レフト・シンチーのオペラ

昼は本を読み、歌を詠み、夜は酒を呑む。私です。

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紅 第四話 感想

『紅』第四話は少しずつですが、真九郎の過去、これまで隠されてきた右肘の崩月の角も解ってきました。そして、紅香がなぜ真九郎に紫を預けたのかも。九鳳院の奥方に、娘に恋をさせて欲しいと頼まれて、紫を真九郎のところに連れていったのは、紅香のどんな勘が働いたからなのでしょう。確かに真九郎は幼少の頃に大きな体験をして、もっと違う自分になりたいという意識を持ちましたから、九鳳院というカゴの中で外を知らなかった紫が、見たこともないような生活を営んでいる真九郎に会うことで彼女のこれからにとって、大きな体験になることは間違いないでしょう。紫はまだ六歳ですから、恋といっても憧れや尊敬が混ざった、ちょうど真九郎が紅香のようになりたい、と思うようになった心理とよく似ています。ここでの一種の恋が紫の人生にとってのポイントとなるとは思います。紅香は真九郎にとっても、大きな組織から自分の運命を決定づけられ得ていた少女が、自分で一歩を踏み出そうとしているかもしれないという自分と近しい状況におかれている紫とは意気も合いやすく、本気で護ろうと思うようになって、その意識が真九郎をさらに強くするかもしれないという彼女の確信が、作中の不可思議な状況を生みだしてしまったのでしょう。一つのボロアパートの部屋から、様々な人の想いや過去が重なり合って、ある時点を生みだし、これからにつながっていく、そんな原作とは一体どのようなものなのでしょう。少し興味が湧いてきました。
今回の話でも紫は物分かりがいいですし、気だてもすごくいい娘でした。九鳳院にいたら知ることもできなかったことを、彼女は今、確実に学んでいっているのでしょう。そして、そんな紫の周りを引っかき回している五月雨荘の住人に関しては、これから話を追うごとに出番も増えてくると思うので、そのときにしましょう。
そして、『紅』が初めて放送されたときに話題になったのが、OP、EDの雰囲気と本編がまるで違うということでした。過去に、OPで軽やかなつかみをしておいて、本編でシリアスな展開を観せるなんてことは、これまで多くの作品で使われてきました。基本的にOPというのは作品の主題、主要なキャラクターの紹介、本編までのつかみという役割を帯びています。ただ単調にテーマに合わせてキャラクターが歌い踊っているだけでは、視聴者を本編まで引き留めておくことはできません。やはり、これから本編を観てみたいと興味を抱かせるような作りでなければいけません。まさに『らき☆すた』や『月詠』などはその例です。OP映像に凝るというのは、とても価値があることですし、作品に対するスタッフの本気度居合いも図ることができます。『紅』はOP、ED共に斬新さを狙った演出です。糸繰りドールのように動き回るキャラクターの演出はこれまでになかった発想です。OPでは作品の主題というよりも、どんなキャラクターがいて、誰がその声を充てているのかを示すだけで、他の役割はあてにされていません。しかし、つかみとしては上出来です。まさに何が始まるのだろうかという興味を湧かせる楽しげなテーマと演出になっています。
EDも、終始止め絵を何枚か使って、それぞれに2パターン違う色彩の絵を連続して観せていきます。これを観たとき最初に思ったのは、アンディ・ウォーホルの『マリリン・モンロー』でした。ウォーホルはアメリカポップアートの先駆者として活躍された人物ですが、彼の描く肖像画は一面的なものではなく、色彩の緻密な変化によって同じ人物の様々な印象を掘り下げていくような作りをしています。最も有名なのは八通りに色分けされたマリリン・モンローの絵だと思われます。絵にとって色は暴力である、とよくいわれます。色それ自体に性格や印象、強弱などが既に含まれています。それらを適切な場所に、適切な組み合わせによって絵は出来上がっています。その秩序をまるで無視すれば、絵はどうなるでしょうか。斬新さをとおりこして、激烈なイメージを受け手に残すかもしれません。現代、特に戦後からのポップアートでは、そういったコマーシャル的なイメージを芸術に応用しています。ウォーホルの肖像画も、そういった背景によって描かれています。『紅』のEDはキャラクターの特定の部分を取り出して、そこを切り絵のように描いた後、二種類の色彩に分けて、それぞれの異なった印象を掘り下げています。一度観たら忘れられない、そんなEDに仕上がっています。
次回は夕乃や銀子との詳しい経路について、さらに情報を追加してくれたらありがたいです。

紅 公式サイト http://www.samidareso.com/

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真九朗の過去を出すタイミングはなかなか良かったと思います。しかもそれを簡潔にすることで本編の方がそれほど途切れた感じがしなかったのも巧かったなあと。他の作品だと本編置き去りにしていきなり長ったらしい過去編見せられてうんざりしたことがありますので好感触でした。

オープニングについては原作の雰囲気知ってる人にはかなり叩かれていたみたいですねえ。まあ私としてはオープニングよりもDVDのCMの方が売る気有るのかって文句言いたい出来でしたけど(笑)>実写の見知らぬ男達が背中流す奴。

2008/5/2(金) 午後 8:11 りむら

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やはり松尾衡監督の中で、キチンとしたビジョンが描かれている証拠ですね。この作品が、どうして欲しいのかが読み取れているのだと思います。

2008/5/4(日) 午後 9:18 [ savarin20022000 ]

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