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イランの面積は広く、南のペルシャ湾沿岸の港町では夏は40度を越えることも珍しくありません。かと思うと北部では夏でもガスストーブをつけないと過ごせない日もあります。
夏はテヘラン等都市の住民が避暑地に脱出するのと対照的に地方出身者が都市に流れてきます。観光目的のおのぼりさんの場合もあれば出稼ぎが目的のこともあります。地方では農業くらいしか仕事がないため、建設業などの仕事を探しにここ何年建設ラッシュの続く都市にやってきます。
古い一軒家を解体して4、5階建てのマンションを建てる地主が多く、建設費を押さえるために人件費の安い出稼ぎ労働者を雇います。その場合建設現場に労働者達が寝泊まりしてくれるので、防犯の面でも好都合です。キッチンのシンクや浴槽、暖房装置などが取り付けられる前から買い置きして現場に置かれていると、よく盗まれることがあるからです。新築のマンションに水道やガス、電気が引かれると労働者の自炊も始まりますし、テレビなどを差し入れたりする気の利いたオーナーもいます。
この出稼ぎ労働者には、地方出身者以外にクルド人やアフガニスタン難民もいますが、イラン人のオーナーはあまり難民に優しいとは言えません。車上荒らしなどがあるとすぐに「どうせ難民の仕業だろう」という偏見から始まるくらいです。
日本ではさんざん肉体労働者として働いていたイラン人ですが、自国ではきつい、汚い仕事をあまりやりたがりません。お給料のいい建設業ならまだしも、ごみの収集や公園などの清掃はほとんど難民任せです。
未だにごみを分別する習慣はなく、薄っぺらいごみ袋に割れたびんも生ごみも缶も何でも詰め込んで夜中に捨て放題です。それでも朝になると市内の道路がきれいなのは、ごみ収集車が毎晩回収してくれているからです。オレンジ色のユニフォームを着て道や公園を掃除してくれているのは、たいていかなり年配の難民のおじいさん達で、私なんかは出会うとつい500トマンから1000トマン(約60円から120円)を手渡してしまいます。そんな時相手の方はすごく感謝してくださり、「あなたに神のご加護を」と祈ってくれます。公園の清掃担当者は敷地内の小さな管理小屋に寝泊まりです。洗濯物を公園内に干したりしているのをみると、日本の浮浪者を連想します。
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