陸中の風

常識は尊重しつつも、権威にとらわれない視線を保つ

アート・マネージメント

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  先日、知人から招待状が届いていたので、久しぶりにピアノのコンサートを
 聴きに銀座の王子ホールへ行ってきました。
  ロシアの作曲家の作品を集めた意欲的なコンサートで面白かったのですが、
 残念ながら時間の制約があり、終わりまで聴くことはできませんでした。
  客席は5割ほどの入りで、知人、関係者がほとんどのようでしたが、これは
 通常のクラシックのコンサートではよく見る光景でして、休憩時の談笑もあまり
 見られず、ホールのホワイエの狭さもあまり気にはなりませんでした。
  ところで一寸前の統計ですが、ある本でコンサートの内容順位が発表されて
 いました。それによると、一番多いのが当然ポピュラー系で6割以上を占め、
 その次が以外にもクラシックコンサートなのです。
  ジャズや歌謡曲、邦楽系より上位なのが不思議ですが、自主企画でのスポンサー
 へのアピールがし易いというようなことが理由として挙げられるのでしょう。
  おそらく今統計を取っても同じような結果になりそうですが、閑古鳥が啼く
 状況が続く全国の劇場・ホールの未来はどうなるのでしょう…

コンサートピアノ

  先日、知人ピアニストのコンサートの手伝いでパーシモンホールへ
 行ってきました。小ホールでしたが残響があまり気にならず、ピアノに
 向いている印象でした。ソロはスタインウェイで思っていたより良く、
 二台ピアノではヤマハのセミコンの蓋を外して組合せでの演奏でしたが
 これもバランスが悪くなく、お客様は満足されたようでした。
 ただし、小生は舞台と受付の両方掛け持ちの仕事でしたので、じっくり
 聴くことが出来ず残念でした。
  それにしても、何処のホールへ行ってもスタインウェイばかりですね。
 スタインウェイでなくても国産のピアノで十分と思えるのですが、この
 舶来信仰は不思議です。街をベンツだけが走っていたら異様な光景になる
 のと同じで、ある一定のレベルに達したらそれぞれの好みで選べるように
 ならなければ「文化の発信基地」にはなれないのではないでしょうか。
  そういえば、以前勤めていたホールは国産のピアノしかありませんでした
 が、外国人のピアニストは平気でピアノの良さを引き出していました。
 むしろ、日本人ピアニストでピアノにこだわりあれこれ調律士に注文を
 つける人が意外にいて、自信を持ってピアノに向かうほうがいいのではと
 アドバイスしたい気持ちを抑えるのに苦労したものです。
  ピアニストは他の楽器奏者と異なり自分でピアノを持ち運び出来ません。
 与えられたピアノで勝負するしかないので、ピアノのレベルにこだわる気持ちは
 理解できますが、実は優れたピアニストはピアノに触れただけでそのピアノの
 持つ魅力を掴むことが上手いのです。
 昔の、子供のコンクールでの経験ですが、初めて触れたピアノを他の参加者と
 明らかに異なる素晴らしい音色で演奏した子供がいて思わず聞きほれたことが
 ありました。その子供は今や立派に成長し、国際的ピアニストとして内外で
 活躍しています。楽器の良し悪しはともかくとして、演奏が良ければ聴衆に
 伝わるものです。
  それにしても、クラシックの音楽で最近これはという演奏に出会うことが
 ないのは、当方の感動の泉が枯れてきた証左でしょうか…。
 

コンサートホール 2

  コンサートホールではありませんが、日本の能舞台は世界で最も完成された
 舞台形式の一つといわれています。迫りや廻り舞台などを持つ歌舞伎劇場ほど
 複雑ではなく、きわめてシンプルな構造です。
  能・狂言以前の田楽や猿楽といった民衆芸が演じられた舞台構造から変化
 したのでしょうが、神事としての神楽舞台とともに、今後の劇場・ホールを計画
 する際には参考にすべき舞台形式でしょう。何より、観客の様々な目線を生かし
 ながら舞台を楽しむ工夫がされることをもっと研究しなければなりません。

  コンサート専用ホールに戻りますと、ほとんどのコンサートホールはシュー
 ボックス(箱型)スタイル型です。これは、主にウイーンの楽友協会大ホール
 (ムジークフェライン)を真似ているわけですが、舞台と客席が大きな箱の中に
 すっぽり収まっているようなもので、建築音響学的にも優れた構造といわれて
 おります。ちなみに、ムジークフェラインは「黄金のホール」の別名を持つ豪華
 絢爛なホールで、毎年ニューイヤー・コンサートの会場として全世界の音楽フアン
 の目を釘付けにしていることはご存知のことと思います。
  このオーストリア・ウィーンの「ムジークフェライン」とオランダ・アムステル
 ダムの「コンセルトヘボウホール」(ロイヤルの称号を得て現在はロイヤルコンセルト
 ヘボウホール)、そしてアメリカ・ボストンの「シンフォニーホール」が世界の三大
 コンサートホールと言われています。
  
 

   コンサートホールはいくつかの型に分類できますが、大別するとコンサート
 専用型と多目的型に分かれます。劇場・ホールの多くは公営ですが、そのほと
 んどが多目的型です。特に地方においては圧倒的なシェアを占めます。
  つまり、公営ホールの建設プランにおいては市民の嗜好の多様性を無視する
 わけにはいかず、コンサートだけではなく演劇や各種講演会、映画会などに利用
 可能な設備を備えたホールが計画され建設されていきます。
  しかし、コンサートだけでも、たとえばそれぞれの楽器の求める理想的な残響値
 は異なります。弦楽器や歌唱に向いている残響値はピアノには響きすぎて、微妙な
 音の表現がうまく伝わらない場合がありますし、コンサートホールで行われる講演会
 でマイクを使用しますと、明瞭度が落ちて意味不明な内容を聞かされたまま聴衆は
 帰途につくことになります。
  これは極端な例ですが、ことほどさようにホール建設は難しいということです。
 このことはまたよく言われることですが、多目的は無目的と揶揄される所以でも
 あります。

  多目的型ホールの特徴は、舞台と客席がプロセニアム(額縁)で仕切られていて、
 その仕切りの役割を「緞帳(どんちょう)」が果たしています。この「緞帳」は貴重
 な存在でして、お客様の目線を遮断しますので、舞台上で様々な仕掛けを可能にします。
  演出家の力量が試される場面ですが、コンサート専用ホールではこうはいきません。
 舞台と客席が同じ空間にあり、演奏家は最初から終わりまで聴衆の目にさらされます。
  明かりも生の明かりですので表現に限界がありますが、それでも最近では照明器具
 の新たな開発などもあり様々な工夫がなされているようです。
  ただし、コンサートホールにおいては、まだ音響・照明の理論が確立されていない
 とも言われています。

 

劇場・ホールとは

  劇場・ホールのうち、特にコンサートホールを中心に書いていきますが、
 コンサートの出来るホールは、全国で、単館、複合館合わせて2500館以上
 もあるようです。
  単館とは文字通り単独で建設されたホールのことですが、複合館とは、図書館や
 美術館、まれには宿泊施設も併設されているなど、複数の文化施設が一緒になっている
 ホールのことでして、当然のことながらスタッフの数やランニングコストもかなりの
 額になるものと思われます。
  さらには、複合館では各施設の設備等の維持管理や組織の複雑さも相当なものに
 なりますので、ここでは敢えて複合館には触れずに単館のコンサートホールのみの
 説明に限らせていただきます。
  
  ついでに申し上げますと、全国のホールのうち7割以上が1980年代・90年代
 に建設されているということで、所謂バブルの時代に計画されていたことが理解できると
 思います。そして、ほとんどが公営のホールで私立のホールは大都市圏に点在して
 いるだけです。以前「全国ホール協会」という組織があり私の勤めていたホールも
 メンバーでしたが、ある年の管理・運営セミナーにおいて、「稼働率を上げるために
 私立ホールに学ぶ」というテーマでシンポジウムが開催されたことがあります。
 ところが、参加ホール、特に地方のホールはほとんどが公営ですので、「あまり参考に
 はならないなあ」と地方から参加したホール担当者がぼやいていたのが印象的でした。

  
 

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臼澤 裕二
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