|
クライシス0911シーズン6
(前回までのあらすじ)
リョウは古びた倉庫の中で目を覚ました。
しかし記憶喪失を起こしており、自分がなぜここにいるのかさえ理解できなかった。
一緒にいたアイルという精神障害者の男は「2人で脱獄した。」と言っている。
アイルが言う事が事実であれば、リョウはテロリストで刑務所に入っていたらしい。
途中、恋人と名乗るアキと合流し、一緒に逃げる事となるが宿泊先のホテルでアイルに捕まり、リョウは小さな山小屋に監禁されてしまう。
アキは解放されるが、リョウは理由も知らされず手足を縛られ覆面をかぶった男に何度も殴られる。
そして、リョウは意識を失ってしまうのだった。
目が覚めると、リョウは移動中の車の中にいた。
新潟で起こっている連続テロ事件の首謀者キム・ソンガンと「ある取引」を行なうためだ。
なんとテロの首謀者キム・ソンガンは沢木リョウを人質として要求していたのだ!!
取引き場所のパーキングエリアにたどり着き、犯人側からの指示でリョウは一人で公衆トイレへと向かった。
その時、突然の爆発音が!つい今まで乗っていた車が突然爆発したのだ。
その場から逃げ出そうと非常口に向かうと、そこに青山アキが現れる。
アキは薬品を含んだタオルをリョウの顔に押し付けると、リョウは再び深い眠りに落ちてしまうのであった・・・。
第9話 工場
目が覚めるとコンクリートに囲まれた部屋に俺はいた。
ここは、、、どこだ?
俺は立ち上がると周囲を見回した。
なにやら工場のような建物の中のようだ。
部屋にはドアが一つあり、その他にはテーブルと椅子があるだけだ。
手足が縛られているわけでもなく、俺は自由に動く事ができた。
俺はおもむろにドアに手をかけた。
ガチャ
意外にもドアに鍵はかかっていなかった。
俺は部屋を出ると長い廊下を歩いた。周りを見る限り工場はかなりの大きさである。
いったい何の工場なのだろうか。機械音が不気味に鳴り響いているが、人影らしきものは見えない。
廊下はとても掃除が行き届いており、清潔感のある印象だ。
出口はどこだろうか。
20分ほど歩いた頃、俺はようやく何の工場が理解した。
溶解炉、臨界、核融合などの言葉が並んでいるの見て気付いた。
ここは原子力発電所だ。
数年前に新潟県の原子力発電所で事故があったのを思い出した。
たしか、、、柏崎原発だ。なぜ俺はここに連れてこられたのだろうか。
その時。
前の方からガスマスク付きの防護服を着た人がこちらに向かって歩いて来たのだ。
人数は5、6人だろうか。俺は助けを求めて近づく。
「助けてくださ・・・」
そう言いかけた瞬間、俺はガスマスクの男に抱きかかえられた。
「痛い」
俺はもがいて抜け出そうとしたが、ものすごい力で押さえつけられた。
「や、やめろ!何をするんだ!」
俺は命の危険を感じ、叫んだ。しかし、ガスマスクの男達は無言で俺を担いで歩いている。
そして、俺はエレベーターに乗せられると最上階の部屋に連れて行かれたのだ。
俺は担ぎ上げられた状態のまま、最上階の部屋に入る。
部屋の内部を見て、俺はただ事ではない事態が起こっている事をすぐに把握する事ができた。
部屋には20名前後の男がライフル銃を持って立っている。
テロリストだ、、、。間違いない。
原子力発電所がテロリストに占拠されている、、、!!
一番奥に立っている男が、俺の事をするどい目でにらみ付けて言った。
「俺がキム・サンガンだ。」
キム・サンガン!?
たしか、新潟県で起こっている連続テロ事件の首謀者だ。
俺は、恐怖で声が思うように出なかった。
「お前は危険な人物だ。」
キム・サンガンは言った。
「刑務所内で俺の仲間からテロ計画を盗み聞きしたらしいな。」
キム・サンガンがゆっくりと俺に向かって歩いて来る。
俺はその迫力に身体がガタガタと震えだした。
「何も、、、覚えてないんだ。記憶喪失で。」
俺は声を震わせながら言った。
「そう言って、俺をあざむくつもりか!」
キム・ソンガンは声を荒げて言った。
どうやら俺に激しい憎悪を抱いているようだ。
キム・ソンガンは続けて言った。
「俺はこの原発からプルトニウムを盗み出し、船で北朝鮮に運び出す。」
!!
プルトニウム!?
プルトニウムと言えば原子力発電の燃料でもあるが、核爆弾を作るための原料にもなる。
これが、テロ計画の全貌だったのか!
「そんな話、、、初めて聞いた。」
俺は振り絞るような声で言った。
「それに、、、俺なんかがテロを阻止できるわけがない。」
「それはどうかな。お前は過去にも、俺の兄弟のテロ計画の邪魔を何度もしてきた。」
キム・ソンガンが低い声で言った。
「俺の兄、キム・ドンシクもお前にやられたからな!」
キム・ドンシク!?
俺はその名前を聞いて頭の中に光が走ったような感覚を覚えた。
記憶が、、、記憶が戻りつつあるようだ。
たしか、キム・ドンシクは2年前にテレビ局占拠事件を起こしたテロリストだ。(※シーズン3)
その弟が今回のテロ事件の首謀者だったのである。
そしてこの時、俺は決定的なある矛盾に気付いたのだ。
〜第10話へ続く〜
https://novel.blogmura.com/novel_suiri/ ←にほんブログ村
|