ひょうげもん

マジくんとへんてこ家族

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  『“みんな”の家』を創りたい!

 「おはよう!」
 弾けるような元気な声で起こされる。私たちが預かっている五歳の男の子(隆寛=仮名)だ。わが家に来て一年と八ヶ月が過ぎた。養育里親となって二年足らずなのだが、こんなにも愉しく素敵な毎日をプレゼントしてもらえるなんて、思いもよらなかった。
 昨年の町内の運動会の時には、村の方々に「この子はあんたにあげんになついてからに、ほんに、愛らしかなあ。」「この子はいっつもニコニコしてからに、ほんに、よか子たいなあ」「人なつこくて、あんた、得ばい」「おらあ、ほんに、こん子が愛らしかあ」などの声をかけていただいた。「木村さん、なかなかできるこっちゃなかばい」という声も、たびたび聞いている。このことばが「やってみたら、楽しいもんばいなあ」に変わるといいなあと思っているのだが・・・。殊更に褒められるほど、大層なことをしているわけではない。毎日楽しませてもらっている、と言うのが本音なのだ。

 隆寛(たかひろ)は生まれて直ぐ乳児院に預けられ、三歳になるまでをそこで過ごした。いったん実親が引き取ったものの、なつかなかったため虐待が始まり、病院への入院によって保護され、一命をとりとめた。
 彼がいつも見せてくれるすばらしい笑顔の内側には、私どもにも時々しか語ろうとしない、すさまじい生い立ちがある。いわば、虐待を生き延びたサバイバー(「虐待生存児」)なのである。
 私たち夫婦は、隆寛との出会いによって、これまで思いもよらなかった、全く新しいセカンドステージに招かれつつある。そこには、大きな責任を伴いつつも、愉しくやり甲斐のある仕事が待っているという予感がある。
 その責任とは、この子の未来への責任である。一八歳になるまでに自立できる力を育てることである。生きることが困難な時代である。自立援助というものの、そう簡単なことではあるまい。そのために里親に要求される力量と、責任の大きさは親と全く同じである。
 私は、隆寛との出会いから始め、彼が私達のもとを離れ巣立っていくまでの日常を、『ひょうげもん』(Yahoo! and webry blog)と言うタイトルのブログで書き残していこうと考え、記録し始めている。彼との日常は、あまりに愉し過ぎて、自分だけのものにするには勿体ないからだ。多くの人の目に触れることで、その愉しさを少しでも共有できたらなあ、と言う思いである。と同時に、社会的責任を担う一端にもなると考えている。

 一九四九(昭和二四)年生まれの私は今五八歳、団塊のど真ん中だ。三二年間小学校と養護学校の教員を務め、三年前に退職した。リフォームをした家に、現在、八三歳になる母を引き取り、妻と四人で暮らしている。隆寛は、日々目に見えて成長していくのだが、認知症の母の方は、脳細胞が日々壊れてゆくのか、できないこと、わからないことがどんどん増えて来ている。隆寛の名前は忘れてしまうのだが、自分にとって大切な家族の一員となっている。
 妻は夜間電話相談員なので週に五日間、三時過ぎから職場へ向かう。その後の「保育」と「介護」が私の役目である。だから、教員をしていた頃と全く異なる日常が展開する。夕方五時過ぎにデイから帰宅する母は、いつもおなかを空かせている。妻が準備した夕食の配膳をし、母の前に出してから、保育園のお迎えに行く。隆寛は保育園が愉しくて、ギリギリの時間まで友達と遊んでいて帰ろうとしない。初めのうち彼の友達からは、「たか君、おじいちゃんが迎えにきてるよ!」と言われていたが、彼は、友達の前でも臆せずに、「おとうたん」と大声で呼んでくれていた。年齢的には「おとうたん」と呼ばせるには無理があり、明らかに「おじいちゃん」の年なのだが、彼にとっては、ママの連れ合いさんだから「おとうたん」なのであろう。ともあれ、五時から十時まで、二人が安眠にするまでの五時間が、「おとうたん」の出番である。だがこの「おとうたん」、一緒に寝込んでしまうことも多い。
 保育園の最初の保護者会で、里親・里子の関係であることを皆に話し、理解してもらっている。保育士や保護者の暖かい見守りの中で、隆寛は生き生きと活動し、仲良しの友達もたくさんできた。この先、保育園の年長・小学校・中学校・高校と十三年間をこの地域で育ち、ここが故郷と言えるような居場所になって欲しいと願っている。

  私たち夫婦は四人の子宝に恵まれた。それぞれいろんなことがあったが、現在は四人とも家を離れ、自活している。時々里帰りして隆寛の遊び相手となってくれることが、彼には何よりの楽しみだ。この家で、実の家族や、兄弟のように遊べる年齢の近い子どもが何人かいたら、隆寛はどんなに喜ぶことだろう。
 四人の子どもたちがまだ幼い頃、ぼろぼろに壊れかけていたこの家に、私が担任していたクラスの子どもたちや近所の子どもたち、夫婦それぞれの友達や様々なネットワークのメンバーや同僚たちが、夜昼となく押しかけて来て、子どもたちは思い切り遊んだり暴れ回ったり、大人たちは談論風発の夜を過ごしたりしてきたものだった。そのうち子どもたちは、誰からともなくこの家のことを、『みんなの家』と呼ぶようになった。『自給自足をめざす自然家族』と大層なタイトルをつけてもらって、読売新聞の元旦特集を飾る栄誉に恵まれたこともこの頃だ。
  私達は再び、『みんなの家』を創りたいと考えている。家庭を持たない子どもたちの「親」となり、家族となって一緒に暮らし、共に泣き、共に笑い、学び合い励まし合えるような関係を築いていきたいと考えている。また、近くの野山を走り回ったり、川遊びをしたり、野草摘みをしたり、一緒に畑を耕し、野菜や果樹を育て収穫し、調理をしたりして、自然の中で生きていく楽しさを経験しながら、生きる技術を身につけさせていきたいと思う。そのことは、「虐待の連鎖」を断ち切り大切な命をリレーしていくことにもつながる生き方だと確信している。
 私たち夫婦に、セカンドステージとして与えられたその時間と場所を、家庭的な養育や支援を必要としている子どもたちと生活を共にすることに費やし、お互いに支え合い学び合っていきたいと考えている。そして現在、歩み始めてもいる。
  既に福岡市では三年次を迎えているが、今国会に法案として提出されている、厚労省が推進する事業が、制度として承認され、全国的に推進される運びとなっている。それは、『家庭的な環境における子どもの養育を推進するため、虐待を受けた子ども等を養育者の住居において養育する事業(ファミリーホーム)』として創設される。
 四万人を超える虐待通告の件数は、飽くまで氷山の一角にすぎない。一昨年に、虐待によって生命を奪われた子どもの数は、百二十六名に及んだという。その五五%が三歳以下の子どもであり、二九名が実の母親の手にかかったものという。隆寛の実母のように、経済的・社会的に追いつめられ、子どもを育てる余裕をなくしてしまった若い母親の姿が浮かび上がって来ている。社会的養護の受け皿造りは、道路を造り続けることより、もっと急務の課題ではあるまいか。
 子育ては本来愉しいものであるはずなのに、それが愉しいどころか、辛く苦しく面倒なことになってしまっているから、少子化は進み、虐待は増えてきたと言える。なぜそうなってしまったのか。その根本原因が解明され除去されないと、少子化の進行と虐待の増加に歯止めはかからないだろう。
戦後の復興から高度成長を担った団塊世代にとって、仕事と家庭(育児)の両立は困難なことであっただろう。子どもと一緒に遊んだり、学んだり、好きなだけ絵本を読んでやったりする時間をどれだけ作れたことだろう。そのことは現在の若年世代でも全く変わっていない。それどころか保育や教育にも新たな格差がもたらされ、子育てはよりいっそう困難になってきている。
じっくりと子どもと向き合い、養育に時間をかけることができるような働き方ができる階層は、極めて少数なのである。だからこそ、国の施策によって、働き続けながら安心して子育てもできるような労働環境を作り、
 保育や教育の充実を計ることで子育て世代の支援を全力で進めていくことが急務である。
この喫緊の課題を推進し達成していくため、国や自治体は、保育や教育と並んで社会的養護に携わる人材の育成に努めていくことが重要である。リタイアした団塊世代の一部を、その為の人材バンクとして取り込んでいく試みも有効だと思われる。
  この仕事は、子育てをいったん終えた団塊世代が、命をつなぎ、時代を受け継いでいく子どもたちのために、もう一働きしてみようかな、と思えるような愉しく、やり甲斐のある仕事となるに違いない。子どもたちとの日常の共同生活を通じて、楽しく遊んだり、学んだりしていくことが、同時に社会貢献にもなり、自分や「家族」の生活の糧を得る「仕事」にもなるのである。
この新しい社会保障のあり方が、この国を真に成熟した豊かな社会へと創り変えていく指針の一つとなるように、微力ながら「家庭」という現場で担っていきたい。

http://www.seinendan.com/dankai_2.html
http://www.ryoutan.co.jp/news/2008/05/19/003607.html
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E5%9B%A3%E5%A1%8A%E3%81%AE%E4%B8%BB%E5%BC%B5+%E6%9C%A8%E6%9D%91%E5%BA%B7%E4%B8%89&search_x=1&tid=top_ga1&ei=UTF-8&pstart=1&fr=top_ga1&b=11&qrw=0


  

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マジ君のことを中心にして書いたレポートで、3月末に応募していたのですが、
5月3日に、審査結果が送られてきました。「大賞」をもらったのです。
妻の「數納賞奨励賞」の受賞に刺激され、発奮した結果のことでした。

55歳で教員をリタイアし、3年が過ぎましたが、
「草臥れたままで終わりたくない・・・」
そんな思いがどこかにありました。

団塊世代の大量退職が、目の前で始まった今、
今後の1人1人に与えられた10万時間を、
どのようなライフステージを建設して、社会参加していくかは、
社会の側からも大きな課題となってきています。

時宜に叶ったこの企画に手放しで賛同し、
自分を一歩前に押し出すために参加した次第です。

それが社会的に評価され、嬉しい限りです。
マジ君や、『みんなの家』を訪れる子どもたちと多様な「縁」(えにし)を結んでいきたいものです。
『NPO法人 京都SEINEN団』や審査委員の皆さん、ありがとうございました。 

 第2回 団塊の主張全国コンクール 実施結果  http://www.seinendan.com/dankai_2.html

ヤフーのブログを立ち上げて1年と4ヶ月。
その間に、延べ1万7千人の方が訪問してくださいました。
ありがとうございました。

この住まいはひとつの記念碑であり、”財産”ですからこのまま残しておいて引っ越します。
ガラクタをいっぱい集めて処分に困ってしまったと言うのが本音でしょうか。
新居では、もっと整理整頓して皆様を、お客様としてお迎えしたいと思っています。
長らくのご愛顧を心より感謝いたします。新しい住まいにも是非お越しください。

新しい住まいのアドレスは下記の通りです。

    http://49892359.at.webry.info/


    

イメージ 1

       椎茸の原木栽培の面白さは、次々と個性的なやつらが誕生してくるところです。
   今回はなんと一度に6本です!「ダンゴ3兄弟」ならぬ、椎茸6兄弟姉妹というところでしょう。

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