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渡辺輝人氏のブログより

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自民党「言論統制三人組」は本当に処分を受けたのか?

ことの発端は、安倍首相に近い自民党の若手がつくる「文化芸術懇話会」(代表=木原稔・党青年局長(当時))が6月25日に開いた、百田尚樹氏を講師に招いた勉強会で、百田氏が暴言をくり返すとともに、出席した議員らが憲法21条で保障された表現の自由(報道の自由)を抑圧する言論統制発言をしたことです(詳しくはこちら)。憲法尊重擁護義務を負う国会議員がこのような発言をするのは二重に憲法違反です。

「処分」の内容

http://rpr.c.yimg.jp/im_sigga5MAmgvv5KVjevpzoflzrw---x280-n1/amd/20150703-00047198-roupeiro-002-5-view.png 福岡の青年会議所理事長の時、マスコミをたたいたことがある、と豪語する井上貴博議員

自民党の党則、規律規約上の扱い

木原議員に対する役職停止措置は党規律規約上の処分と言えそうですが、一方の言論統制三人組が受けたとされる「処分」はいかなる意味を持つのでしょうか。
http://rpr.c.yimg.jp/im_sigg5t1KjzbSvTEcghKCQaagZg---x280-n1/amd/20150703-00047198-roupeiro-003-5-view.png 沖縄の特殊なメディア構造を作ったのは戦後保守の堕落、という長尾たかし議員
自民党は党内部を規律する「党則」「党規律規約」を公開しています。党則92条3項では、国会議員が「党の規律に反するとき」などと認めるときは、幹事長が党規律規約に基づき処分を行えます。つづいて自由民主党規律規約9条3項には、幹事長が行う処分として「党則の遵守の勧告」「戒告」「党の役職停止」「国会及び政府の役職の辞任勧告」の4つを定めています。つまり「厳重注意」という処分は存在しないのです。党規律規約14条には幹事長が「注意を促す」という措置がありますがこれは処分ではありません。察するに、言論統制三人組は、幹事長に呼び出されて絞られた(注意を促された)だけで、実は自民党の組織上の処分すら受けていない可能性があるのです。「注意」と「厳重注意」に違いがあるかも疑問です。意味のない装飾をして、あたかも厳重な処分がされたかのように世論をミスリードしているようにも見えます。
ところで、民間の労使関係でも、就業規則上の懲戒処分に至らないような問題行為について「注意処分」をすることはあります。しかし、そういう場合でも、始末書・報告書の類を提出させるのが普通でしょう。自民党は、今回、せめてそういう措置を取ったのでしょうか。
谷垣氏も当初は「主張のしかたには品位が必要だ」と述べており、発言内容そのものが重大な問題であることを認識しているのか疑問です。党執行部からも当初「青年局長の更迭は当然。世が世なら切腹ものだ。」という発言が出ていましたが、これは誰に対して「切腹」するのかと言えば、文脈からすれば、やはり迷惑をかけた自民党(安倍晋三総裁)に対してではないか、という疑念が生じます。
この体で、国民に対して謝罪できるわけもないのです。

二度目も「厳重注意」

http://rpr.c.yimg.jp/im_siggK3vAXHtFbT5mMncjzoI6yg---x280-n1/amd/20150703-00047198-roupeiro-001-5-view.png 何度でも言います!という雰囲気がある大西英男議員
言論統制三人組の一人である大西英男議員は「厳重注意」を受けた後でもう一度、報道機関を恫喝する憲法違反の発言をしました。今度こそクビか、と思ったら、驚くべきことに、二度目も「厳重注意」でした。
通常、刑事司法でも、再犯の場合に刑が重くなります。一般的に、共犯者の中では、実際に行為をした者、主導した者の責任が重くなります。言論統制三人組の発言を誘発したとも思えない木原議員が役職停止になる一方、憲法違反の発言を「注意」をはさんで二度もした人物を再度「注意」で済ませ、組織内で何の制裁もうけない自民党にはそういうセンスが欠落しているように思えます。

内輪に広がる波紋

一方、自民党内では逆方向の不満・批判が巻き起こっています。

言論統制発言をくり返す理由

安倍首相はこの問題で国民に向かって一度も謝罪していません。「報道が事実なら大変遺憾だ。(勉強会は)党の正式会合ではない。有志の会合だ。発言がどのように報道されたかは確認する必要がある」「成り代わって勝手におわびできない」などと言い訳をするばかりです。誰も成り代われとは言っていませんよね。自由民主党の総裁(代表者)として所属議員がした言論統制発言の責任を取るべきなのです。身内で事実を確認できるはずなのに、発言内容ではなく、報道内容を確認する、と言っている点には、危うさすら感じます。
一方で、安倍首相は、同じ与党の公明党に対しては「わが党の議員のことでご迷惑を掛けて申し訳ない」と陳謝しています。安倍首相には「国会審議が乱れる」ということを連立パートナーに謝罪する頭しかないのです。
そして、上記のように、幹事長である谷垣氏が下した処分について不満を述べる始末です。
結局、言論統制三人組は、本当は処分を受けていない可能性がある上に、安倍晋三・自民党総裁以下の幹部がむしろ後ろから擁護し、党の代表者である安倍晋三氏が国民に対して謝罪すらしないため、大西英男議員による二度目の言論統制発言に至ったと言えるでしょう。何よりも怖いのは、こういう政党が、大多数の憲法学者からも、過半数の国民からも憲法違反だと言われている法案をごり押ししようとしていることです。
各マスコミは言論統制三人組が自民党から処分を受けた、という報道自体が誤報だったとして取り消してはいかがでしょうか。と書いたところで、NHKはまた「4人が処分を受けた」と報道しました
1978年生。日本労働弁護団常任幹事、自由法曹団常任幹事、京都脱原発弁護団事務局長。労働者側の労働事件・労災・過労死事件、行政相手の行政事件を手がけています。残業代計算用エクセル「給与第一」開発者。基本はマチ弁なの何でもこなせるゼネラリストを目指しています。残業代を軸に社会と会社を分析する『ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか? ナベテル弁護士が教える残業代のカラクリ』(旬報社)発売中。

政府・与党の「80時間審議したから安保法案を採決してよい」論には何も根拠が無い

さて、政府が「安保法案」(戦争法案)の強行採決に向けて、地ならしを始めました。

自民・公明両党の幹事長らが会談し、安全保障関連法案を巡り、今週の審議を終えれば、審議時間が衆議院通過の目安としている80時間を超える見通しとなるなど、審議は尽くされつつあるとして、今月半ばに特別委員会での採決を目指す方針を確認しました。

出典:2015.7.1 NHK
しかし、そもそも「80時間審議したら採決をして良い」という法律や規則が存在するわけではなく、政府の勝手な方針です。この「〜時間ルール」は、政府が対決法案を採決に持ち込む際、しばしば口実にされますが、今回の「安保法制」は、法律の数だけでも10個もの法案を一括審議するものであり、ニュートラルな物言いをするにしても、我が国の安全保障制度をかなり根底から変革するものです。通常の法案審議の目安時間を前提すること自体がおかしな事でしょう
また、「安保法制」が日本国憲法に適合している、という政府の説明が、憲法学者らの発言に端を発して根底から覆っている状態で、「適合している」前提の審理計画に固執するのは、与党の失敗を国民に押しつけるものであり、卑怯というものでしょう。
この点についてニュートラルな物言いをするとしても、「安保法制」の合憲性根拠について、政府の最終見解が出されたのはやっと6月9日のことです。どんな法律でもそうですが、法案の審議は土台としての憲法上の根拠がはっきりしなければ、理屈で詰めようがないものです.

実際、政府は土台がないのを逆手にとって質問にまともに答えない態度に終始してきました。政府が6月9日に見解を出さざるを得なかったのは、その点が揺らいでいたからなのです。議論の土台が示されていない段階での議論を審議時間にカウントするのはこれまた卑怯なことでしょう
さらに、例えば自民党議員や百田尚樹氏の言論統制問題の審議も安保法制の特別委員会で行われています。安保法案自体が憲法違反であるとされているなか、他の条文とはいえ憲法違反を引き起こした事件を野党が追及するのは当然でしょう。他に機動的な追及をする場がないのも現実です。この審議の時間が「80時間」に含まれているのか否か、筆者は知りませんが、含まれているとすれば、政府与党自らの憲法違反が理由になって実質的な審議時間が短くなっているのだから、これまた、政府与党の“自己責任”を他に転嫁していることになります。

一方、「選挙で選ばれた国民の代表が決めたんだから粛々とやるべし」という議論はあり得るでしょうが、そもそも、今の衆院の構成自体が、一票の価値の平等に違反する憲法違反の状態であると最高裁判所に言われていることを想起すべきでしょう。
2014年の総選挙における与党の絶対得票率(比例代表)も25%弱に過ぎません。世論調査で過半数の国民が憲法違反とする法案を「数の力」に頼んで強行して良いとする正当性は極めて乏しいでしょう。
政府与党の準備不足や失態のせいで、法案の審議は深まらず、法案に対する国民の理解は遠のくばかりです。安倍首相は5月に米国議会で安保法案の夏までの制定を“公約”してきましたが、政府がこの安倍首相の発言にとらわれているとすれば売国の所行と言われても仕方ないでしょう国内世論の統合を維持したまま国の一大事を決定することからも、売国の誹りを受けないためにも、強行採決だけは絶対にすべきでないと強く思います
1978年生。日本労働弁護団常任幹事、自由法曹団常任幹事、京都脱原発弁護団事務局長。労働者側の労働事件・労災・過労死事件、行政相手の行政事件を手がけています。残業代計算用エクセル「給与第一」開発者。基本はマチ弁なの何でもこなせるゼネラリストを目指しています。

表現の自由を巡る自民党と百田尚樹氏周辺の倒錯、大西議員のさらなる問題発言

渡辺輝人 | 弁護士(京都弁護士会所属)

☆長いけれど、ナベテルさんのいつもながらのわかりやすい解説です。
赤字太字だけでもご覧ください 。   

安倍首相に近い自民党の若手がつくる「文化芸術懇話会」(代表=木原稔・党青年局長)という勉強会が6月25日に開いた会合が波紋を広げ続けています。
講師の百田尚樹氏の発言は特に物議を醸し、その後、百田氏はマスコミ報道や国民世論から大きな批判を浴びている状況です。興味深いのは、その後「百田氏には表現の自由がある。」というような議論がごく一部で見られることです。代表例はかつて雑誌『マルポコーロ』の編集長を務めているときにいわゆる「マルコポーロ事件」が起き、雑誌を廃刊に追い込まれた経験を持つ花田紀凱氏の下記雑記です。
百田氏には言論の自由はあるでしょう。実際、上記会合における講演の後も、「私が本当につぶれてほしいと思っているのは、朝日新聞と毎日新聞と東京新聞です」などと好きなように喋りまくっており、それについて、特に言論弾圧(権力によってツイートを消されたりとか)は受けてませんね。このように、世間を敵に回してでも、自らの主張を展開できるのが表現の自由なのです(なお事実誤認の発言や所謂「ヘイトスピーチ」については別の問題があります)。花田氏は、自らが編集長を務める雑誌で言論封殺をされた経験を持っているのに、好きなように喋りまくっている百田氏について言論の自由云々するのは奇妙というほかありません。
いうまでもないですが、言論の自由とは、批判の自由でもあります。百田氏のように、社会的な知名度と影響力を持った人物が、誤った発言や、不相当な発言をしたときは、他から批判を受けるのはやむを得ないことで、(特に著名人であれば)自分の言論が原因となり、その言論を批判する言論でボコボコにされるのが、正に言論の自由なのです(もちろん百田氏を誹謗中傷をして良い、ということではないでしょう)。
憲法の勉強をするときは、このような社会的な作用を「言論の自由市場」などと言ったりもします。ボコボコに批判される百田氏を見て「百田氏の言論の自由・・・」などと言うのは、言論の自由を理解していないか「強者による放言が批判を受けない自由」というありもしないものを想定していることになりますなお、もちろん、百田氏がこの件で放言するほど、百田氏を招いて講師にした、自民党や議員ら傷口は大きくなるわけですが。

議員の発言は別

しかし、国会議員の発言は別です。国会議員は公務員であり、憲法99条で「憲法尊重擁護義務」を負っています。権力者である国会議員は、新聞社やテレビ局などの報道機関の「報道の自由」(これは表現の自由の一形態です)を侵害するような発言をしてはならないのです
マスコミにとって広告料収入は生命線です(この点に関しては上記マルコポーロ事件を例に江川紹子氏が説明した「報道規制を語らう、不自由で非民主的な自由民主党」が大変参考になります)。実際にやらなかったとしても、そういう力を持っている国会議員が「オレはやるぜ、オレはやるぜ」と言うだけで、マスコミにとっては大きな脅威になります。前回も書きましたが、暴力団幹部に「夜道は気をつけなよ。冗談だけどな。」と言われるだけで、夜に出歩くのが怖くなるのと一緒です。
議員たちが会合でした発言は以下のようなものです。

●大西英男衆院議員(東京16区、当選2回)

「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番。政治家には言えないことで、安倍晋三首相も言えないと思うが、不買運動じゃないが、日本を過つ企業に広告料を支払うなんてとんでもないと、経団連などに働きかけしてほしい」
●井上貴博衆院議員(福岡1区、当選2回)
「福岡の青年会議所理事長の時、マスコミをたたいたことがある。日本全体でやらなきゃいけないことだが、広告の提供(スポンサー)にならないということが一番(マスコミは)こたえる」
●長尾敬衆院議員(比例近畿ブロック、当選2回)
「沖縄の特殊なメディア構造を作ったのは戦後保守の堕落だ。沖縄のゆがんだ世論を正しい方向に持っていくためには、どのようなアクションを起こされるか。左翼勢力に完全に乗っ取られているなか、大事な論点だ」
出典:朝日新聞http://rpr.c.yimg.jp/im_siggfTdtADhXrVARGj1foT14uA---x280-n1/amd/20150630-00047120-roupeiro-000-4-view.jpg 長尾敬議員のツイッターより
この発言自体が十分に恫喝的なものであり、憲法尊重擁護義務に違反する発言であり、すなわち、これ自体が憲法違反の発言と言えるでしょう国会議員には、憲法に反する発言を放言する自由があるわけではないのです。

マスコミによる上記発言の記録状況については、部屋の内側にいた長尾敬議員が写真撮影しています。筆者は、国民に奉仕し、議員らの邪悪な本音を聞き出した記者の記者魂に感謝したいと思いますこの耳が、国民の耳となったのです。一部では、この記者の行動を「盗聴」であるかのように扱おうとする向きもあるようですが、もともと、国会議員がその活動上行った発言について、プライバシーが成立する余地は極めて狭いと思われます。冒頭部分をマスコミに取材させて百田氏にマスコミ批判をさせた上で(つまり自分たちで種をまき)、そう広くもない部屋でマイクを使ってやり取りを行い、窓に耳が張り付いているのが分かっていて発言したんだから、もはや喋った方の問題でしょう。

党内処分は処分になるのか

自民党内部では、この会合を主催した木原稔議員が党青年局長を解任され、上記3議員は「厳重注意」を受けたとのことですが、憲法を侵害した議員らに対する処分としては甘すぎるでしょう。彼らは権力者でありながら、冒してはならない国民の権利を侵害したのですから。もはや議員の資格はありません。この点、安倍首相は「発言した方に成り代わって勝手におわびすることはできない」と述べ、謝罪をしませんでしたが、誰も、成り代われとは言ってないでしょう。
自民党は「政府」と「与党」を恣意的にわけ、幹事長の谷垣氏が汚れ役となって頭を下げることで乗り切ろうとしていますがおかしな話です。総裁と幹事長の役割分担は党内部のもので、国民に対して役割分担を言い訳にできる性質のものではないからです安倍首相は、こういう議員を擁する政党の代表者(総裁)としての責任が問われているのです。この発言を軽視する自民党の体質は安倍首相の発言に最もよく現れていると思います。

全く反省していない大西英男議員の新たな暴言

今日の午後、言論統制3人組の一人である大西英男議員が、さらに下記発言をしました。

自民党の大西英男衆院議員は30日午後、安全保障関連法案に批判的な報道機関について「懲らしめなければいけないんじゃないか」と述べた。また、「誤った報道をするようなマスコミに対して広告は自粛すべきじゃないか」とも語った。国会内で記者団の質問に答えた。

出典:2015.6.30 時事通信
繰り返しになりますが、権力者である自分の立場も、国会議員に課された憲法尊重擁護義務も、表現の自由を守ることの必要性も、何一つ理解しない極めて悪辣な発言です。このような人物に国会議員を続けさせて良いのでしょうか。根本的な疑念を抱かざるを得ません。
そして、このようなさらなる暴言を招いたのは、このような人間を処分することすらできない自民党の体質であり、安倍政権の体質そのものです。安倍首相は自らの責任を明らかにすべきでしょう。
追記
産経新聞で大西議員の発言の詳報が出ました。確信に基づいて発言しているように見えます。
1978年生。日本労働弁護団常任幹事、自由法曹団常任幹事、京都脱原発弁護団事務局長。労働者側の労働事件・労災・過労死事件、行政相手の行政事件を手がけています。残業代計算用エクセル「給与第一」開発者。基本はマチ弁なの何でもこなせるゼネラリストを目指しています。残業代を軸に社会と会社を分析する『ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか? ナベテル弁護士が教える残業代のカラクリ』(旬報社)発売中。

自民党「勉強会」で言論統制発言をした議員は名乗り出なさい

安倍首相に近い自民党の若手がつくる「文化芸術懇話会」(代表=木原稔・党青年局長)という勉強会が初回から大きな物議を醸しています。講師の百田尚樹氏の発言も大問題なのですが、それは横に置き、本稿では議員の発言に絞って検討したいと思います。報道によると参加した議員の発言は以下の通りです。

出席議員からは、安保法案を批判する報道に関し「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働き掛けてほしい」との声が上がった。

出典:毎日新聞

出席者によると、議員からは「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」など、政権に批判的な報道を規制すべきだという意見が出た。

出典:朝日新聞
言うまでもないことですが、日本国憲法21条1項は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」とし、2項では「検閲は、これはしてはならない。〜後略〜」としています。表現の自由は民主主義の根本をなすものであり、表現の自由なき民主主義などあり得ません。そのなかでも、マスコミ等報道機関の「報道の自由」は、国民が国政を知り、適切な意見表明をし、選挙で審判を下すために非常に重要な役割を果たします

一方、「安保法案」(戦争法案)をめぐるマスコミの論調は、むしろ、憲法を犯そうとしている政権に対するものとしては非常に「客観的」で、煮え切らないものです。
日本国憲法は我が国の国政上、政府が遵守すべき絶対の価値観なので、その絶対の価値を侵害しようとする者に対しては、絶対的な批判の論調しか、本来はないはずなのですが、マスコミの論調は、全体としては「憲法学者の誰それはこう言った」「デモに参加した人がこう言った」というもので、自分たちが憲法の守り手であり、担い手である、という自覚がいつまで経っても見えてきません。

このようなマスコミ報道すら、「懲らしめる」対象だとすれば、その発言主は表現の自由を否定する「憲法の敵」だと言わざるを得ません。もちろん、日本国憲法の下では、憲法に仇なす言論の自由もありますが、ことは憲法尊重擁護義務を負う国会議員です。この発言自体が憲法違反なのであり、許されるものではないでしょう発言者も、覚悟の上の発言と思われますので、正々堂々と名乗り出て、国民に向かって説明をすべきでしょう。

この件の質が悪いのは、実際にこのようなことがされなくても、権力を持った人間が「オレはやるぜ、オレはやるぜ」と示威するだけで、マスコミの萎縮効果が絶大だ、ということです。暴力団幹部に「夜道は気をつけなよ。冗談だけど。」と言われたら怖いのと、本質的には一緒です。
政権に屈していないことの証として、マスコミ各社は、この発言の主を特定し、晒すべきです。参加した記者は、発言の主を知っているはずなのです。

また、政治的に見ても、政党と経済団体の関係でこの発言を見た場合、大変気持ちの悪いものだと思います。そうやって言論封殺をしてもらった「借り」を、この議員はどうやって、どこで返すつもりなのでしょうか。
野党は国会でこの発言を徹底追及すべきでしょう。抗議ですませてる場合じゃありません
追記1
産経新聞に「勉強会」の参加者名簿が載っていたようです。引用もと:https://twitter.com/bilderberg54/status/614250959682691072
http://rpr.c.yimg.jp/im_siggGlmz9WxGs8ABtrAqUrdaRw---x540-n1/amd/20150626-00046986-roupeiro-000-6-view.jpg
追記2
百田氏の問題発言を引き出した人物は自ら名乗り出たようです。
http://rpr.c.yimg.jp/im_siggz241YnaOD3K41RUozGqo.w---x540-n1/amd/20150626-00046986-roupeiro-001-6-view.png
1978年生。日本労働弁護団常任幹事、自由法曹団常任幹事、京都脱原発弁護団事務局長。労働者側の労働事件・労災・過労死事件、行政相手の行政事件を手がけています。残業代計算用エクセル「給与第一」開発者。基本はマチ弁なの何でもこなせるゼネラリストを目指しています。残業代を軸に社会と会社を分析する『ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか? ナベテル弁護士が教える残業代のカラクリ』(旬報社)発売中。

【集団的自衛権は違憲(`ω´)キリッ】1999年の高村正彦外務大臣の答弁

前回の「【安保法制】ねじれる高村正彦・自民副総裁〜1999年との相克〜では、自民党副総裁の高村正彦氏が、外務大臣だった1999年のときは憲法違反としていた集団的自衛権について、現政権になってから「一般的法理」を持ち出して、合憲だと言い始めた話を書きました

数え切れないほど言明してきた政府

外務大臣としての高村正彦氏の集団的自衛権=憲法9条違反の答弁は、実は一つではなく、1999年の通常国会だけで以下のように繰り返し、繰り返し、言明しています。
○高村国務大臣
国際法上、国家は個別的自衛権に加えて集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利を有しているものとされています。我が国が国際法上このような集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然であり、日米安保条約前文も、日米両国がこのような集団的自衛の固有の権利を有していることを確認しているところであります。
しかしながら、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、我が国の憲法上許されない、こう考えております。
出典:平成11年2月9日 参院予算委員会
○国務大臣(高村正彦君)
憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しております。したがって、個別的自衛権については、いわゆる自衛権発動の三要件に該当する場合に限り発動が許されますが、集団的自衛権を行使することは、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲を超えるものであって、憲法上許されない、こういうふうに考えております。
出典:平成11年3月8日 参院予算委員会
○国務大臣(高村正彦君)
いずれにしましても、NATOの新戦略概念と日米安保共同宣言は種々異なる点があり、一概に比較できるものではありませんが、双方とも国際情勢の変化に対応した安全保障上の取り組みを示すものであるという点では共通する面があります。
共通した面があるかどうかというのは、共通した面もあれば違った面もあるということだと思いますが、何よりも日本は集団的自衛権を持っていないわけで、NATOの諸国というのはみんな集団的自衛権を持ってやるわけでありますから、似ているところがあると余り強調し過ぎるのはちょっと違うんじゃないかなという感じはいたします。
出典:4月27日 参院外交防衛委員会
○国務大臣(高村正彦君)
日独両国とも、敗戦国とはいえ主権国家である以上、国際法上このような集団的自衛権を有しているわけであります。それにもかかわらず、ドイツは集団的自衛権を行使でき我が国が行使できないのは、おのおのの国がその国内の最高法規においておのおのの立場を選択したからにほかならないわけでございます。〜中略〜我が国については、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えているわけでございます。
出典:5月17日 参院日米防衛協力のための指針に関する特別委員会
4月27日の答弁は、国際情勢の変化とは関係なく、集団的自衛権は違憲としているのが注目されます。これは当たり前のことで、変化に伴って憲法でできないことをしたいのなら、憲法改正を発議して国民に問うのが政府の責任です。一方、今の安倍政権はあるかどうかも疑問な「国際情勢の変化」を憲法解釈変更の理由にしています。

なぜ政府が勝手に憲法解釈を変えてはいけないのか

このように繰り返し集団的自衛権は憲法違反、と答弁してきたのは高村氏だけではなく、実は安倍首相すらかつてそう答弁しています
それだけ言明してきたことについて、コロッと答弁を変えれば、一政策問題であっても、批判は免れないでしょう。まして、ことは単なる政策問題ではなく、国民が政府というガリバーの手足(権力)を縛る憲法の解釈です。そういう勝手な憲法解釈の変更が許されないのです
例えば、憲法12条は、国民の権利・自由について「国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」としています。筆者はこの「公共の福祉」に関する政府解釈はつまびらかに知りませんが、通説的な学説では、人権同士が衝突したときに相互を調整するための原理、とされています。ところが、自民党の憲法改正草案ではこの部分は「公益及び公の秩序」と書き換えられています。もし、政府が憲法解釈として「憲法の公共の福祉とは、公益及び公の秩序のことである」と言い出したら、野党候補者の選挙演説に対して警察官を臨場させ反政府的な言論をしたときは「公の秩序に反する。弁士中止!」と集会を解散させることにもなりかねません。
憲法学者たちが今国会の「安保法制」(戦争法案)に心底怒っているのも、政府(権力)の憲法違反については一事が万事だからです。政府自身が半世紀近くにわたって国会で「我々はこうやって縛られているのです」と述べてきたことであればなおさらで、それを政府が勝手に変更すれば、憲法などあってなきがものになってしまいます。政治家は、多かれ少なかれ、嘘つきです。嘘をついて国民の人権を侵害します。だから、嘘つきを縛る縄を決してゆるめてはならないのです。
1978年生。日本労働弁護団常任幹事、自由法曹団常任幹事、京都脱原発弁護団事務局長。労働者側の労働事件・労災・過労死事件、行政相手の行政事件を手がけています。残業代計算用エクセル「給与第一」開発者。基本はマチ弁なの何でもこなせるゼネラリストを目指しています。残業代を軸に社会と会社を分析する『ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか? ナベテル弁護士が教える残業代のカラクリ』(旬報社)発売中。

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