居 ミカの田中模索

なかなかお返事書けなくてごめんなさい。ちょっとずつお伺いいたします。

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『陰謀の世界史』の続きです。

「洗脳」の起源の多くは、CIAと結びついている。
CIAの秘密工作のためのマインド・コントロールの利用は、「MKウルトラ作戦」と呼ばれた。
MKはマインド・コントロール、ウルトラは最高機密のことである。
それは、人の内面や行動をコントロールする方法を見つけ出そうという目的で、
CIAが1951年から1972年の半ばにかけて行った最高機密の工作である。

これには、分っているだけで149のプロジェクトがあり、
LSDなどの薬物をはじめ、さまざまな小道具や仕掛けが開発されていた。
この研究には2500万ドルがつぎ込まれ、アメリカ、カナダなどの医療研究施設や国立病院のいくつか、
大学や研究機関などが、目的を知らされずに資金を供給されていたという。

この中に、スペイン人ホセ・デルカド博士が68年に発表した研究がある。
「スチモシーバー」という小さな機械を脳の中に埋め込んで、
遠隔操作で人間や動物の情動をコントロールできる、という装置。
65年の『ニューヨーク・タイムズ』の一面に、闘牛士の格好をしたデルカド博士が、
闘牛用の雄牛が襲いかかろうとした瞬間、牛の脳に電気刺激を与えて鎮めたシーンが載っている。
彼はこの後、イェール大学で人体実験を行って、この装置を開発したらしい。
博士は、実際に、てんかん症状のある女性患者の脳にスチモシーバーを埋め込んで、
別の部屋からの遠隔操作で、彼女をおとなしくさせたり、激怒させたりすることができた。

ここで話は手塚治虫の『ブラック・ジャック』に飛ぶのだが、
この先の出展は『封印作品の謎』(安藤健二著、太田出版、2004年)による。

手塚作品には、実はいくつかの封印作品がある。
その中の1つが、この「スチモシーバー」を扱った『ブラック・ジャック』58話『快楽の座』。
ストーリーは、内気でひきこもり気味の少年にこの装置を移植したところ、
少年は、笑いながら人を殺す人間になってしまう…という、かなり怖い話。
手塚の趣旨としては「人間の思考は科学で制御するようなものではない」というもの。

BJには他にも封印作品があって、あとのものは、脳手術やロボトミーを扱った作品。
これらの場合、どこから抗議を受けて、なぜ封印されたのか、はっきりしている。
そして、改作や言葉の変更を経て、公開されている。
しかし『快楽の座』には、はっきりした封印理由が、わかっていない。
また、BJの中でこの作品だけは唯一、単行本やその他のメディアにも一度も集録されたことがない。

「MKウルトラ」を暴露したのは、アメリカ国務省の元職員、J・D・マークス。
1977年に告発されて、アメリカでは議会の公聴会が開かれた。
一方『快楽の座』の初出は、75年1月20日号の『少年チャンピオン』で、二年早い。
手塚は、なにやらあやしいものの気配を、すでに感じていたのであろうか。

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