以前、写真の修学院離宮を記事にした。
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紅葉の頃、雄大で美しい眺望が見られる「修学院離宮」と、これからご紹介する「桂離宮」、どちらがお勧め?と尋ねられたら、迷ってしまう・・。
今回は「桂離宮」と答えたい。
それは、花も紅葉もない12月の桂離宮を観たから・・。
庭園を装飾する花や紅葉が少なかったので、
日本庭園や日本建築のつくりと素材そのものの美しい設えに目が留まった。
お化粧してない素顔の美しさ・・とでも言おうか・・(笑)
ドイツの建築家のブルーノ・タウトが、「泣きたくなるほど美しい」
と絶賛した桂離宮。日本庭園として最高の名園ともいわれる。
和の自然素材を用いて丁寧に編んだり結んだりして造られた生垣や屋根、
昔ながらの職人技の美しさに感動!
拡大すると・・
モザイクのように手のこんだ石の道、*「草(そう)の延段」
「草の延段」は、自然の石を組み合わせて作った延段(=石の道)
独創的で自由、遊び心のある「「書道の草書」の「草」だ。
「行の延段」は、人工的な切り石と自然の石を組み合わせた延段
「真(しん)の延段」は・・人工的な切石だけを用いたきっちりしたイメージ
書道の「真・行・草」の書体から名づけられ、見所の一つとされている。
それぞれの場所にふさわしく考えられたのだろう。
延段(石を敷き詰めた道)一つとっても、ただの道ではなく奥が深い。
丁寧に造られた土橋の美しさにも惚れ惚れ・・・。
桂離宮は1615年から50年をかけて少しずつ作られ、以来400年間、一度も火災にも遭わず当時の姿を残している。造営したのは宮廷きっての文化人、八条宮智仁(としひと)親王とその息子智忠(としただ)親王で、『源氏物語』桂の院(源氏の別荘)をイメージして造られたそうだ。
平安時代、貴族は嵐山や桂川周辺に別荘を持ち、桜や紅葉を愛で、舟遊びを
楽しんだ。桂離宮も桂川から水を引いた大きな池に舟を浮かべ、4つのお茶屋には船着場も備えてあった。庭園内の樹木も四季折々の花や紅葉が、計算されたかのように植えてある。
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さて、バスを降りて桂川を眺めながら桂離宮へ。
寒々としているが、何となく平安時代の面影が感じられる桂川の風景だ。
(京都の観光地、嵐山にかかる渡月橋の上流を大堰川、下流を桂川という)
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この桂川の反対側に桂離宮があるのだが、生えている竹を中ほどから折り曲げて笹を取り込み、編んで造られたという笹垣が続く。「桂垣」と呼ばれている。この技術にもびっくり!
離宮の入り口に通じる角からは、穂垣という竹の生垣に変わる。
桂離宮の出入り口も、自然素材を使った丁寧な手仕事の技が光る
御幸門(みゆきもん)門柱は「あべかわ」というコルクのようなクヌギの木で、面白い味わいがあった。
表門と御幸門との距離は道幅を遠近法で調節。
客が来られたときは近く、別れを惜しんで、振り返るときは長く感じさせるという工夫がなされているのだそうです。驚きました!
こちらの道にも小さな石がきれいに敷き詰めてある。
「あられこぼし」という技法だそうだ。
「外腰掛」の前のソテツは、冬の風物詩
回遊式庭園なので、他の茶室が見えないようにするために植えているそうだ。いわば、屏風の役割をしている。藁は害虫から守る役割も果たしている。
「外腰掛」とは、お茶屋「松琴亭」に行くための待合として作られた。
「外腰掛」から「松琴亭」に行く途中にも美しい庭園が見られるのだが、
よくわからないまま、シャッターチャンスをのがしてしまった。
天橋立に見立てた庭園(ネットから)
お茶屋の一つ「松琴亭」の内部で目立つのは、襖の越前和紙の市松模様。
20年に1回塗り替えられた後なので色鮮やかで、モダンなデザイン。
お茶屋は、お茶を飲み料理を楽しむところ。料理は舟で運ばれてきたそうだ。
冬は長炉という囲炉裏が焚かれ、その上の棚に料理を冷めないように入れて
おいたそう。右が長炉と棚
面白いのは屋根で、ここにも「あべまき」が使われていた。
繊細な竹細工のようなつくりの屋根
お茶屋なので土竈も備えてあった。
ここもすべて自然素材で美しく仕上げている。
「笑意軒」から見た土橋と右手に「園林堂」
園林堂(おんりんどう)観音様と桂家の位牌が入っている
唯一の瓦屋根造りの建物
笑意軒(しょういけん)
この大きな窓の下の壁は銀箔とビロード
(ビロードは海外からのもので、隠れキリシタンとの交流もあった?)
竹の自然素材による窓が美しい。
ふすまの引き手に実物大の「はま矢」を使った 斬新なデザイン
燈籠が24個もあるそうだ。中には織部灯篭(キリシタン灯篭)が7つも・・
月波楼は古書院の並びにあり観月のための茶亭
小高い場所に建っていて、正面の池に映る月の影を楽しむ為に作られた。
北側の窓からは紅葉を楽しむことが出来、葉が落ちるとソテツが見えるように植栽の配置にもこだわる。秋から冬へと移り変わる景色を楽しむことが出来るおもてなしを考えた造園の技が光る。(「京都が世界に誇る桂離宮」より)
右手に見えるのが、月を楽しむための池。
天井は舟底天井。これも竹細工のよう・・・
竹が青いのは,お茶の世界では11月が正月になるため、
12月は竹も新しくしているとのこと。
書院群。左が「新御殿」、「楽器の間」を挟んで、右が「中書院」
書院は高床式で、夏は涼しく、冬は暖か
古書院のここにも月見台。智仁親王がここで名月を愛で、歌を詠まれたそうだ。お酒やお食事も、月明かりで楽しまれたとか・・。
この地は風流な観月の名所としても知られ、離宮の近くには月読神社があり、桂の地名も中国語の「月桂」の故事から来ているそうだ。
灯篭もこんな素敵な灯篭が・・月と星と?をあらわしているそうだ
観月のために、月を中心に造られたのですね。
たそがれ酒を楽しみ、昼はお茶を楽しみ・・優雅ですね〜」と友人。
素顔が美しい桂離宮なので、花や紅葉の頃はまた一段と美しいことだろう。
興味深いのは、庭園にある24の灯籠のうち、キリシタン灯籠(織部灯籠)が7つもあること。隠れキリシタンとの交流があったのでは?という説も。八条宮智仁親王の妃はクリスチャン大名の娘、宣教師との繋がりもあって、和風でありながら、西欧文化の影響も随所に見られるとのこと。
また、ソテツや松などで景色を隠して、お楽しみサプライズを考えたり
表門と御幸門の遠近法を用いたり・・あちこちにおもてなしの心が感じられるのも魅力である。
何より、和の自然素材を生かしたデザイン、丁寧な手仕事の技に魅了された。ここは、訪れる度にいくつもの新たな発見があるような気がする。
12月の離宮は、温泉学で・・。リーダーは建築家。
ここは建築家の目で見たら非常に興味深い建築物だと思える
最後に、この桂離宮を支えてくださっている職人さんたちが通りかかったので、敬意を表して掲載させていただく。
長い記事へのおつきあい、ありがとうございました。
桂離宮は宮内庁管轄なので、3ヶ月前の事前申し込みが必要。
12月希望なら、9月初日にネットで申し込みします。
詳しく知りたい方は、下記のサイトもどうぞ。
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