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世間の人々はこうやって日常を送って居る
のか、と私の今まで知らなかった生活が始まっ
た。休みの日には映画を観、買い物に付き合い
、次の連休の旅行を計画し、週に一度は外で夕
飯をする。東京は、そういう生活を楽しむのに
最適の都市だった。美味しいと紹介されている
店だけを、毎日一件づつ、行っても多分一生か
かっても終わらないだろう。それでも彼女は器
用に穴場の店を探してきた。私は云われるまま
に付き合った。ただ、お金は信じられない勢い
で出て行った。彼女の金使いの荒さは、見事だ
った。まるで何かに仕返しをするかの様に、お
金の手裏剣を投げまくった。私が十数年掛けて
積み上げた0の桁は、2年も為ずに崩れ去った
。私はそれでもいいと思った。この生活はそれ
位の価値があった。
ただ、もう今まで通りにはいかないと説明し
た。「わかった。」と言ったが、変わらなかっ
た。私の方が付き合えなくなった。一緒に居る
ことが減った。二人の間には、それまでの浮か
れた思い出しか残らなかった。
人は、本当に幸せに成る為に生まれて来たの
だろうか。その時幸せを感じても、何故直ぐに
飽きるのだろう。止むことの無い欲望に追い駆
けられ、足りることの無い生活。東京ワンダーゲ
ームはチップが無くなれば退場しなければなら
ない。私は、スゴスゴと退場した。
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