「狭山事件の真犯人」(勝どき書房)

次回、第35回「夢道サロン」は2019年9月14日「橋本夢道資料室」で開催します。

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            ●狭山事件現地本部で石川一雄さんと殿岡駿星。(2011年11月)

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 ☆    「狭山事件の真犯人」(勝どき書房)」    ☆
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   2019/08/01                      (殿岡駿星)

◆雨、雨、雨、狭山事件と雨は切り離せない
    雨から見た事件の真相とは? 
   「狭山事件 50年目の心理分析」◆
       
わたしが、「狭山事件 50年目の心理分析」を書いてから8年が過ぎた。石川一雄さんの無実を証明する決定的な本だと自負している。その中でも、一番特徴的な事実は雨だ。事件の真相を語る上で、雨を無視してはいけない。この「50年目の心理分析」では、全編を通じて、雨の状況を語りながら、事件の推理をしている。

ところが、裁判の内容を調べると、まるで雨が降っていないところで事件が起きたように説明している。被害者の松田善枝さん(仮名)が誘拐された1963年5月1日は、午後4時ごろから、脅迫状が善枝さんの自宅玄関で見つかった午後7時40分ごろも、家族が警察に届けた午後7時55分ごろも、土砂降りの雨だった。

善枝さんの死体が埋められたとされる午後8時ごろも、狭山市は土砂降りだった。ところが、殺したとされる石川一雄さんの供述に、雨の話が出てこない。もし、本当に石川さんが、善枝さんの死体を埋めたとしたら、土砂降りの中だった。ところが、5月4日に農道に埋められていた死体は、それほど濡れていなかった。

土砂降りの雨の中で、農道に穴を掘ったら、穴は泥んこで、そこに死体を置いたら、服が濡れないですむはずがない。善枝さんは、土の中に埋められていたにもかかわらず、着ていた服も下着もほとんど濡れていなかった。死体を検分した刑事の証言だ。

そもそも、石川さんが自供させられた、午後8時ごろに死体を埋めたというのはウソだったのだ。石川さんは、この日午後8時ごろには、とっくに自宅に戻ってきていて、家族と夕食を食べ、テレビを見ている。それは、家族の証言から明らかだ。

そのため、死体を埋めたのは、午後8時ごろでないと犯人でなくなる。刑事たちは、家族が石川さんをかばってウソついていると考えただろうが、あまりにそろって同じ証言をするので、午後8時ごろには自宅にいたのは本当だと考えた。それで、善枝さんの死体を埋めたのは、午後8時までとするしかなかった。しかし、そのころは土砂降りの雨だった。この日、雨がやんだのは午後11時すぎ、夜中だった。

脅迫状が善枝さんの自宅、玄関で見つかった午後7時40分ごろも土砂降りの雨が降っていた。ところが、脅迫状も濡れていなかった。脅迫状を玄関のガラス戸に挟んだとき、石川さんは傘を差していない。石川さんは、善枝さんの自転車に乗って、雨の中を善枝さんの自宅まで走った。脅迫状はズボンの尻のポケットに入れていた、という。土砂降りの雨をご存じだと思うが、ポケットに紙の封筒を入れておいたら、それはぐしょぐしょに濡れてしまう。

濡れている手紙を玄関のガラス戸に挟んだら、手紙は濡れているだろう。玄関の中に放り込んだのではなく、ガラス戸に挟んだのだ。当然、ガラス戸にも雨は降りかかる。そこに挟んだ、手紙が濡れないはずはない。ところが、その脅迫状を見つけた家族が読んだ時は濡れていなかったのだ。警察に届けた脅迫状も濡れていなかった。脅迫状は、雨の中で石川さんが万年筆で訂正しているらしいが、そのインクもにじんでいなかった。乾いていたのだ。

雨の話はもっとある。善枝さんの自転車は、石川さんが善枝さんを殺してから、その自転車に乗って、善枝さんの自宅まで脅迫状を届けに行った、と自供している。ところが、善枝さん宅で見つかった自転車も、それほど濡れていなかった。石川さんは、土砂降りの雨の中を、4キロも走って、善枝さんの自宅へ来たのに、自転車が雨に濡れた様子がないというのは、どういう意味だろう。

さらに、問題は、石川さんは、善枝さんの自宅まで乗って来た自転車を、納屋の庇の下に置いて、脅迫状を玄関に挟んでから、歩いて殺害現場といわれる、4キロも離れた雑木林へ戻っている。土砂降りの雨の中を、傘も差さず、歩いて殺害現場へ戻るとは、ちょっとおかしい。せっかく、奪った自転車をなぜ、善枝さんの自宅に返さないといけなかったのか。それも、濡れないように庇の下に、いつも善枝さんが自転車を置く場所に。まるで、雨に濡れないようにしたみたいだ。おかしいね。

土砂降りの雨の中を4キロも歩いたら、1時間はかかるだろう。なぜ自転車に乗らなかったのだ。自転車で来た犯人が、なぜ自転車で殺害現場に戻らなかったのだろう。もしかしたら、雨がやんだ夜中にその自転車に乗って、死体を埋めに行く予定でもあったのだろうか。自転車が、そこに残されたのは、石川さんが犯人でない証拠ではないか。自転車も濡らさず、善枝さんの服も濡らさず、脅迫状も濡らさずに、この事件をやってのけるだけの、人物がどこかにいたからではないのか。

「狭山事件 50年目の心理分析」は、このように、この日の土砂降りの雨から真相を推理している。雨は、真相を知っていた。事件は、今年の5月で56年となった。逮捕されたとき24歳だった石川一雄さんは、80歳となった。無実の人が殺人者として56年も濡れ衣を着せられている。一日でも犯罪者として疑われるのは苦しい。それが、56年だ。國家がその苦しみを与え続けるのは、絶対に許されない。

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