|
『四十年ぶりの集団的自衛権』
今から十年ほど前。四十年ぶりの中学同窓会に行ったときのことです。とりわけ私に良くしてくれる友がおりました。理由がわからないのです。私の会費は彼が払い、ホテル代も負担してくれ、土産を買って帰れと小遣いまで手渡そうとするのです。どれも要らぬと辞退したのですが、あれもこれもみんな支払い済みでした。 「こんなにしてもらう理由がない」 そう言ったとたんです。 「あるねん。黙って受けてくれや」... 十九 歳の頃でした。京阪京橋駅の片隅で、その友は恐喝を受けていました。中学を出て働きに出た彼は家族のために懸命でした。そんな彼が、100円、200円とチンピラにむしられていたのです。たまりかねた彼はとうとう断ったのです。と、お決まりのリンチです。通りがかった私は放ってはおけませんでした。 「やめたれや」と入ったのですが相手は二人です。 「なんやねん」と矛先は私に。とっさに左を放っていました。のけぞるのを見て鼻ぱしらに右フック。うずくまる相手。もう一人はすでに逃走。 「はよせんか」と友をやってきた電車に乗せてトンズラこきました。京橋には週二回、ボクシングの練習に通っていたのです。プロボクサーへの夢は捨てられませんでした。でもこの日で夢は捨てました。ケンカをしたらアカンのです。 「あれから、俺、ダンプの運転手になってん。それまであった俺の劣等感が消えた。一段高い運転席から世間を見たら気持ちがエエねん。運送会社もこしらえた。仕事も上手いこと行った。落ち着いたら、お前のことが思い出されてきたんや。お前が助けてくれなんだら今日の俺はあらへん。勇気をもたなアカンと教えてくれた。お前に会って一言、言いたかった。でも、お前はキラキラしてるがな。もう見向きもしてくれへんやろ。会えるだけでええわ、そう思って今日を待ってたんや」 「なんも変わるかい。河内のヤンチャのまんまじゃ」 「ほんまか。うれしいなあ」 故郷河内の夜は更けて、夜空には本物のキラキラ星が輝いていました。 七月一日、集団的自衛権が閣議決定した、と聞いて古い話を思い出しました。こんなんが集団的自衛権の基本と違いますのん? 臨時閣議に臨む安倍首相。右端は太田国交相(7月1日午後、首相官邸) |
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]




