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『南京事件』の本の続きです。
「南京大虐殺」という言葉は、どうも扇情的なので、英語にしました。この本の著者もこの言葉をつかってます。あしからずご了承くださいませ。
コメントにもありましたが、この事件については、真偽取り混ぜた情報が入り乱れ、政治的偏見も入り込んでおります。
そういうとき、必要な情報の取捨や評価のしかたというのが、歴史学にはあるようでございます。ま、そうでしょうな。でも、同じ資料を使っていてさえも、色眼鏡で見たならば、正反対の結論を導き出すこともある。
犯罪事件ならば、確実なクロの証拠をいくつかそろえれば有罪と宣告することもでき、その場合は、あいまいなシロの証拠をいくら積み重ねてもだめです。とくにこの事件では、クロと思われる人は概して沈黙、シロらしい人だけが発言する傾向がある。
で、著者が何を資料としているかの解説。興味ない人は、飛ばしてください。
<第一次資料>
A/公文書記録
これは、事件に関わった日本軍の司令部や作戦命令、報告などですが、実は、終戦時に処分されてし まったものが多い。
B/指揮官クラスの業務日誌やメモ類
ただし、公表に際して部分削除・改ざんされているものもあるので、注意を要する。
C/一般軍事従事者の私的日記やメモ類
Bより信頼度はやや落ちるが、中には指揮官の目の届かない末端の実情をとらえた価値の高いものも ある。
<第二次資料>
D/戦後の研究書や論文
たくさんありますが、けっこう思想的だったりして、第一次資料に当りなおさないと危険。
E/従軍者の戦後における回想記・回想談
これもたくさんある。ただし、場所や日付が間違っていたり、ばらつきがある。
そこで、まずA、Bを軸にして、C、D、Eのセレクト分を加えて骨組みを作り、さらに被害者側、第 三者である外国人記録・回想などを照合することにしました、とのことです。
ここからが、つづきです。
陸軍中国通の最長老だった現地軍の松井指揮官は、首都南京を占領すれば中国は屈服すると信じていました。
けれどこの予想は狂い、戦争は泥沼になってしまった。
兵士について言えば、日本軍は、日露戦争ではたいへん規律正しい軍隊として知られていた。少し前の上海戦でも、苦戦し多数の犠牲者も出したのに、日本居留民の保護という明確な目的があったので、規律は崩れていなかった。
しかし南京攻略は、ほぼ松井の独断であり、皆が納得できる目的がなかった。もう故郷へ帰れるとばかり思っていた兵士は、さらなる苦戦を予期して、ヤケになった。
しかもこの追撃戦は、急だったので、弾薬や食料の補給が追いつかず、兵士たちが現地調達を余儀なくされた。規律がなくなってくる。
これに驚いて、軍司令部は禁令を発し、取締りを始めたが、補給が改善されたわけではないので、禁令は無視された。
上海の初陣ではブルブル震えていた臆病者も、古兵に叩かれ戦友と競ううちに、すぐに一人前の兵士に成長し、どんなことでもやるようになる。
けれど戦闘が終わって気持が落ち着けば、街角の子供に菓子を与える優しい兵隊さんになる。
しかし、だからといって、すべての責任を松井だけに押し付けるわけにはいかない。
実は、松井の下には、公然と反抗する師団長や、勝手な命令を乱発する参謀もいたのです。
しかし、健康な組織なら、たとえトップの目が届かない末端部分でも、自制がある。何人かが暴走しても、それが全体に及ぶことはないものだ。
一部の暴走がエスカレートしていったのは、なぜだったのか。つづく。
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著者は秦郁彦ですよね(秦邦彦という人あまり聞かない)。この人は反日派ではないこと、存じております。従軍慰安婦の問題で済州島に取材して嘘を暴いたのはこの人です。ただ南京事件については、南京攻略戦以前からの死者の数もカウントしていて、データとしてまともではない、という意見があり、私もそちらを信じます。その折の議論が「萬犬虚に吠える」の渡部昇一氏との間であり、その経緯を渡部氏の「ドイツ参謀本部」という書物で目にして、この件は渡部氏に理があると判断しています。必見!
2006/3/13(月) 午後 4:48 [ ケンジ ]
私も、秦郁彦さんっていう方、知りませんでした。全体的に話の流れとしては、我田引水的な感じはしませんでしたが、いくつかの反論はやはりあるでしょうね。無知な私は渡部昇一さんも知りませんでしたが、こんど探してみます。いろいろ書いてる人がいて、すごいのだ…
2006/3/13(月) 午後 11:01
非軍事従事者一般人の日記は一次資料のC以下になるんでしょうか? 資料の選別はやっぱ苦労するんですね…
2006/3/15(水) 午後 10:07 [ obi*bi*73 ]
非軍事従事者一般人、オビオビさんのひいお祖父さん又次郎さんの日記は、どっちかというと、文学のほうかもしれませんね。古本屋に売られてきた日記を集めてる方々がいらして、面白いんですよ。ブログ連載「又次郎日記」ぜひ続けてください。皆様、お問い合わせはオビオビさんまで。
2006/3/16(木) 午後 10:34
無知な私は渡部昇一さんも知りませんでしたが、
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この人は憲法改正を主張し、大日本帝国の復活をねらう右翼です。私はこの人を「国民は国家の持ち物だと言う思想を持つとんでもない人」だとイメージしています。
2009/2/4(水) 午前 8:36
『南京事件』の本の続きです。
「南京大虐殺」という言葉は、どうも扇情的なので、英語にしました。この本の著者もこの言葉をつかってます。あしからずご了承くださいませ。
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南京虐殺は、中国語いえば、南京大屠殺です。日本人が南京事件と言うのは自殺行為です。中国人の日本軍に対するの恨みは深いからです。
2010/2/20(土) 午前 1:55