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30年以上も教師をしていると、いろいろな生徒に出会います。
公務員になった子もいれば、ゲームデザイナーとして活躍している子もいます。 会社の社長を務めている子さえいるのです。 そんな生徒たちの中には、強烈な印象を残して卒業していき、いまだに忘れられない子が何人かいます。 Tくんもそのひとりです。 Tくんは医者の家に生まれた長男で、早くから両親に将来は医者になるよう期待されていました。 それに反発したTくんは、中学3年生になってから1度も学校へ行かなくなり、当時家庭教師(問題児専門でした)もやっていた私に両親が依頼してこられた、とゆうことだったのです。 いやぁ、あのときは苦労しました。 かなり頭のいい子だったのですが、その知能を大人を疑うことにだけ使っていたので、「なぜ勉強しないといけないのか。」「なぜ子供は成績で人間を判断されてしまうのか。」などの疑問ばかりを私に投げかけてきました。 一つ一つ納得するまで話しあっていた私も私で(いまだに生徒に対してはそうです)、2ヶ月間はまったく勉強をすることができなかったですね。 しかし、納得してしまえば誰でも素直な子になるもので、Tくんも例外ではなく必死で勉強してくれるようになりました。 勉強するようになったのは、こんな会話のあとからだったと覚えています。 「でも先生、ぼくは医者になるつもりはないよ。今の医者のように、儲けることを考えなければいけない医者にはなりたくない。」 「じゃあ、ならなくてもいいよ。私は勉強してほしいだけで、医者にしたいとは思ってない。今君が勉強していないのはただ逃げているだけで、医者にならないこととは何の関係もない。本当に医者になりたくないと証明したいのなら、一生懸命勉強して、医者の国家試験に合格してからやめればいい。そこまでしたら、きみの気持ちを認めよう。」 まったくえらそうにゆってしまったものですが、当時の私はそれが筋の通し方だと信じていたので、かれも聞く気になってくれたのでしょう。 その後の話は簡単で、高校3年まで私に教えられたTくんは無事にある医学部に合格、それから数年後に国家試験にも合格してみせました。 まったくすごい子でしたが、本当にすごいのはここからで、かれは私のところまで訪ねてきてくれて、医者の合格証書を私に見せた後、その場で破り捨てました。 「ぼくは医者にはなりたくないです。」と笑顔でいいながら。 それからも彼とはたまに会う機会があり、今ではある有名電機メーカーの天理研究所で主任研究員をしていると聞いています。 まったく、頑固もここまでくると尊敬できますね。 |

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