現実とあまりに縁遠く、一晩中これに悩むつもりはありません。トースターやテレビの類はみな普及するし、また電話の集積回路のことはよく知りませんが、それ自身が生命までもち、意地悪になり、ときどきストライキを起こすと確信しています。



プレイボーイ:未来のエレクトロニクスや機械といえば、「2001年」では信じられないほど精巧な機械類や、宇宙飛行の場面が喝采を浴びています――意地悪な批評家さえそうです――映画の大きな飛躍です。こんなすばらしい特殊効果を、どのようにして作ったのですか?



キューブリック:かぎられた時間で技術的なお話をするのは無理ですが、この特殊効果を生むにはまったく新しい技術を考え、設計、開発する必要があったとはいえます。これに18カ月の時間と、1050万ドルの予算のうち 650万ドルを費やしました。MGM社長のロバート・M・オブライエン氏には常識を超えたものすごい信用があり、さらにわたしを篤く信頼して、当時は完成できるとも思えない仕事をやらせてくれました。特殊効果の場面を――映画史上かつてないものも含めて――完璧に仕上げるにはこの方法しかなかったと思います。



プレイボーイ:特殊効果への感謝をこめて、映画史上もっともリアルに宇宙飛行を描いた映画が「2001年」であることに疑問の余地はありません――でも、あなたは民間のジェット旅客機にさえ乗らないそうですね。なぜですか?



キューブリック:自分が死ぬことを知るのが怖いからだろうと思います。他の動物とちがって、人間には自己の最期を概念化する力があり、それが恐ろしい心理的緊張を生みます。容認するしないにかかわらず、各人の胸の内にはこの究極の知識に怯える一匹のちっぽけなイタチが棲(す)み、自我や目的意識をかじり取るのです。われわれはある意味幸運で、身体とそれに必要なものや機能が充足され、生活に欠かせない役割を果たしています。この肉体的な殻が人間と、誕生から死までわずかな存在年数しかないという、精神が麻痺しそうな認識のあいだの衝撃緩衝材になっています。心静かに椅子に座り、自分の死期が迫ったことや、この宇宙で自己の存在は身震いするほど無意味で孤独だと考えれば、人はきっと発狂するか虚無感に打ちひしがれるでしょう。そしてこう自問するでしょうか――自分は想像もつかない広大な宇宙を渦巻いて飛ぶ、塵や埃にくっついたはかない細菌にすぎないのにどうして偉大な交響曲を書こうと悩んだり、生活に苦労したり、人を愛さなきゃならないんだろう?

 このような視点で人生を考える人たちは――人生の目的など理解できず、無数の星々のただ中で人知れず死んで、なんの記録も残らないと悟っています――強い感受性に追いつめられて宗教に走り、いとも簡単に自己喪失感におちいるのです。よく分かりませんが、マシュー・アーノルドにとって人生はこうなります「薄暗い平原・・・そこでは無知な軍隊同士が夜まで戦う・・・苦痛のあまり愛もなければ、希望も確信や信仰も、そして休むこともない」。感受性が弱く、自己のはかなさやつまらなさを明確に理解できない人たちでも、この不完全性に気づくと人生の意味や目的を失います。これが「多くの人びとが人生に完全に絶望する」理由であり、死と同じく生にも意味はないと思う理由です。

 世界中の宗教は、その偏狭さのゆえにこの大きな痛みを癒してくれるのです。でもいまや聖職者が神の死を語り、再度アーノルドを引くと「信仰の海は、長い陰鬱な唸(うな)りを残しながら」世界中から退き、人間はよるべき杖さえ失っている――しかも理不尽にも、生きる目的をあたえる希望までも。この人間は死ぬという認識を打ち砕くことこそ、精神科医も気づいていると思いますが、ほとんどの精神病治療の根本です。



プレイボーイ:それほど目的がないのなら、人生は生きるに値すると思いますか?



キューブリック:イエス。苦労しながらも、人間が死ぬということに何とか対処するためです。人生が無意味だからこそ、人間は意味を創造しようとするのです。分かりきったことですが、子供が人生を始めるときは不思議への感覚は澄みわたり、何にでも、たとえば葉っぱが緑色であることにさえ、全身で喜びを感じる力があります。だが成長するにつれて死や頽廃を知り、意識も変わって生きる喜びや理想主義的なもの――そして死ぬことはないという思い込みも――しだいに蝕(むしば)まれます。子供が成熟すると、死や苦痛は周囲のいたるところあると知り、信仰や人間の究極的な善性を信頼しなくなります。それでもそれなりに強ければ――そして運がよければ――この魂のたそがれから力に満ちた人生に生まれ変われます。人生の無意味さを知ったがゆえに、また知ったにもかかわらず、人間は新たな目的意識をもち人生を肯定できるのです。誕生時にもっていた不思議への純粋な感覚は二度と得られませんが、はるかに強靱でゆるぎのない何かを形成できるのです。宇宙のもっとも恐ろしい側面は、敵意があることではなくまったく変化がないことです。この一定不変の状態に慣れ、生死を賭けた挑戦を認めるようになれたら――人間は移り気ですからたぶんそうなるでしょう――種としての人間存在は、人生の真の意味と充足を得られるでしょう。それにしても闇は巨大ですが、光を当てねばなりません。



プレイボーイ:核戦争の破局で全人類はかならず死滅すると知りながら生きて、個体あるいは種としての人間は人生の深い意味や充足を見いだせるでしょうか?



キューブリック:そうあらねばなりません。さきほどの分析では、人間の本性を変えずに、自己絶滅の脅威を消し去る方法はないと聞こえたかもしれません。苦労の末、世界中が弓矢のレベルまで軍縮してもなお、核兵器製造法の知識やその使用の正当化を容認するような邪悪な心を、ロボトミー手術で除去するのは無理です。世界の非武装化について、二つのモデルを使って考えてみましょう。第1、ある国がすこしだけ軍備を蓄えると、その国は早くそれを使いたいという強い衝動にかられます。したがって、完全非武装の世界では核兵器の限定使用の可能性がきわめて大きく、世界が全滅する可能性は低くなるという結論が導かれます。第2は、ハリネズミのように武装された世界では、武器を使用する機会は減ります――しかし使用した場合には、絶滅の可能性が大きくなります。

 地球的な視点を去り、この悲劇的なパラドックスを異星人の目で公平に眺めると、全体が不合理きわまりません。ある種、狂気で沸騰する状況のなかで人類はいま強大な武力をもっている。ご指摘のように、種全体を滅ぼすほどの力です。われわれが地救最後の世代になりかねません。一つの計算ミスと歴史が達成したすべてが、一片のキノコ雲のなかに消滅しかねません。誤った1歩と、1000年を超える人類の意欲と努力のすべてが終息しかねません。コンピュータ回路の1か所の短絡、指揮系統にいる1人の狂人、そしてわれわれは、人類の夜明けから死を積み重ねてきた幾十億人もの遺産を拒絶し、まだ生まれぬ幾十億人への約束を踏みにじることができるのです――究極の残虐行為です。全滅をもたらしかねない核の力の発見が同時に、あらゆる知的文明が踏みだすにちがいない、宇宙へのたどたどしい第1歩でもあることは皮肉です。不幸なことに、この世界では文明の勃興期には幼児死亡率がきわめて高いのです。われわれも例外ではありません。宇宙的スケールでみれば、この惑星の破壊などたいした意味はありません。アンドロメダ銀河にいる観測者から見れば、人類の絶滅などほんの一瞬天空に輝くマッチの炎にすぎません。そのマッチが暗闇のなかで炎を上げても、星々のあいだに一点の光を灯すために、自分の力を葬送の薪の着火に使った連中を嘆く者などどこにもいません。選択するのはわれわれです。

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