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『賢く生きる』 藤原肇対談集(清流出版 2006.7.13刊)の第七章および第八章から。
第七章 水を燃やしてエネルギーとして活用する時代の夜明け
ゲスト 倉田大嗣(くらた たいし)
高校生の時に渡米、大学で量子物理学を学び学者の道を選ぶ。「18歳の時にアインシュタインの「相対性理論」を読み、この理論に電磁気学が入っていないと気づき、非線形電磁場の理論を博士が入れなかったのはどうしてだろうと不思議に思いました。」という倉田氏は電磁共鳴による分子の連鎖反応を使い、常温での原子転換を試みる超発想・実行の物理学者である。
水を常温で水素と酸素に分けて(熱解離)、水をもやすことに挑戦し、なかば成功を収めている。
以下、<対談>を紹介する。
● 水を燃やすという夢の実現
藤原: 倉田さんはいろんな興味深い発明を実現して、科学の先端領域に挑んできた物理学者だけに、今日は過激な議論の展開を期待します。あなたは過去十数年にわたりプラスチックの油化という、製油所でやるトッピングの逆を行く装置に挑んでいたが、二年前には水を燃やす装置を作って、私は目の前で水が燃えるのを観察しました。あの時は水を燃やすためにまず油で加熱して、温度が上昇してから水を燃料として使い、触媒反応で水を燃やすプロセスだったが、最近は水から水素を分離して燃やすとか・・。
倉田: そうです。あの頃は水を燃やす上でいろんな準備して、プロセスにおいても極めて複雑でしたが、最近は単純だが大きな効果が出ています。具体的に言えば、水素と酸素にはそれぞれ原子波動があって、いくつかの分子が集まると共鳴して物性波を出すから、それで水の振動数を確定するのです。振動数というか共鳴数を見つけた上で、ある種のイオン係数を充てて共鳴させ、シンフォニーを生むような形に工夫したら、簡単に水が水素と酸素に分離するのです。
藤原: 普通の水は0℃度で潜熱を出して氷から水になるし、100℃になると水から水蒸気になって相移転をするが、磁気共鳴を使って水を水素と酸素に分けて、低温で単純な相移転を実現したわけですね。
倉田: 簡単に言えばそういうことです。水は普通に熱すると4300℃で熱解離して水素と酸素に分かれると知られています。現在の段階でわれわれがたどり着いたレベルでは、380℃で水素と酸素の熱解離を実現し、水を燃やすという夢を実現している次第です。
藤原: われわれの世代が持つフレームの問題だが、私が学校で学んだ物理や化学の教科書によると、水は水素と酸素が燃えてできた化合物で、水素と酸素の分離は2000℃ に熱した時でも、せいぜい2パーセント程度だと書いてあった。
しかも、われわれが学んだ熱力学の法則だと、水は酸化という化学反応の最終生成物だから、水を燃やすのはエナルギー的に不可能だが、倉田さんのシステムでは380℃という低温で、水素と酸素が100パーセント熱解離するのですね。
倉田: そうです。これまでの熱力学は水は燃えないと教えたので、私は水を燃やす前段階として炭化水素を使って、炭化水素から炭素を外して水素を分離し、それを燃料源にすることから手をつけました。最初の段階でとりあえす成功した方法は、4000℃水素と酸素に分解するイオン化だったが、油のフレームが1500℃のときに水を触媒に通したら、この温度で水素を分離することが実現しました。ベンゼン環は1300℃の高熱がないと壊れないが、生体内では体温で分解された酸化が進むのでして、これは酸素が触媒として機能しているお蔭だから、酸素に相当する触媒を作ろうと考えた。でも、炭化水素から水素を分離しても炭素が残ってしまい、炭酸ガスが出る問題は解決しないから、これは、単なるステップだと気づきました。そこで、水は水素と酸素からできているから、原点に立ち戻り小さなエネルギーを使って、水を低温で熱解離させることに挑戦しました。そして、量子力学の非線形電磁気学と触媒を組み合わせたら、380℃で水を燃やすことができたのです。
藤原: それにしても、そんな低温で水素と酸素に分けて、水を燃やすのに成功したのは素晴らしいことです。
● 仮説作りと実証に挑むサイエンスの使命
倉田: われわれの仕事は装置を作りデータを集め、仮説が実験的に成り立つことを証明することであり、改良の結果、より良い修正理論が生まれ、一段と優れた実験装置ができあがるのです。また、この苦労の積み重ねで新発見や新発明が生まれ、理論を技術に移して世間の役に立つのだが、技術として完成しない限りは評価されません。従来の学問体系で計算して答えが合わなければ、それはダメだと否定されることが多く、せっかくの良いアイディアが葬り去られます。
藤原: 科学は不思議な現象を説明する営みだから、オカルトや摩訶不思議と呼ばれる世界に挑戦して、説明になる理論を仮説として作るのです。文明の歴史は旧仮説と新仮説の闘いであり、論争と実証を通じて学問が進歩したし、それが人類の遺産として文明を発展させてきた。だから、論証のために作った装置が実際に役立つならば、それ自体が輝かしい科学の勝利になります。
倉田: 私もそう思って30年以上も頑張りました。だから、後はこの装置をより良いものに改良していき380℃より低い温度で熱解離を実現して、水を水素と酸素に分けて利用することです。現在は石炭や石油がエネルギー源だが、その代わりに水を利用する時代が始まれば、環境問題の解決を手に入れることができるのです。京都会議で地球の温暖化が問題になり、CO2の排出を制限することが決まったのに、日米ともに諸手を挙げて賛成できなかったが、水をエネルギー源にすることで解決でき、今よりひどい環境汚染はなくなります。
藤原: 現在は経済活動が価値の中心だから、環境保全より経済発展を優先にしているので、生態環境としての地球は汚れています。二〇世紀のことを別名で石油の世紀と呼ぶように、国際政治は石油と天然ガスをめぐって動き、石油ビジネスは地上最大の産業として君臨するが、水素をエネルギー源にするに至っていません。でも、倉田さんが水を燃やす技術を完成して、エネルギー問題の解決の道を開いただけでなく、環境問題の悪化も阻止するわけだから、これは地球の未来にとって実に素晴らしいことです。
倉田: 経済と環境は文明を前進させる両輪だから、経済性を持たせることが必要だと考えて、エネルギー問題に私は全力を傾けました。だが、従来は炭化水素がエネルギーの主体だったし、今は燃料電池が脚光を浴びていて、一気に水素エネルギーに向かわないけれど、熱解離で水素を燃やせば解決になります。
藤原: アメリカがイラクを侵略した背景には、カスピ海周辺からペルシア湾地域の石油資源を押さえて、エネルギー源を支配する意図があります。こうして米国は炭化水素を確保するために、相変わらず侵略戦争を繰り返しているが、水の惑星の地球上には水が無限にある。だから、水を燃やしてエネルギーを確保できるということで、アメリカの野望は破綻してしまうでしょう。ところで、水の熱解離で水素を取り出すアイディアは、最終的に水を燃やす技術の実現に結びついたが、背後にある科学理論に相当するものとして、どんな発想があったかを知りたいですね。
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