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◎浜岡原発の破壊事故
2011年5月9日に政府から停止要請を受けて4号機に続き5号機で冷温停止の作業が行われていた浜岡原発で、5月14日に5号機でとんでもない大事故が起きていた。
原子炉の蒸気を海水で冷却し、水に戻す「復水器」の細管が破損し、冷却用の海水が400トンも漏れ、5トンが原子炉に入ったというのです。
沸騰した蒸気には放射能が含まれていて、一歩間違えば海水中に放射能が入り遠州灘に汚染水が流れ出す危険がありました。
そして、原子炉内に海水が入ったことで内部の腐食が進み、とても危険な原子炉になりました。
中部電力は翌日に原子炉が冷却停止状態になった事と合わせてようやくこの事故を発表し「外部に放射能は漏れない」と説明しました。
放射能を含んだ蒸気と冷たい海水が、薄い細管を隔てて接する復水器は事故を起こしやすいのだが、400トンも漏れたという事故は聞いた事がありません。
しかも、事故を起こしたのは2005年に運転開始したばかりの5号機だった事も驚きでした。
復水器内部には約6万4千本のチタン製の細管(長さ約18m、直径約3cm)があり、破れた複数の細管の写真が公開されました。
その前面で溶接した再循環配管のキャップが脱落し、吹っ飛んで細管に当たった可能性があります。
東海地震の直撃を受ければ、多くの配管が破壊されることは間違いありません。
燃料棒を取り出して、廃炉の工程中も長い年月がかかり、その間に巨大地震が襲ってくれば、運転中と同じような「原発震災」の危険性があります。
それに、どの原発も使用済み核燃料を抱え込んでいて、停止中でも原子炉や核燃料プールを冷却できなくなると、壊滅的な事故が起こる危険があるので、
一刻も早く浜岡原発から危険なウラン燃料を取り出して大地震の危険がない安全な場所へ移すべきです。
※政府の地震調査委員会は9日、静岡県から九州の太平洋側に延びる南海トラフで今後30年以内にマグニチュード(M)8〜9級の巨大地震が発生する確率を「70〜80%」に引き上げたと発表した。
(読売新聞より)
南海トラフで発生する巨大地震の予想震度
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2011年8月30日 朝日新聞出版・発行
広瀬 隆・著「原発破局を阻止せよ」より抜粋、要約
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若紫さんからの原発情報
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◎未来に対して無責任な地層処分
2012年4月23日、地層処分の研究施設、JAEA(独立行政法人日本原子力開発機構)の岐阜県瑞浪市にある、瑞浪超深地層研究所を視察しました。
地下300mの施設では、坑道を掘る事で周囲の水脈や水質はどうなるのか、地盤(瑞浪市は花崗岩層)の亀裂はどうかなどが調査対象でした。
そこで私はJAEA幹部と文科省の担当者に次の質問をしました
「地層処分とは地下深く埋めて、あとは忘れるという技術だ」
「逆に放っておかないで人類が管理し続けるという選択肢はないか」
これに対してJAEA幹部は
「さんざん検討してきた結果として地層処分が選ばれた」
「米国も北欧もそうであり、専門家の一致した意見だ」
また私からの質問は
「専門家といわれるが、いわゆる原子力ムラではないのか」
「より広い専門分野から検討したらどうなるか示してほしい」
と言いました。
なぜなら、米国は候補地のユッカマウンテンが、安全性懸念で大統領に拒否されているし、北欧は震度5以上の地震がほとんどないので、日本と条件が違っていて回答になっていないからです。
そもそも埋めたら大丈夫という感覚が「バックエンドの安全神話」に他なりません。
研究所の地下に入った時に非常に気になったのは、大量の水が溜まっている事、どこにいても風が吹いている事でした。
水はポンプで吸い上げられていましたが、電気がなければ成り立たない施設です。
この坑道を百年単位で開けておき、崩壊熱を発するガラス固化体や燃料集合体のエンドピースなどを順次運び込むといいますが、埋め戻すまでの100年間に電源喪失が起きないという保証はありません。
電気がなければ、運び込んだ廃棄物に触れる水が地上に溢れ出るし、空調が喪失すれば廃棄物の排熱ができなくなります。
使用済み核燃料の処分は、数千年〜百万年にわたり人類史を超えた管理が必要ですから、私は再処理せずにテロや盗難などにも備えるべく、地上・地中浅地中等で最後まで管理し続ける方法を主張しています。
そして、人類の禁忌として放射能に対する危機意識を保存するのです。
「埋めて忘れる」事は、今を生きる私たちだけの安心感であり、未来に対して無責任です。
瑞浪超深地層研究所内部
画像は借りています
※著者は元衆議院議員(京都大学工学部物理工学科卒、米国UCLA大学院材料工学科修士課程修了)
2013年5月1日 株式会社明石書店・発行
平 智之・著「禁原発と成長戦略」より抜粋、要約
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◎日本列島の地質と核のゴミ
原子力発電を導入した当時の関係者が、原子力発電を行えば必然的に放射性廃棄物が発生する事は認識していたであろうが、その処理も処分の事も深く考えていたとは思えない。
もっとも1960年代当時、欧米でも高レベル放射性廃棄物を人間社会から隔離しておかなければならない期間は1万年程度と見る人が多かった。
そして、数万年にも及ぶ隔離期間が日本の国土に、どのような意味を持つかを考えた人はほとんどいなかっただろう。
しかし、日本の大地震の歴史を見れば、当然考えなければならなかった事だが、原発によって利益を得る人々にとっては「ないもの」として扱う必要があったのだろう。
現在でも膨大な量の高レベル放射性廃棄物が存在しているが、今後は廃炉に伴い発生する物がさらに加わってくる。
日本列島は地震が多いだけでなく、火山噴火によっても地殻変動が多発している現実があり、歴史に残っている災害の事実は過去1千年余りの間に起きた事に過ぎないが、岩石に刻まれている地殻変動の痕跡として示されている断層や褶曲など各種の現象がある。
一つの例として、花崗岩などの火成岩や固結度の高い古い年代の堆積岩には断層や破砕帯などの亀裂が多数見られる。
筆者は国内ばかりか外国の岩石も60年余りにわたり見てきたが、我が国ではごく一部の例外を除き10m以上亀裂の無い岩石は見た事がない。
亀裂はその岩石そのものの強度を低下させるばかりではなく、亀裂という空隙が発生する事により、そこが地下水の通路や停滞の場になってしまう。
※我が国にある豊富な地下水は、高い降水量に恵まれている事に加え、岩体中の空隙が多い事が原因である。
ところが、放射性廃棄物処分において、地下水による溶脱と散逸はもっとも避けなければならない項目の筆頭であり、我が国での地下処分の安全性にとって最大の問題点である。
また、現代においても数年、あるいは数十年ごとに災害を起こしている地殻変動地域では将来も起こりうる可能性が高く、この点でも外国の地下処分とは通じ得ない。
しかも、地殻変動の予測は現在の科学からは困難であり、我が国での地下処分については基本に立ち返って考え直す必要がある。
※高レベル放射性廃棄物 処分場選定へ 経産省マップ公表
2018年1月28日 日本経済新聞より
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2014年10月10日 合同出版株式会社・出版
土井和巳・著「日本列島では原発も地層処分も不可能だという地質学的根拠」より抜粋、要約
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◎放射性核物質の管理と地殻変動
日本列島の地質は「フォッサマグナ」と「中央構造線」の2つの大きな断層帯によって分断されているが、その他にも数多くの断層が存在する。
これらの断層の全ての表土を剥ぎ取ってみれば、現在知られている物の数倍、あるいは数十倍以上の数の断層が見つかるであろう。
現在確認されている断層の多くは今後の活動の可能性の判断が難しく、地質学者の間では活断層とすべきか否かの論争が続いている。
日本の国土の約28%以上が第四期(現在に近い時期)にできた堆積岩と、同じ頃の火山噴火に関連した岩石によって覆われているため、断層の多くが近年に動いたものとし、現在は活断層の名で呼ばれている。
また、それより古い岩石の中にも近年に再度動きがあった物なども活断層とされている。
中生代に始まった地殻変動によるフォッサマグナと中央構造線は、第三期と第四期を通じてほぼ2億年にわたって続いている。
断層帯の一部は現代においてもまだ動きが認められ、この2つの断層帯に代表される地殻変動は終息していない。
過去の地殻変動の痕跡の中で、最も端的に表わしているものは地震と火山噴火の記録だが、人によって記録された以前に起きた火山活動なども、地表に見られるさまざまな現象により推測される。
しかし、今後起こりうる地殻変動を予測する事は困難であり、過去の痕跡を現在の地表で見る事ができる現象を解析し、推測する程度の事しかできない。
毎年、国立天文台から編集して出版される「理科年表」を見ると、国土と周辺の海域は地震の多発地帯であるが、それにしても、その記録は凄まじいもので、西暦400年代から2011年までの約1600年間に大地震だけでも426回起きていて、平均すると4年弱に1度は全国のどこかが大地震に見舞われた事になる。
(マグニチュード8以上の巨大地震は、日本周辺だけでも1600年ほどの間に26回起きている)
我が国が高レベル放射性廃棄物処分を地層処分で行う場合、地震による崩壊ばかりでなく、地下水の挙動上の変化も考えなくてはならない。
多くの場合地下水の動きが激化し、高レベル放射性廃棄物に悪影響があるからだ。
歴史の記録には残されていない地震もかなりあると思われる日本の国土で、高レベル放射性廃棄物を何十万年もの間、人間社会に触れる事なく処分する事は不可能である。
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2014年10月10日 合同出版株式会社・出版
土井和巳・著「日本列島では原発も地層処分も不可能だという地質学的根拠」より抜粋、要約
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◎拡散する放射能汚染
IAEAという国際的な原子力推進団体に対して、日本政府が出した報告書がありますが、その中に大気中に放出したセシウム137の量が書かれています。
※セシウム137・・半減期は30年
※ウランが燃えて核分裂してできる「死の灰」には約200種の核分裂生成物が含まれます。
福島の事故でどれだけ出したかというと、1号基だけで広島原爆の6〜7発分、2号基、3号機からもばら撒かれ、全部で広島原爆の168発分になりました。
この恐ろしさが分かりますか、1発でも恐ろしいのに、168発です。
しかし、この数字は過小評価だと思います。なぜなら、政府は今まで安全だというお墨付きを与えた張本人です。
普通、犯罪者が自分の罪を重く申告する事はありません。
なるべく軽く見せようとするのが人間の心理ですから、たぶんこの2〜3倍はばら撒いたと思っています。
大気中にばら撒かれた放射能は偏西風に乗って太平洋に流れ、アメリカの西海岸まで汚染しました。
国内にも猛烈な汚染地域があり、当時は北風も吹いたので、南へ流れ福島の浜通りを汚染し、茨城の北部、南部、千葉県の北部、東京の下町の一部を汚染しました。
また南東風が吹いた時は雪や雨が降り、放射能の雲が洗い落とされて猛烈な汚染地になりました。
原発からは何の恩恵も受けず、長い間の苦労の末「日本一美しい村連合」にも認められた飯館村も全村離村になってしまいました。
その後放射能は、福島中央部の伊達市、福島市、二本松市、本宮市、郡山市、須賀川市、白河市を汚染し、その後は栃木県の北半分、群馬県の北半分、群馬県の西部、埼玉県の西部、東京の奥多摩を汚染しました。
強制的に避難させられている地域では、1㎡あたり60万ベクレルを超えるセシウムが積もっていると報告されています。
群馬県の西部、福島県の会津、宮城県の南部と北部、岩手県の南部、茨城県の北部と南部、千葉県の北部、東京の一部は1㎡あたり3万〜6万ベクレルのセシウムが降り積もっている所です。
しかも、大気中だけではなく、実は海にもどんどん流し続けています。
※除染そのものができない
除染というのは「汚れを除く」と書くわけですが、汚れと私たちが呼んでいる物の正体は放射性物質です。
これを消し去ることはできません。
「除染」の実態は、放射性物質を移動させる「移染」に過ぎません。
しかも、環境は常に循環していますから、雨が降れば流れていき、風が吹けば飛んでいきます。
一度除染をしたつもりでも、また放射能が戻って来るのは当り前です。
(小出裕章ジャーナルより)
2014年6月1日 七つ森書館・発行
今西哲二、海老澤徹、川野眞治、小出裕章、小林圭二、瀬尾健・著
「熊取六人衆の脱原発」より抜粋、要約
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