「政府による官製ヘイト」は極めて危険だ。前川喜平・前文科事務次官語るhttps://hbol.jp/1648782018年05月03日 <取材・文・撮影/横田一> HARBOR BUSINESS Online 講演終了後、記者の質問に答える前川氏 文部科学省前事務次官の前川喜平氏が4月15日に広島県尾道市で講演を行い、尾道出身の大林宣彦監督の“戦争3部作”の集大成である映画『花筐』について語り、「政府による官製ヘイト」の危険性を説いた。 〇教育とは素晴らしいものであり、恐ろしいものでもある 講演の中で、前川氏は大林監督についてこう語っていた。 前川:大林監督はご自身が国民学校の生徒であった時に描いた絵を持ち出してきて、「自分が軍国少年であった証だった」と言っておられます。日本の軍用機が爆弾を落している下にいるのは、ルーズベルトとチャーチルなのですね。米英は憎いヤツだという気持ちを小学生の時に持っていたことを振り返って、大林監督はこう言っていました。「自分は加害者だから戦争反対ということを大きな声では言えない。『戦争は嫌だ』としか言えない」と。 自分が軍国少年であったことを反省している。それは当時の教育が悪かったわけです。教育というのはたいへん素晴らしいものである反面、たいへん恐ろしいものでもあるということだと思います。教育という営みをどちらの方向に持っていくのかによって大変恐ろしいことを引き起こすことができる。 一方で、前向きで素晴らしい世界を作っていくために必要なものでもあるわけです。教育をどのようにハンドリング(運営)していくのかは将来にとって非常に決定的な意味を持つと思います。いま「教育をどちらの方向に持っていくのか」が問われていて、それによってこれからの日本が変わっていく大きな分かれ道にいるのではないかと思っています。それは、この国に住む人たちが一緒になって考えなければいけない非常に重大な問題ではないかと思っているわけです。 〇憲法改正議論について、国民は真剣に考えねばならない 講演後、記者は前川氏にこう質問した。 ――大林監督の映画『花筐』が問うているような、戦争が間近に迫っているような状況が、いま現実問題として起きているとお思いですか。 前川:そうですね、迫っていると思いますよ。私は、憲法改正というのは大きな曲がり角だと思っています。これは本当に真剣に、日本国民の老いも若きも考えないといけません。まず憲法を学ばないといけない。学んで、考えて、憲法改正が望ましいとしたらどのような憲法改正が望ましいのか。国民が真剣に考えて議論して改正するのだったらいいのですが、「偉い人がこう言っているから」ということで安易に考えたら大変なことになると思っています。 ――映画『花筐』には「青春は戦争の消耗品ではない」という言葉が出てきます。 前川:その再来が危惧されているわけですよ。ヒトラーだって、ドイツの若者たちが熱烈に支持をしました。でも結局それも「戦争に消耗される青春」になってしまったのですから。私は、このヒトラーがワイマール共和国の中から、いかにして政権を握って独裁者になったのかをちゃんと学ぶことが大事だと思うのです。 http://asyura.x0.to/imgup/d8/3250.jpg 大林監督の育った広島県尾道市は、多くの映画の舞台になっている。海と山に囲まれ、細い路地や坂道がはりめぐらされた美しい街だ ――「現在の道徳教育では、自己犠牲を強いる価値観を植えつけようとしている」。そういう意味を込めて、問題提起をされていますね。 前川:自らを活かすのではなくて、自分を殺して公のために尽くすのが「滅私奉公」なのです。その「公」とは何かと言うと、「公共」とは別の、何らかの「権威」がある。国家とか天皇制とか。そういう滅私奉公的な倫理が強調される道徳になりかねない。そのことが心配です。 ――いまの学校風土にも残っている、戦前型の「滅私奉公」モデルがさらに復活してしまう恐れがあると。 前川:子供たちを型にはめてしまう教育が強まってしまう。「全体進め」「全体止まれ」という全体主義的な号令は、実は日本の学校風土の中にずっと生き残っているものなのです。これが強化されてしまう恐れがあります。 〇現政府は、国内に敵を作り団結を強めようとしている 「いまの安倍政権は、国内に敵をつくって国民を団結させようとしている」と前川氏は批判する ――「政府による官製ヘイトがある」ともおっしゃっていますね。 前川:いまの政府の世論誘導の仕方は、ヒトラーのユダヤ人政策によく似ています。「内なる敵」を作るということです。つまり「敵を作ることで団結を強める」という古今東西の権力者が用いてきた常套手段ですよね。それを使っている。 国外では北朝鮮。国内では在日外国人。民族差別的なネガティブ感情に訴えるのが「ポピュリズム」なのです。これは非常に問題が大きいと思います。「北朝鮮は危ない!」「朝鮮学校は北のスパイ養成所だ!」というネガティブな感情を人為的に引き出して増幅させて、それによって自分たちの支持を勝ち取ろうとするのが「ポピュリズム」の一つの側面。(安倍政権は)そういう手法を使っていると私は思います。 〇自主性を引き出すのが「教育」、自主性を殺すのは「調教」 ――本来なら少数者の多面的な価値、文化を認めるのが本来の教育のありかただと。 前川:そうです。国民を「国のために尽くす兵隊」としてつくりあげた学校制度が、極限まで行ってしまったのが第二次世界大戦です。ですから、そういう歴史を学ぶ必要があります。どうやって当時の教育政策が国民の精神に働きかけたのか。「教育は恐ろしいものだ」「教育を間違えてしまうと、あっと言う間にファシズムが来るよ」ということを学ぶと。 本当に教育の力は怖いですから。教育ではなくて、洗脳・調教ですよね。自主性を引き出していくのが本来の教育だけれども、それを殺してしまう。子供たちみんなをロボットのように、同じように動かしてしまう。それは本当の教育ではなく、私は「調教」と呼ぶべきだと思います。 ――映画『花筐』に描かれたような、第二次世界大戦での若者たちの叫びをもう一度学ぶ必要があるということですね。 前川:本当は、学徒動員で散って行った若者たちの中にも、戦争に対して疑問を感じていた人も多かっただろうし、軍国主義や全体主義に反発していた若者もたくさんいたと思うのです。今だって、そうなる危険性はある。第一次世界大戦が終わった1920年頃には、みんな「平和が来た。もう戦争はないだろう」と思っていました。だけど、そうはいかなかった。それからどんどん世界の歴史が暗転していったわけですから。だから我々は、いま歴史の大きな分岐点にいるということを自覚したほうがいいと思っています。
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前川さん
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前川喜平・前文科事務次官が警告「いま日本は、ファシズムの入り口に立っている」
2018年5月1日<取材・文・撮影/横田一>HARBOR BUSINESS Online 前川喜平・前文科事務次官は4月15日、尾道市で行われた講演会の後、森友学園の決裁文書改竄について記者の質問に答え、「何らかの外部の力、官邸から何らかの圧力があったと考えれる。例えば、今井尚哉首相秘書官が指示したということは十分に考えられると思います」と語った。 前川喜平・前文科事務次官 〇政治が、官僚の矜持や使命感をズタズタにしている ――森友学園の決裁文書改竄について、官邸から何らかの圧力があったと考えられますか。 前川:こういったことが霞ヶ関のあちこちで起こっています。名古屋の中学校で私が授業、講演をした内容について文科省が「調査」を行いましたが、これは「自らの判断で行った」と、いまでもそう説明している。しかしこれは「自民党の文教関係の重要なポストを占めている人(=自民党文科部会長の赤池誠章・参院議員と部会長代理の池田佳隆・衆院議員)が指示、それに基づいて行った」ということはもう明らかです。 明らかであるにも関わらず、「その人たちは関係ない。役人たちがやったことです」と説明しようとしている。これはイジメの構図に等しい。イジメられた子供はイジメられたことを言わない。『階段から自分から落ちて怪我をした』と言う。そういう構図によく似ていると思います。 公務員は全体の奉仕者。いま、官僚の矜持や使命感がものすごくズタズタにされて、貶められている状況にあります。『官僚組織が腐敗・劣化した』のではなく『歪んだ政治によって、公正公平・中立透明であるべき行政が歪められた』という非常に由々しき事態ではないかと思うのです。行政の劣化とか腐敗と呼ばれる状況は、政治が変わらなければ。政治の責任です。 〇全体主義への流れの中で、権力の私的乱用が起きている ――その背景にあるものは何でしょうか? 前川:非常に大きな構図でいえば、「全体主義に向かって国を変えて行こう」とする勢力があるのだと思います。「政治を牛耳り、行政も牛耳る」という状況にあると私は危惧をしています。自由に物が言える状況が失われてしまうのではないか。そういうことが起こりうると思います。 いま世界中で独裁政治が出現しています。中国もロシアもそれに近い状態になっている。「歴史は繰り返す」といいますが、1920〜30年代の歴史を学ぶことが重要です。大きな意味でいうと、全体主義の方向を目指している人たちが、何が何でもその権力を維持し、強めていこうとしている。その流れの中で、権力の私的乱用も起こっていると思う。 米国のホロコースト記念館に『ファシズムの14の初期警報』(※文末に詳細)というのがあるのですが、この14項目のうち11か12ぐらい(今の状況は)当てはまっているような気がします。軍事や安全保障をことさら強調し、権力の縁故主義、つまり“お友達優遇”がはびこっている。私は、いま日本はファシズムの入り口に立っていると思います。そっちに行くのか、そうでない方向に行くのか。もう一回、この社会を立て直していけるのか。我々が試されているのではないかと思います。 〇官僚である前に、一人ひとりが尊厳ある個人であることを忘れないでほしい ――現職の官僚に求めることは何ですか。 前川:官僚である前に、一人ひとりが尊厳ある個人であることを忘れないでほしい。一人ひとりが精神の自由を持っている。何を考え、何を信じてもいい。『自分を失うな』と言いたい。 特に、文部科学省は『自分で考える教育をやりなさい』と言っている。『自分で考えなさい』という教育をしようとしている役人自身が、自分で考えていないのは非常に問題。自分で考える先生、自分で考える役人でいなければならないと思います。そうではないと、自分で考える子供は育てられない。 自分自身で考えることが大事だと思うのです。そのうえで『主権者である国民である』という自覚を持つことです。国民である自分が公務員である自分を批判する。自分自身の仕事を客観視して、批判する目を持っていないといけないと思います。 【※ファシズムの14の初期警報】米国ワシントンの「ホロコースト記念館」に展示されている、ローレンス・ブリット(政治学者)の言葉。13番目に「縁故主義と汚職の蔓延」がある。 1)強大で執拗な国家主義の宣伝 2)人権の重要性の蔑視 3)団結のための敵/スケープゴートづくり 4)軍隊の優位性/熱烈な軍国主義 5)性差別の蔓延 6)マスメディアの統制 7)国家の治安への執着 8)宗教と支配層エリートの癒着 9)企業権力の保護 10)労働者の力の抑圧もしくは排除 11)知性と芸術の軽視と抑圧 12)犯罪取り締まりと刑罰への執着 13)縁故主義と汚職の蔓延 14)不正選挙 <取材・文・撮影/横田一> ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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前川喜平・前文科事務次官が語る「加計問題に安倍総理が積極的関与」の“動かぬ証拠”
HARBOR BUSINESS Online 2018/04/29 16:21
全国各地を飛び回り、講演行脚を続けている前川喜平・前文科事務次官が4月15日、広島県尾道市で「今こそ伝えたい これからの教育、これからの日本」と題して講演を行った。そこから本四架橋を渡った先は、獣医学部が開学したばかりの加計学園がある愛媛県今治市。講演は教育がメインだったが、質疑応答に入って加計問題についての質問が出ると、前川氏は「待ってました」と言わんばかりに一気に語り始めた。
◆“あの人”のために、行政の私物化が行われた
「私は(加計問題では)行政が歪められたと思っています。公平さ、公正さ、透明性ではない。不公平、不公正、不透明。なぜ歪められたのかというと、『行政の私物化』が行われたから。本来の国民全体のためではなく、一部の人たちのために行政組織が使われてしまった。誰の私物化なのかというと、“あの人”の私物化だと(笑)。はじめから加計学園ありきだったのです」
前川氏はさらに「重要な文書が最近になって出てきた」と語る。
「2015年4月2日、加計学園の事務局長、今治市企画課長、愛媛県地域政策課長の人たちがそろって官邸を訪れ、柳瀬唯夫さんという首相秘書官(当時)と面会した。その面会の際の記録が残っていました。同じ日の午前中には、内閣府に行って藤原豊さんという特区担当者からさまざまな話を聞いている。そちらの記録も『備忘録』ということで残っていました。これは『真正』、つまり本物だということを中村知事は断言しているわけで、私も愛媛県の担当者が作ったものだと思います。
同じ文書が農水省からも出てきた。ですから、この文書の存在自体も内容も疑う余地はない。嘘を書く必然性はどこにもないですから。むしろ『この人はこう言った』ということを愛媛県(の担当者)は中村時広知事に、今治市は菅良二市長に説明をしないといけない。恐らく加計学園の事務総長も同様のメモを作っているでしょう。加計孝太郎(加計学園理事長)さんに説明をしないといけないでしょうから」
◆文書に書かれた内容は、言い逃れできない「動かぬ証拠」
そして前川氏は、加計問題に安倍晋三総理が積極的に関与していたと断言した。
「そこに書かれているものは疑う余地がなく、安倍総理が自ら積極的に関与している。自ら意思表明・意思表示をしていることがハッキリしています。柳瀬氏が『首相案件だ』と言っていますが、柳瀬氏と首相の間に入っている人はいない。首相秘書官というのは首相と直接やりとりをする人ですから。その秘書官が『首相案件だ』と言っているということは『首相から言われた』以外にないわけです。
このやりとりの中に出てくる『加計孝太郎氏と会食をした』というのも事実でしょう。その際に、獣医学部新設が話題になっていることも書いてありますね。下村博文文科大臣(当時)が『加計学園に対して出した課題に対して回答がないというのがけしからん』と言っていたことを、安倍さんが加計孝太郎さんに言っているわけです。
だから文科省と加計学園の間には(下村文科大臣らと)やりとりがあって『回答が出ていないじゃないか。ちゃんとやってくれないと私も応援できないよ』ということを言下に言っていたのだと思います。
それが加計学園の事務局長に伝わって「『ちゃんとやれ』と言われたのだけれども、どうしたらいいのでしょうか」ということを事務局長が柳瀬氏に聞いているやりとりがあるわけです。これはもう『語るに落ちる』というか、ここでハッキリとしてしまっている。
安倍総理自身が積極的に関与しているのは間違いない。加計孝太郎さんとの間で加計学園獣医学部新設のことを話し合ったことは、この文書のようなものを“動かぬ証拠”と言うのです。
これを否定するのなら、それをひっくり返すぐらいの証拠がなければいけない。『覚えていない』というのを繰り返すだけではひっくり返せない。裁判になれば、決定的証拠として採用されるものだと思います。『言い逃れできない』と私は思います」
◆佐川氏も柳瀬氏も、政と官のゆがんだ関係の中でイジメられている
こう言い切った前川氏は講演後、囲み取材に応じて「柳瀬さんにはどんな期待をされていますか」との質問にこう答えた。
「柳瀬さんはもう逃げられないと思います。『覚えていません』を100連発するしかないのだろうと思いますが、あまりにも惨めで、かわいそうですね。私は、そもそも佐川さんにも柳瀬さんにも同情と憐憫の気持ちがある。『政と官』の歪んだ関係の中でイジメられている。だから『悪いヤツ』というよりも『弱いヤツ』と言った方がいい。かわいそうだと。ジャイアンにいじめられているスネ夫のようなところがある」
最後に「安倍総理は虚偽答弁をしたと前川さんはおっしゃいましたが、内閣総辞職、首相辞職に値すると思いますか」と聞くと、前川氏はこう断言した。
「あれだけ嘘をついたら、内閣総辞職に値すると思います。1年間も嘘をついていたわけですから」
・画像:前川喜平・前文科事務次官
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3/4ページより
日本会議は害虫の巣
戦前は教育勅語というものがあって、1890年、明治23年に、明治天皇の侍講だった元田永孚(もとだ・ながざね)という人が中心になって、天皇を中心とする日本人の精神の統合のための教えが必要だということで作ったものです。教育勅語が戦前の日本人の精神を支配していた。
これは一人一人の自由な精神の開発というものを押さえ込む、ひとつの型にはめてしまう強力な武器になったわけであります。人間の自由を殺す武器です。人間の命は殺さないかもしれないけれど、命と同じくらい大事な自由、人間の主体性というものを殺してしまう武器としてフル活用されたのが、教育勅語だと思います。(中略) それがいま「教育勅語はいいことが書いてある」とか「学校で使ってもいい」というようなことを言い出す人が出てきて非常に危ないと思っています。 ――ついに出るかと思いきや、森友問題は不発。どころか、前川氏、教育勅語を諳んじてみせるのである。 「朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト……一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」。勉強していると、覚えてしまうんですよ(笑い)。批判するためには勉強しなければなりませんから。(中略) 文部省が1937年に発行した『国体の本義』の中に、我が国は一大家族国家であるということが出て来ます。国民はすべて天皇の子供である、と。日本という国は大きな血の繋がった家族で、大きな家族のお父様が天皇陛下であり、その1単位1単位が小さい家族の中の天皇がお父さん。(中略)大きな家族のなかに小さな家族がある、家族というのは国家の単位であるとは、まさに自民党の改憲案の中に出てきます。教育勅語が示す国体思想が反映していると私は見ております。 この国体思想的なもの、「血が繋がった共同体こそがわが日本民族である」という考え方は、根強く残っています。中曽根(康弘)さん(編集部註:前川氏の妹の義父に当たる)なんかはハッキリとそう言っています。「日本という国は契約国家ではない、自然国家である」と。 これは立憲主義を否定するような言い方です。個人がいて社会ができて、憲法があって国家ができるという順番ではなく、日本という国ははじめから国家があるんだと。 こういう国家観を持っている人は、実はいまもたくさんいます。私はこれは、戦争に負けた時に、過去の間違った考え方を100%、キチンと清算しなかったからだと思うんです。徹底的な害虫駆除をしなかった。残っちゃった害虫は、しばらくは見えないところに潜んでいたと思うんです。それがちょっとずつゾロゾロッと出てくると、その度に叩いてたんでしょうけれど、叩ききれないほど出てきちゃった。 どうもそれが、あるところで増殖している。巣があってですね、日本会議とか(会場内から拍手)、最近だと日本青年会議所ですよ。青年会議所って昔はもっとマトモな団体だったんだけど、池田佳隆さん(衆議院議員)って、私が名古屋の中学校での授業を問題にして、文部科学省に圧力かけた政治家で、この人は青年会議所の会頭だった人。あの人あたりからおかしくなってきていますね。 そういう日本会議とか青年会議所が、害虫が増殖する巣になっている。しかも害虫の数が多いだけでなく、図体が肥大化してきて、大きな害虫があっちこっちから出てきているというのがいまの状況じゃないかと思うんです。これは明日あたり、産経新聞に相当言われそうな気がする(笑い)。「日本会議をゴキブリ扱いしたぞ」なんて相当言われそうですけど、構いませんよ私は。 ――日本会議や青年会議所の人が聞いたら怒るでしょうな。 天皇を中心とする国家というものに忠誠を尽くす美しさを強調する倫理は、戦後否定されたわけです。何よりも大事なのは個人であって、個人の尊厳を上回るような国家の価値などはないと。国家とは一人一人の人間を守るためにあるのであって、国家のために身を捨てることを要求される理屈などはないんだ、という価値の逆転があったはずなんですけれど、そんな高村光太郎のような内なる精神の倫理の崩壊を経験しなかった人がいるわけですね。 その中に岸信介なんて人もいたんですね。戦後、教育勅語、修身、道徳を行う教科を復活させようという動きは何度もあった。実際に週1回の「道徳の時間」を始めたのは1958年、岸内閣の時です。それを「教科」にしたのが安倍内閣です。お祖父さんの始めたことを完成させたと言ってもいい。 22世紀に日本はない?
歴史を学ぶことは重要だと思います。平和を維持するために必要な学びの中でも、過去の歴史を学ぶことは非常に大事だと思います。歴史は繰り返すという言葉もあります。私はいまの状況は、1920年代から30年代にさしかかる境目みたいなところにあるような気がしてならない。下手をすると、このままなにもしないでいると、もう一度1930年代の経験をすることになりかねないと思うんです。(中略)
日本国憲法の手本となったのはワイマール憲法です。最も先進的、最も民主的と言われた 憲法を持っていたドイツ国民が、民主政治の中からヒトラーという独裁者を生んでしまった。民主的な憲法が、全権委任法という反憲法的な法律を許してしまったということは、ドイツ国民だけの歴史ではないんです。人類が経験した歴史であって、この教訓は全ての国の国民が学ばなければならないし、特に日本人は学ぶ必要があると思います。実際、「ヒトラーの手口に学べ」と言う人もいるわけですから。 ――まるで安倍首相はヒトラーになると言わんばかりである。 そういう意味で、憲法改正に関しましては、まずは、いまの憲法を学ぶということをしないと憲法改正の議論をすべきではない。じゃあいまの若者たちが憲法を学んでいるかといったら、それが覚束ないわけです。まず憲法改正を言う前に、いまの憲法を学ぶことが大事だと思います。学ばない人たちを相手にして、「いいんじゃない」って感じで改憲をしてしまうのは無責任だと思います。それこそナチスの手口に学んだような改憲は、許すべきではない。9条に関しましては、2014年の閣議決定そのものが無効と思っていますし、いまの憲法の下で集団的自衛権を認めるなんてやってはいけないことだと思っています。(中略) さらに自民党の改憲草案はもっと恐ろしい。これは人権規定を公益とか公の秩序という名目でいくらでも制限できるようになっています、自営のための実力組織という自衛隊の性格を根本から変えて、アメリカと同じような軍隊を持とうということにもなっています。これは非常に危ない。いましっかりと改憲を阻む努力をしないと、22世紀、23世紀に向けてこの社会を我々の子孫に残して置くことができないのではないかと、そんな気がしている次第でございます。 ――前川氏の講演はここまでだが、壇上の主催者からは前川氏にデモ参加への感謝の言葉が添えられた。国家公務員を離れ、憲法で禁じられていた政治活動を晴れてスタートさせた前川サンなのであった。 週刊新潮WEB取材班 2018年4月25日 掲載
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「夜間中学語る会に前川氏 セーラー服歌人と『学び』語る」編集委員・氏岡真弓 朝日新聞 2018年3月19日(写真:学び直せる場の大切さを語る鳥居さん(右)と前文部科学事務次官の前川喜平さん=専修大)
学習する機会を十分得られなかった人々が通う「夜間中学」。その大切さを語り合う会が18日、千代田区の専修大学で開かれた。登壇したのは前文部科学事務次官の前川喜平さんと、学びたくても学べない人がいることをセーラー服を着ることで訴える歌人の鳥居さん。2人を結びつけたのは夜間中学への思いだった。
前川さんは在任中、夜間中学の充実を目指す「教育機会確保法」の制定に関わった。「天下り」問題で辞職時に全職員に送ったメールでも「就学機会の整備が本格的に始まることは、私にとって大きな喜び」とふれた。いま神奈川、福島両県の自主夜間中学でボランティアの講師をしている。
鳥居さんは「小学生のとき、母を自殺で亡くし、児童養護施設で虐待を受け、学校に行けなかった」と語る。中学にほとんど登校していなくても卒業認定されたことを理由に、自治体の夜間中学に受け入れてもらえなかった。だが、2015年に文科省が通知を出して入学が可能になり、夜間中学に通っている。
鳥居さんは昨春、前川さんの退職時のメールを読み、会いたいと思うようになった。一方、前川さんは昨秋、鳥居さんを知るバーの主人から歌集を渡されて鳥居さんの思いを伝えられ、やはり会って話したいと思った。そのことを知った憲法を考える市民グループ「Feel9(フィールナイン)」のメンバーが引き合わせ、今回の会を企画し主催した。
会では、鳥居さんが〈慰めに「勉強など」と人は言う その勉強がしたかったのです〉という自作を紹介。「中学生としての日常は無理だが、勉強だけでも取り戻したいと夜間中学に通っている」と語った。 前川さんは「学校に行きたくても行けない人を文科省は見て見ぬふりをしてきた」とし、「国はすべての人に無償の普通教育を保障すべきだ」と話した。
前川さんの名古屋市立中学校での講演をめぐり、文科省が市教育委員会に内容を問い合わせ、録音データの提供を求めていたことも話題になった。
鳥居さんが「文科省、最近、ちょっとこわい」と言うと、「きょうはいないんじゃないですか」と前川さん。会場から笑いが起きた。前川さんはその中学校での授業について紹介。夜間中学は何かを説明し、さらに「大人の言うことを信じちゃいけない。自分の頭で考えることが大切だ」と呼びかけたと話した。(編集委員・氏岡真弓)
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