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… 前川氏が文科省退官前に部下たちへ送った最後の訓示より。
まさに杉原千畝の精神は生きていたのだ。行政官に限らず、社会のどの分野であろうが、社会の指導的立場にある者の第一の使命は「もっとも光りのあたらないところに光りをあてること」であろう。
聖書の中で、金持ちや学者たちが厳しく批判されているのは意味がある。財産や学歴のある者は、社会から尊敬を得てすでに報われているのだから、〈後回し〉で良いのである。
◆ 良き社会とは何か?
それは、前川氏が指摘されるように、人々が「特に、弱い立場、つらい境遇にある人たちに手を差し伸べること」を第一の使命と考える社会である。
別の言葉で言えば、財産も学歴も有力な縁故もない、名もない庶民が権力に踏み潰されることなく幸せを実感できる社会である。
古代の預言者エレミアは、「正義と恵みの業を行い、搾取されている者を虐げる者の手から救え。寄留の外国人、孤児、寡婦を苦しめ、虐げてはならない」と述べた。
社会の中で、とりわけ外国人、子供、女性という三つのカテゴリーを挙げ、この三者が無慈悲に扱われているとすれば、それは社会が〈不正〉な状態にあるということであり、その〈不正〉をたださなければ国は滅びると、エレミアはユダ王国末代の列王に呼びかけた。
しかし、為政者たちは民衆に重税を掛け享楽に明け暮れ、そして王国は滅亡した。
◆ 前川の祖父が作った「和敬塾」
前川氏が指摘した「特に、弱い立場、つらい境遇にある人たちに手を差し伸べることは、行政官の第一の使命」とは、できればそうせよということではなく、指導的立場にある者たちが自らの使命を忘れれば、やがて日本は衰退し〈亡国〉を迎えるのである。
周知のように、前川喜平氏の祖父の喜作氏は、現在まで続く学生寮の「和敬塾」を作った。前川喜作氏は、将来社会の指導的立場に就くエリート学生こそ高度な倫理感を身につけなひければならないという方針から、仏教やキリスト教の聖職者を招いては講演会を催した。
東大の仏教青年会出身の前川氏もまた、学生時代は禅仏教と中村元の教えに傾倒していたという。
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前川さん
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