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『帰りなん、いざフィールドへ!』
「もう1本、ラグビー物語を書いてください」 エッ、何だって、と私の耳はウサギの耳のようになっていたと思います。 日本ラグビーを率いるエディ・ジョーンズ監督にそう言われたからです。 6月14日、「IRBパシフィック・ネーションズカップ(PNC)2014」日本対アメリカのラグビーテストマッチがロサンゼルスのSTUBHUB CENTERで行われました。結果は日本が37対29で競り勝ちました。強くなりました。強くしてくれたのはエディ監督です。
記者会見が始まりました。なんと通路でです。しかも立ってです。こんな時、疲れている選手や監督は不愉快になるだろうなと思ってしまいます。しかし、選手達はさわやかでした。監督は厳しいながらもユーモアすら漂わせていました。強くなった証ですね。 記者会見は終わりました。恐る恐るですが、 「旧いドラマにラグビー物語があるんですが……ごぞんじでしょうか」 とエディ監督に切り出しました。すると監督の顔色が変わりました。 「知ってます。DVDを借りてきてみんな観ました。日本のラグビーがどう進展して来たかがわかりました」 そう言って次に冒頭の言葉が飛び出したのです。ラグビー物語を1本書けです。まさかでした。うろたえました。喉が熱くなります。さらに、あのドラマから監督は日本人の精神構造を学んだとも。それらを知らされると私は完全にノックアウトされていました。 去って行くエディ監督の後ろ姿を見送りながら、俺はあれから何をしてきたのだ、日本のために何をしてきたのだ、と問いかけていました。無為に時を過ごしたと後は激しい後悔にさいなまれ始めました。 『帰りなん、いざフィールドへ!』 と叫ぶ心の声が私の胸中を圧してきていました。 振り返ると灯りを落とした競技場が黒々とあり、空にはいくつかの星々。思わず、 「願わくは少年の情熱を与え給へ。さすれば一塊の仕事をして昇天いたそう故に」 と星々に祈らずにはおられませんした。 ほとんど泣きそうな私とエディ・ジョーンズ監督 |

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