沢木リョウのAKB的な小説

かなりご無沙汰していますが、復帰を考えているのです。

season6

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クライシス0911シーズン6

最終話「リョウとアイル」


 俺はモニター室でアイルの行動を観察していた。
精神障害者のアイルは、いつものようにフラフラと身体を揺らしながら歩いている。
 手にはサバイバルナイフを所持している。何を考えているのか、、、理解ができない。


 なぜ、アイルは発電所に侵入したのだろう。
テロを阻止するためか、それとも、、、別の理由があるのだろうか。


「生きて捕らえろ!」
 テロリスト達が叫んでいるのが聞こえる。
3〜4人のテロリストがアイルに向かって走って行くのがモニターに映っている。
 
 さすがのアイルも逃げられそうも無い。
アイルもテロリストが向かってきたのに気付いたのか、ナイフを構えた。 



 その瞬間、
アイルはテロリストの攻撃を華麗にかわすとナイフで相手の首を切り裂いたのだ。


!!

 血しぶきが飛ぶ。
アイルは手馴れたナイフさばきで、3人、4人、5人とテロリストを次々とナイフで攻撃する。
 
 一瞬の出来事だった。
テロリストは血だらけになって次々と倒れていったのだ。
 
「す、、、すごい。」
 俺は思わずそうつぶやいていた。

 
キム・サンガンも、モニター画面に釘付けになっている。
「これは、どういうことだ、、、!」


「銃を使え!!侵入者を殺すんだ!」
 キム・サンガンはしびれを切らしてモニター室から飛び出した。

 

!!

ドンッ

 キム・サンガンが部屋から飛び出そうとした時、誰かと衝突してしりもちを付いたのだ。


そこに立っていたのは血だらけになっているアイルだった。
 アイルは、すでにモニター室の前まで来ていたのだ。

「君がボスだね?」
 アイルはそう言うと、にやっと笑った。

「お前は、、、誰なんだ?」
 キム・サンガンはアイルを見上げて言った。


「まだ気付かないのか?お前が捕まえた沢木リョウは偽物なんだよ。」




!!!


 え?
俺が沢木リョウの偽物?
 俺はアイルの言っている事をすぐに理解できなかった。

 アイルは続けて言った。
「沢木リョウは、、、、、、俺だ。」


!!!


 そんな、、、
俺は確かに記憶喪失だった。みんなが俺を沢木リョウだと言うから俺はそれを疑おうとしなかった。
 ということは、沢木リョウはテロリストを欺くために俺をオトリに使ったという事か?

「脱獄した時、お前が記憶喪失になっていたのでこの作戦を思いついたんだ。」
 

???

「そんな、、、アイルがリョウだったのか!」


「そういうことだ。」
 サバイバルナイフをキム・サンガンの首に付き立てて男は言った。

 俺は混乱して状況をよく理解できなかった。
リョウは、テロリストが自分を狙っているのを知っていたのだろう。
 だから、自分以外に標的が向くように仕向けたのだろう、、、。
「でも、、、どうして山小屋で俺のことを殴り続けたんだ?」 


すると、リョウは言った。
「顔を見れば君が偽者だとばれてしまうだろ?だから顔を殴って顔を変形させる必要があったんだよ。」

 なるほど、、、
俺はリョウの思うがままに行動をしていたということか。
 俺が殴られた事も、発電所に拉致される事も、、リョウにとっては計画通りだったのだろう。
すべて、このテロを阻止するために、、、、精神障害者の演技をしながら、、、、。

 


 たしかに、、、沢木リョウはヒーローかもしれない。
こんな映画スターのような人間が本当にいるとは思わなかった。
 殴られた顔は痛いが、テロを阻止するためであれば仕方ない。俺はリョウを許していた。


 

 ―――数時間後。
キム・ソンガンはかけつけてきた警官に逮捕された。

 俺は脱獄した刑務所に再び収監された。
その後、沢木リョウがどうなったかわからない。
 しかし、彼の事を忘れる事はないだろう。
彼の勇気を見習って俺も残りの人生を生きていこう。


  残りわずかな人生を、、、。


 俺は完全に記憶が甦った。
俺の名前は、連続殺人犯で死刑囚のアイルである。




〜クライシス0911シーズン6・完〜

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第11話「侵入者」

クライシス0911シーズン6

(前回までのあらすじ)

 リョウは古びた倉庫の中で目を覚ました。
しかし記憶喪失を起こしており、自分がなぜここにいるのかさえ理解できなかった。
一緒にいたアイルという精神障害者の男は「2人で脱獄した。」と言っている。
 アイルが言う事が事実であれば、リョウはテロリストで刑務所に入っていたらしい。

 途中、恋人と名乗るアキと合流し、一緒に逃げる事となるが宿泊先のホテルでアイルに捕まり、リョウは小さな山小屋に監禁されてしまう。
アキは解放されるが、リョウは理由も知らされず手足を縛られ覆面をかぶった男に何度も殴られる。
 そして、リョウは意識を失ってしまうのだった。

 目が覚めると、リョウは移動中の車の中にいた。
新潟で起こっている連続テロ事件の首謀者キム・サンガンと「ある取引」を行なうためだ。
 なんとテロの首謀者キム・ソンガンは沢木リョウを人質として要求していたのだ!!

取引き場所のパーキングエリアにたどり着き、犯人側からの指示でリョウは一人で公衆トイレへと向かった。
その時、突然の爆発音が!つい今まで乗っていた車が突然爆発したのだ。

その場から逃げ出そうと非常口に向かうと、そこに青山アキが現れる。
アキは薬品を含んだタオルをリョウの顔に押し付けると、リョウは再び深い眠りに落ちてしまうのであった・・・。

リョウは原子力発電所で目を覚ます。なんと原子力発電所はテロリストに占拠されていたのだ。
そしてテロの首謀者のキム・サンガンはテロの目的を話し始めた。

 その目的とは、核爆弾の原料であるプルトニウムを盗み出すことだった・・・!!
テロリストは次々とプルトニウムを運びだす。自衛隊は原子力発電所を包囲しているものの、放射線漏れの危険があるため手出しができないでいた。

 そして、ついにキム・サンガンは沢木リョウに拳銃を向けてこう言ったのだ。

「そろそろお前には死んでもらう。」



第11話 侵入者


 キム・サンガンは拳銃を俺のこめかみに突きつけた。


「何か言い残す事はあるか?」
 キム・サンガンがするどい目で俺をにらみつける。


 今まで感じた事の無い胸の痛み、、。
震えが止まらない。これが死の恐怖なのか。
 俺はこのまま死んでしまうのか。


「う、、、俺は、、、、」
 伝えたい言葉がうまく出てこない。
「違う、、、、俺は、、、、」
 

 
「お前が俺の偉大なる兄の仇(かたき)とは拍子抜けだ。」
 キム・サンガンは怒りで今にも引き金を引いてしまいそうだ。


 なんとか、この事態を回避しなければ、、、。



 その時、、、、。


!!


 監視ルームのモニターの一つに人影が映っているのが見えたのだ。

「おい、、、アレを見ろ!」
 俺はとっさに叫んだ。

 
 その人影はゆらゆらと歩いている。
防護服やガスマスクは付けていない。つまりテロリストではないようだ。
 

「侵入者か、、、、!?」
 キム・サンガンはそう言うと、拳銃を下ろした。

 俺はひとまず殺される危険を回避したのだ。
俺は深いため息をついた。

 キム・サンガンは、かなり動揺しているように見える。
完全に占拠したはずなのに侵入者がいたからだ。
 無線で部下と何やら連絡を取っているが、朝鮮語なので内容は理解できない。



「馬鹿な!侵入できるはずが無い!!なぜだ!」
 キム・サンガンはかなり興奮気味に言った。
「俺の計画は完璧なんだ!完璧のはずだ!」


 キム・サンガンが侵入者の位置を確認している。計画が狂った事でテロリスト達は騒々しく動き回る。
侵入者の目的はわからないが、テロリストにとって脅威の存在だろう。
 俺はモニターの映像を見て、侵入者の正体が誰なのか既に把握していた。



 間違いなく、アイルだ。



 アイルの目的はわからない。
ただ、これだけは言える。


 アイルは最初からこのテロ計画を知っていたのだ。

 彼が敵なのか、味方なのか、、、。
まだわからない。しかし、チャンスが訪れていることは間違いない。
 たった一人の侵入者にテロリストがこれだけ焦っているのだから、、。


 俺は大逆転のタイミングを待っていた。


〜最終話へ続く〜


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クライシス0911シーズン6

(前回までのあらすじ)

 リョウは古びた倉庫の中で目を覚ました。
しかし記憶喪失を起こしており、自分がなぜここにいるのかさえ理解できなかった。
一緒にいたアイルという精神障害者の男は「2人で脱獄した。」と言っている。
 アイルが言う事が事実であれば、リョウはテロリストで刑務所に入っていたらしい。

 途中、恋人と名乗るアキと合流し、一緒に逃げる事となるが宿泊先のホテルでアイルに捕まり、リョウは小さな山小屋に監禁されてしまう。
アキは解放されるが、リョウは理由も知らされず手足を縛られ覆面をかぶった男に何度も殴られる。
 そして、リョウは意識を失ってしまうのだった。

 目が覚めると、リョウは移動中の車の中にいた。
新潟で起こっている連続テロ事件の首謀者キム・ソンガンと「ある取引」を行なうためだ。
 なんとテロの首謀者キム・ソンガンは沢木リョウを人質として要求していたのだ!!

取引き場所のパーキングエリアにたどり着き、犯人側からの指示でリョウは一人で公衆トイレへと向かった。
その時、突然の爆発音が!つい今まで乗っていた車が突然爆発したのだ。

その場から逃げ出そうと非常口に向かうと、そこに青山アキが現れる。
アキは薬品を含んだタオルをリョウの顔に押し付けると、リョウは再び深い眠りに落ちてしまうのであった・・・。

リョウは原子力発電所で目を覚ます。なんと原子力発電所はテロリストに占拠されていたのだ。
そしてテロの首謀者のキム・サンガンはテロの目的を話し始めた。

 その目的とは、核爆弾の原料であるプルトニウムを盗み出すことだった・・・!!



第10話 監視ルーム

  
 テロ組織は総勢で100名以上はいるように見える。
防護服で厳重に装備したテロリストがプルトニウムの入ったタンクを運び出している。
 柏崎原発は海に隣接しており、大型の船に次々とタンクが積み込まれていく。

 
 俺は過去にテロを何度も阻止してきたヒーローだと人は言うが、俺は身体が震えて何もできなかった。
大量のプルトニウムが盗み出され、それがテロに利用されれば恐ろしい事になるのはわかっている。
 何とかしなければならないのに、俺は一人では何もできない。無力な人間なのだ。


「そのうち、警察が来る。このまま逃げられるはずがない。」
 俺はつぶやくように言った。

 
「はははっ。」
 キム・ソンガンは笑いながら言った。
「もう警察は来ている。自衛隊もな。」

 俺は、キム・ソンガンに導かれ別室に連れてこられた。
その部屋はテレビモニターに取り囲まれている。どうやら監視ルームのようだ。
 工場に取り付けられている監視カメラの映像がここに全て集約されている。

「ここを見ろ。」
 キム・ソンガンが指差すモニターを見て俺は驚いた。

 これは、、、!!


 なんと工場は既に自衛隊に取り囲まれていたのだ。
それなのに、、、これだけ緊迫な状況にもかかわらず、キム・ソンガンは落ち着いている。
 
「おい、作戦は失敗だろ。もう逃げられるはずがない!」
 俺はそう言うと、キム・ソンガンは俺をにらみつけて言った。

「やつらは、攻撃する事ができないんだ。」
  


!!


「どうして?」
俺は言った。


 キム・ソンガンはまた不気味に笑った。
「ここは柏崎原発。下手に攻撃を仕掛けたら放射能漏れの危険がある。自衛隊は指をくわえて見てるしかないのさ。」


 そうか。
もし自衛隊が突入作戦をして臨界事故を引き起こしたとしたら、、、
何万人という新潟県民が被ばくすることとなる。
 
 キム・ソンガンは続けて言った。
「この作戦は、原発を占領した時点で勝負は付いていたのさ。俺がこの作戦で怖かったのは事前に作戦を知られる事だけだった。」


 なるほど、、、。
だから俺が本当に記憶障害である事を確かめる必要があったのか。
 原発を占拠する情報が漏れていたら、この作戦は失敗していただろう。


「あと1時間でプルトニウムの運び出しは終わる。沢木リョウ、そろそろお前には死んでもらう。」


キム・ソンガンは俺の頭に拳銃を押し当てた。


〜第11話へ続く〜


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※次回更新の日程は未定です。

第9話「工場」

クライシス0911シーズン6

(前回までのあらすじ)

 リョウは古びた倉庫の中で目を覚ました。
しかし記憶喪失を起こしており、自分がなぜここにいるのかさえ理解できなかった。
一緒にいたアイルという精神障害者の男は「2人で脱獄した。」と言っている。
 アイルが言う事が事実であれば、リョウはテロリストで刑務所に入っていたらしい。

 途中、恋人と名乗るアキと合流し、一緒に逃げる事となるが宿泊先のホテルでアイルに捕まり、リョウは小さな山小屋に監禁されてしまう。
アキは解放されるが、リョウは理由も知らされず手足を縛られ覆面をかぶった男に何度も殴られる。
 そして、リョウは意識を失ってしまうのだった。

 目が覚めると、リョウは移動中の車の中にいた。
新潟で起こっている連続テロ事件の首謀者キム・ソンガンと「ある取引」を行なうためだ。
 なんとテロの首謀者キム・ソンガンは沢木リョウを人質として要求していたのだ!!

取引き場所のパーキングエリアにたどり着き、犯人側からの指示でリョウは一人で公衆トイレへと向かった。
その時、突然の爆発音が!つい今まで乗っていた車が突然爆発したのだ。

その場から逃げ出そうと非常口に向かうと、そこに青山アキが現れる。
アキは薬品を含んだタオルをリョウの顔に押し付けると、リョウは再び深い眠りに落ちてしまうのであった・・・。



第9話 工場


 目が覚めるとコンクリートに囲まれた部屋に俺はいた。


 ここは、、、どこだ?

 
 俺は立ち上がると周囲を見回した。
なにやら工場のような建物の中のようだ。 
 部屋にはドアが一つあり、その他にはテーブルと椅子があるだけだ。
手足が縛られているわけでもなく、俺は自由に動く事ができた。

 俺はおもむろにドアに手をかけた。

ガチャ

 意外にもドアに鍵はかかっていなかった。
俺は部屋を出ると長い廊下を歩いた。周りを見る限り工場はかなりの大きさである。
 いったい何の工場なのだろうか。機械音が不気味に鳴り響いているが、人影らしきものは見えない。
廊下はとても掃除が行き届いており、清潔感のある印象だ。

 出口はどこだろうか。

 20分ほど歩いた頃、俺はようやく何の工場が理解した。
溶解炉、臨界、核融合などの言葉が並んでいるの見て気付いた。
 ここは原子力発電所だ。

 数年前に新潟県の原子力発電所で事故があったのを思い出した。
たしか、、、柏崎原発だ。なぜ俺はここに連れてこられたのだろうか。


 その時。
前の方からガスマスク付きの防護服を着た人がこちらに向かって歩いて来たのだ。
 人数は5、6人だろうか。俺は助けを求めて近づく。

「助けてくださ・・・」


 そう言いかけた瞬間、俺はガスマスクの男に抱きかかえられた。

 「痛い」
俺はもがいて抜け出そうとしたが、ものすごい力で押さえつけられた。
「や、やめろ!何をするんだ!」
 俺は命の危険を感じ、叫んだ。しかし、ガスマスクの男達は無言で俺を担いで歩いている。

 そして、俺はエレベーターに乗せられると最上階の部屋に連れて行かれたのだ。

 俺は担ぎ上げられた状態のまま、最上階の部屋に入る。
部屋の内部を見て、俺はただ事ではない事態が起こっている事をすぐに把握する事ができた。
 部屋には20名前後の男がライフル銃を持って立っている。
テロリストだ、、、。間違いない。
 原子力発電所がテロリストに占拠されている、、、!!

  
 一番奥に立っている男が、俺の事をするどい目でにらみ付けて言った。
「俺がキム・サンガンだ。」
 

 キム・サンガン!?
たしか、新潟県で起こっている連続テロ事件の首謀者だ。
 俺は、恐怖で声が思うように出なかった。

「お前は危険な人物だ。」
 キム・サンガンは言った。
「刑務所内で俺の仲間からテロ計画を盗み聞きしたらしいな。」


 キム・サンガンがゆっくりと俺に向かって歩いて来る。
俺はその迫力に身体がガタガタと震えだした。

「何も、、、覚えてないんだ。記憶喪失で。」
 俺は声を震わせながら言った。

 
「そう言って、俺をあざむくつもりか!」
キム・ソンガンは声を荒げて言った。
 どうやら俺に激しい憎悪を抱いているようだ。


 キム・ソンガンは続けて言った。
「俺はこの原発からプルトニウムを盗み出し、船で北朝鮮に運び出す。」

!!

 プルトニウム!?
プルトニウムと言えば原子力発電の燃料でもあるが、核爆弾を作るための原料にもなる。
 これが、テロ計画の全貌だったのか!


「そんな話、、、初めて聞いた。」
 俺は振り絞るような声で言った。
「それに、、、俺なんかがテロを阻止できるわけがない。」 


「それはどうかな。お前は過去にも、俺の兄弟のテロ計画の邪魔を何度もしてきた。」
 キム・ソンガンが低い声で言った。
「俺の兄、キム・ドンシクもお前にやられたからな!」

 
 キム・ドンシク!?
俺はその名前を聞いて頭の中に光が走ったような感覚を覚えた。
 

 記憶が、、、記憶が戻りつつあるようだ。
たしか、キム・ドンシクは2年前にテレビ局占拠事件を起こしたテロリストだ。(※シーズン3)
 その弟が今回のテロ事件の首謀者だったのである。 


 そしてこの時、俺は決定的なある矛盾に気付いたのだ。
 

〜第10話へ続く〜


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第8話「記憶」

クライシス0911シーズン6

(前回までのあらすじ)

 リョウは古びた倉庫の中で目を覚ました。
しかし記憶喪失を起こしており、自分がなぜここにいるのかさえ理解できなかった。
一緒にいたアイルという精神障害者の男は「2人で脱獄した。」と言っている。
 アイルが言う事が事実であれば、リョウはテロリストで刑務所に入っていたらしい。

 リョウは半信半疑ではあったが、アイルと一緒に行動するのは危険と考え、アイルが目を離している隙に倉庫を脱出した。
市街地を目指して歩いている途中、新潟県内で連続テロ事件が起こっている事実を知る。
 テロの容疑者とされている事に怯え、考え込んでいるとリョウの前に謎の女が現れたのだ。
女の名前は青山アキ。リョウの恋人だと言っている。リョウはアキと共に行動する事となる。

 しかし宿泊先のホテルでアイルに捕まり、リョウは小さな山小屋に監禁されてしまう。
アキは解放されるが、リョウは理由も知らされず手足を縛られ覆面をかぶった男に何度も殴られる。
 そして、リョウは意識を失ってしまうのだった。

 目が覚めると、リョウは移動中の車の中にいた。
新潟で起こっている連続テロ事件の首謀者キム・ソンガンと「ある取引」を行なうためだ。
 なんとテロの首謀者キム・ソンガンは沢木リョウを人質として要求していたのだ!!

取引き場所のパーキングエリアにたどり着き、犯人側からの指示でリョウは一人で公衆トイレへと向かった。
その時、突然の爆発音が!つい今まで乗っていた車が突然爆発したのだ。




第8話 記憶


飛び散る残骸、逃げ惑う人々、、、 


 俺は突然の出来事に混乱し、頭の中が真っ白になった。
車は燃え上がっている。爆破に巻き込まれてけが人が多数倒れているのが見える。
 まるで映画のワンシーンのようだ。 
俺は目の前の惨状をただただ呆然となって見ていた。

 
 その時、ふと頭の中に自分の子供の頃に姿が見えたのだ。
記憶が、、、少し戻ってきているような感覚がするのだ。
 あと、何かきっかけがあれば完全に記憶が戻るような、そんな、、、そんな気がする。


 そして、また激しい頭痛がして俺はその場に倒れた。


 頭の中でいろいろな出来事の記憶がぐるぐる回り始める。
頭が痛い。頭が割れるように痛い。
 その時、俺はある違和感を感じた。
新潟で目を覚まして、いろいろな出来事があった。
 精神障害者のアイルに追われ、恋人のアキと再会した。
そのあと小屋で殴られ、パーキングエリアで車が爆破された。
 一連の出来事に、何か事実と異なるような事が起きているような変な違和感を感じるのだ。


 でも、それが何なのかは思い出せない。
俺の周りで起こっている数々の大変な出来事の謎を解くための鍵が、俺の記憶に眠っているのだ。
 もう少し時間があれば思い出せるかもしれない。でもこの場所にずっといるのも危険だ。

 俺はようやく立ち上がると、この場から逃げ出すために歩き始めた。
パーキングエリアにはまだ消防車も到着していない。
 俺は非常口を見つけ、這うようにそこへ向かった。
しかし、非常口をふさぐように一人の女がそこに立っていたのだ。



 非常口の入り口に立っていたのは、恋人の青山アキだ。



「なぜ、ここに?」
 俺がそう言うとアキは少し笑みを浮かべた。

 そのアキの笑顔を見て、俺はまた記憶がかき回されるような感覚になる。
そしてまた記憶の断片が一瞬よみがえるような気がしたのだ。


「アキ、お前は本当に俺の恋人なのか?」
 

 アキの表情が一瞬変わったように見えたが、気のせいだろうか。
「記憶が戻り始めているようね。」アキはそう言うと、俺にゆっくりと近づいてきた。


 そして、突然俺に飛び掛った。


!!


 俺を羽交い絞めにし、背後に回ると液体を含んだタオルを俺の顔に押し付けた。
何か薬品のような匂いがして俺は意識が遠くなっていくのを感じた。


「アキ、お前は誰なんだ?」
 俺は遠のく意識と戦いながら言った。

「あなたの恋人青山アキはもう死んでいるわ。私はテロ組織の一員よ。」

!!

 そうだったのか。
俺が感じた違和感の理由はこれだったのだ。
「でも、なぜ?なぜ恋人のフリをしていたんだ?」


「記憶喪失が演技かもしれないからね。それを確かめるためよ。」
 女はそう言うと、意識がもうろうとしている俺を車に押し込んだ。

 俺はそこで意識を失った。 
      


〜第9話へ続く〜


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※第9話は来週日曜更新です。

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