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郵政民営化の実施計画がまとまった。貯金と保険で業務を拡大し、積極経営に向かう半面、手紙やはがきの集配事業を将来にわたりどう維持するか、分かりにくい。
郵便のサービスが今より低下するようでは本末転倒だ。民営化の先行きを、引き続き注意深く見ていく必要がある。
持ち株会社となる日本郵政会社の下に来年10月、「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命保険」の金融2社と、窓口業務を引き継ぐ「郵便局会社」、そして「郵便事業会社」を発足させる。ゆうちょ銀とかんぽ生命の株式は民営化後4年目に上場、その後5年で処分し、完全民営化する。以上が民営化のシナリオである。
実施計画には、ゆうちょ銀とかんぽ生命の直営店展開や取り扱い金融商品の拡大、預入限度額の引き上げなどが盛り込まれた。直営店は長野県内にも設ける。
郵貯と簡保は民間の銀行、生保と比べると、今でもずぬけた存在だ。直営店を出し商品内容も充実させるとなると、民業圧迫の心配は一段と膨らむ。
郵政民営化は、郵便局に集まるお金を減らし、資金が産業界などへスムーズに流れやすくするのを目的の一つにしている。金融業務拡大をうたう実施計画は、民営化の趣旨にどこまで合っているか疑問も募る。
金融2社が積極経営色を濃くしているのと対照的に、手紙、はがき、小包を扱う郵便事業会社の計画は、全体に控えめだ。全国均一サービスをどう維持していくかについても、展望が描き切れていない。
郵便事業は今も、黒字と赤字の間を行ったり来たりしている。このままの状態で民営化し、独立採算へ進んだら、経営効率化で過疎地や離島でのサービスが低下する心配が否定しきれない。
実際、郵政公社は先日、集配業務を行っている局のうち約2割で集配を取りやめ、窓口業務だけにする方向を打ち出している。
郵政民営化委員会(田中直毅委員長)の役目が大事になる。民営化の進展具合を監視して政府に意見を述べる、いわばお目付け役だ。
ゆうちょ銀、かんぽ生命が肥大化し、金融システムをさらにゆがませる心配はないか。手紙、はがきの集配に問題が生じたり、郵便料金引き上げに追い込まれないか。特にこの2点については、しっかり目を配る必要がある。
サービス維持に重大な支障が避けられそうにない場合には、民営化の枠組みそのものの見直しもためらうべきでない。
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