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(本の紹介より)
町をあげての婚礼騒ぎの翌朝、充分すぎる犯行予告にもかかわらず、なぜ彼は滅多切りにされねばならなかったのか?
閉鎖的な田舎町でほぼ三十年前に起きた幻想とも見紛う殺人事件。
凝縮されたその時空間に、差別や妬み、憎悪といった民衆感情、崩壊寸前の共同体のメカニズムを複眼的に捉えつつ、モザイクの如く入り組んだ過去の重層を、哀しみと滑稽、郷愁をこめて録す、熟成の中篇。
ラテン・アメリカ文学つながりということで、読んでみました。
これも超有名な作品ですよねぇ。。。
これは、南米コロンビアの田舎町で実際に起きた事件をもとに、20数年後にその町に無関係ではない者が調査
に訪れ、事実関係を明らかにする、という構成をとっている。
実際、本当の事件が、ガルシア・マルケスの育った町で起きており、事件当時に作品化しようとしたが、事件関係
者に親戚や知人が多かったために断念したとのことだ。
30年近くたって、関係者が死去してやっと作品化できたと。
事件そのものは、家柄もお金もあるよそ者の若者が町の娘を見初め、結婚したが処女で無かったとのことで実
家に帰される。
そこで家族が相手は誰かと問い詰めたところ、一人の若者の名をあげたため、新婦(だった娘)の双子の兄達が
婚礼の翌朝、その若者を殺してしまったというもの。
作品のポイントとしては、逆上した兄たちがいろんな人に「やつを殺す」と宣言しており、包丁を持って町じゅうをう
ろうろ探していたので、殺される本人以外はほとんどの人が兄たちの殺意を知っていたにもかかわらず、なぜ
殺人が止められなかったのか、という点。
そして相手が本当に彼だったのか、という点についても、娘の証言だけで、本人は弁解の余地も無いというより、
自分がなぜ殺されるのかも了解していたかわからない状況だ。
かといって、彼が、町じゅうの嫌われ者だったとか、殺されてもいいような存在だったとかいうわけでもない。
ただ言えるのは、
町の娘が玉の輿に乗ったということでふるまわれた超豪華な結婚式というか、町を挙げてのお祭り騒ぎで浮かれ
た雰囲気が一夜にして一転して、
娘の名誉?家の名誉?が傷つけられた事の顛末を、どこにぶつけたらいいかと。
何かが、誰かが、生け贄というか犠牲を払わないと、家族としても町としても収まらない状況だったのかな、と。
その後、閉鎖的な田舎町が元に戻るには、何かのケジメ?が必要だったってこと。
それを町の人たちみんながわかってたから、積極的に止めようという雰囲気にならなかったとか。
また、妹を黙って返されて、何も事を起こさないというのも、男として許されない社会状況なのかもしれない。
そこで返した新郎を殺すのではなく、娘の純潔を奪った相手を殺すというのも、
処女で結婚するのが当たり前という社会通念があったからだろうが、
何故娘が処女で無かったか(合意の上だったのか、そうでないか)などは一切不問で、
その前に結婚が決まる時でさえ、娘の意志は全く考慮されない。聞かれることすらない。
娘には何も聞かず、勝手に見初めて、勝手に結婚申し込んで、家族が勝手に承諾して、
そんで処女じゃ無かったって返されるって、どんだけ?笑
まー、日本だってほんの数十年前までそうだったわけで。
小説としては、登場人物が多くてその人たちを通して町の説明をするので、私としては
誰が誰やら、最初かなり混乱しました。
だから誰の結婚式なのか、語り手が誰で、事件とどういう関係があるのかしばらくわからなかったです。
でも話としては緊迫感があって引き込まれるし、返された娘と返した男の後日談もあり、
みんながほめるだけあるなー、と思います。
読んでみる価値あり。
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