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『出てきた写真』
古い写真を整理していたらこんなのが出てきました。 左が娘で小学校入学、右が息子でまだ三歳。指しゃぶりの癖がぬけなかったころ。叱ってやめさせることはしませんでした。もう一つこの子には不思議な癖がありました。小さなぼろ切れや、枯れた草花があると寝る前に耳に引き寄せクルクルと指で回すのです。 「何してるの?」と聴きますと、 「お話してるの。お花とお花」と言います。やがて眠ってしまいます。この癖も咎めませんでした。... ある時、トカゲが一匹部屋に入ってきたことがありました。息子が飛びついて捕まえました。そしてテニスボールの空き缶に閉じ込めたのです。 「お父さん、僕が帰ってくるまで番をしていて」 というのです。さて困りました。 「このトカゲは外にでたいのではないかな。トカゲのお母さんも待ってると思うけどな」 と言ってみました。と、この子の目が真っ赤になったのです。 「お父さん、それほんとう?」 と聞いてきます。 「きっとお母さんは待ってると思うよ」 肩が上下します。目から今にも涙が落ちそうになりました。 「……お母さんのところに帰りたいのかな、このトカゲ」 「缶に耳を押し当てて聞いてごらん。きっと泣いてるよ」 「聴かなくていい。逃がす」 涙をポロポロこぼし始めました。と、いきなり台所へ走って、 「おかあーさん」と抱きついてむせび始めました。 「あなた何をしたんですか!」 と山の神の声が飛びました。ラケットをとると急いでテニスコートへ避難しました。 |
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2013年08月17日
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