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私は、空港にいた。 ウルトラ・セブン
がイタリアへ飛ぶことになった。2年間留
学して勉強するためだ。私は、どうしても
会って、励ましたかった。有希子は来なか
った。私は、彼が何処にいても見つけられ
る自信があったので、いい加減な情報だけ
でやって来た。もっとしっかり聞くべきだ
った。ゲートの近くにいたが、それらしい
男は居なかった。しばらくすると、遠くの
方で青年が私に頭を下げた。覚えが無かっ
たので、目線を外したが、青年はやっぱり
私を見ていた。ハッと気がついて、私は、
その青年の方へ駆けた。ウルトラ・セブン
は諸星弾(もろぼし だん)になっていた
。
「気がつかなかったよ。」
「あんな格好じゃ通してくれませんよ。」
それもそうだった。社会は、「見た目」で概
ねコトが運ぶ。しかし、その事がまた取り返
しのつかない事態を起こすことがある。
西洋の寓話で、こう云うのがある。
幸せに暮らしていた蛙たちが神様の、
「何か願い事を叶えてやろう」と云う事に
「いいえ、私たちは今のままで十分幸せです
から何もいりません。ただ、もしお願いを聞い
て頂けるなら、あの美しい鷺を下さい。何故な
ら、私たちはこんなにも醜い。あの美しい鷺が
、いつも私たちと一緒に居てその美しい姿を見
ることができるなら、こんな嬉しいことはあり
ません。」神様は早速願いを叶えてやりました
。蛙たちは、美しい鷺を見て大喜びでした。し
かし、しばらくして鷺は、その池の蛙を全部食
べてしまいました。
今日の容貌は、頭はショートヘアで、メガネも
縁なしの大人しいモノだった。服装も全然いま風
だった。パチンコ屋で彼を捜しても、きっと見つ
からないだろう。
「わざわざ、ありがとうございます。」
「全然大丈夫。」「それより、頑張って来いよ。
君の実力はクライアントの私が、保証する。君に
足らないは自信だけだ。」
「自信をつけて帰ってきます。」
こういう時に「頑張って」以外に言葉がないのが
寂しい。使うなと言う者は代わりの言葉を用意して
欲しい。 すこし話した後時間がきたので、彼の方
から手を出して握手を求めてきた。
「有希子をお願いします。」と、彼が言った。
私は、何も言えなかった。ただ、彼は知っていたんだ。
諸星弾を乗せた飛行機が、小さくなって、やがて
消え去るのを見届けた。
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