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			<title>小説の習作</title>
			<description>小説の習作です。批判、けなし、けあり、なんでも参考になります。反応ください。</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/sea56seven</link>
			<language>ja</language>
			<copyright>Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.</copyright>
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			<title>小説の習作</title>
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			<description>小説の習作です。批判、けなし、けあり、なんでも参考になります。反応ください。</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/sea56seven</link>
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		<item>
			<title>書を持って、街を棄てろ！　（三十九）</title>
			<description>（三十九）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「君は、売れたいのかね？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「それとも何かね、名を残そうとでも思っているのかい？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　著名な美術評論家の女社長のパトロンの高級ホテルの部屋で暮&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
らす禿げ頭の初老の中年の紳士が言った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　私は予定どおり、個展の打ち合わせの為に女社長の画廊に行っ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
た。ドアを開けて中に入ると、女社長を背で隠すようにして座っ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ている、見覚えの有るまーるい頭に目が行った。彼はすぐに気付&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
いてソファに掛けたまま振り返った。私は彼が来ているとは思わ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
なかったので驚いた。女社長が席を譲って呉れて、私は座る前に&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
先日の会食の席での無礼を詫びて、蝶番のように腰を曲げた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「まあまあ、済んだ事、済んだ事。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　彼は随分と柔らかい対応をしたので私は少し気になった。おそ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
らく女社長に諭されたのだろう。その女社長は、何時もの思わせ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
振りな目配せはせずに私たちの横に静かに腰を掛けた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ギャラリーのスペースには何も飾って無くて、その下には最近&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
まで吊るされていただろう子供たちの絵画が無造作に重ねられて&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
立て掛けてあった。まーるい彼は、子供達に絵画を通して豊かな&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
情操を養ってもらおうと、童画のコンクールを、デパートなどの&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
スポンサーに協賛してもらいながら夏休みに催していた。そして&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その奥に、私が以前に持ち込んだ作品、例の川面から見た東京の&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
夜景が、なんとも無造作に重ねられて童画の横に並べられていた&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「君は、売れたいのかね？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「それとも何かね、名を残そうとでも思っているのかい？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　その言葉には、ロクに勉強もしなかった門外漢が、たまたま売&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
れたからと云って画家を気取るんじゃないぞ！と聞こえた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「売れませんか？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　私は、自信があっただけに彼の態度に不服だった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「重いんだよ。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「はあ、」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「いいかい、大衆がこんな重い絵画の飾ってある部屋で生活が&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　できると思うかい？もしも君が、売れなくてもいいから描きた&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　い絵を描いて行くと言うのなら、別に口を挟むつもりはないが&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　、今という時代はそういう重たいものは受け入れない時代だ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　それは絵画に限らず、音楽も、文学も同じだ。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「・・・。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
  「この国では今、一億三千万人で『金』の奪い合いをやってい&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　るんだ。いや経済のグローバル化で六十五億の人間で奪い合っ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ているのかもしれない。地球全体が鉄火場になってしまった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人は昼夜を問わず数字に追い捲られて身を削って利益を追い求&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　めている。もはや、そんな者達にいかなる文化も無用のもので&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかない。彼らの望みはただ旨いものを食って、いい女を抱い&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　て、いずれは楽して暮らしたい、それだけだ！そんな畜人に人&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　間の本質を問うたところで競馬の耳に念仏だ。芸術全般は萎縮&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　してしまい、小説は『一杯のかけそば』のようなお涙頂戴物の&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　カタルシス（排泄、浄化）に酔い、音楽はかつて創られたもの&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　が質屋のウインドウに並ぶだけで、絵画は、ああっ絵画は、画&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　家の自己中心的なカタルシスに嫌気が挿され、アニメオタクに&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　取って代わられた！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「・・・。｣&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「そんな時代に君の絵画は、パチンコ屋で熱くなっている客に&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　宗教への改悛を説いて回っているようなものだ。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「はあーあっ？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（つづく）</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/sea56seven/17752181.html</link>
			<pubDate>Tue, 21 Aug 2007 13:47:26 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>書を持って、街を棄てろ！　（三十八）</title>
			<description>(三十八）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　十人の人を花屋に連れて行って、「あなたが一番『美しい』と&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
思う花を一つ選んでください。」と、それぞれに選んでもらうと、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
一番『美しい』花は人によって違っているだろう。それは、「美&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
しい」と感じる人の「その時」の感覚が様々だからだ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ある時、富士山をいつでも仰げ見れる街に少しの間居たことが&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
あった。始めて新幹線を降りて駅に降り立った時に、何か異様な&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
腐臭が漂っていて、嫌悪感からそのまま引き返そうと思ったほど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
幻滅した。後で聞いた話しだと、富士山の裾野は水が豊かで製紙&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
工場が多く、その工場の排煙の臭いだとのことだった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　私が、そこの人に、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「折角の美しい富士山が台無しだ。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と言うと、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　その人は、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「あんたら他所から来た者にはそうかもしれんが、ずーっとこ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　こに居る者には別に美しいとは思わん様に為る。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と言った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「日本一の美しい山」は暇を持て余した他所者が言う事で、い&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
くら霊峰と言われても拝んでいるだけでは暮らしていけない。生&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
活をする為には工場も無ければならない。日々の暮らしに追われ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
て見上げる富士山は、代わり映えの無い日常の一部なのだ。もち&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ろん富士山にも登ったが、身体を預けた山肌は溶岩の瓦礫に覆わ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
れていてお世辞にも「美しい」とは言えず、遠くから眺める富士&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
山との違いに愕然としたが、ふと、孔子の言葉を思い出して一句、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　寄らしむべし知らしむべからず富士の山　　　他所者&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　何か富士山がこの国の権力者のヒエラルキーを象徴する山に見え&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　てきた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　ある人にとって「美しさ」は、力強さであり、華やかさかもし&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
れないが、別の人にとっては、優しさや、可憐さこそがそうかも&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
しれない。つまり、「美しさ」というのは花に在るのではなく、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
それを見る者の意識の中にあるのではないだろうか。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　（つづく）</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/sea56seven/17712721.html</link>
			<pubDate>Tue, 21 Aug 2007 02:58:14 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>書を持って、街を棄てろ！　（三十七）</title>
			<description>（三十七）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　無賃乗車のことは、「心ある」駅員のお陰でまたしても写真付&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
きで新聞に載せて頂いた。私の奇行癖は世間周知の事と為った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私は落ち込むどころか、逆に、変な自信を得てしまった。「蛮行&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
は蛮勇を生む」と言うか、それは現実からズレた「過信」と言っ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
てよかった。私は世間など「なんちゃ無い」と思った。また、世&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
間も何を仕出すか解らない私から少し身を引いた。その引いた処&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
がそれまでの私の窮屈な想いを解放してくれた。調子に乗って私&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
は、新聞やテレビの取材にも快く応じた。一部では批判的な伝え&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
られ方をしたが、私は「寝カフェ難民」から「勝ち組」へ成り上&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
がった成功者として、再び「超人」のように扱われ、私は世間を&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「畜群」の様に見下した。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　社会システムの中でメディアの役割は、まさに増幅装置の様に&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
思えた。取り上げられた事柄は、取り上げなければ瑣末な事とし&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
て忘れ去られる事も、良い悪いは別にして、「増幅されて」社会&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
に伝えられる。しかし、その増幅の「スケール」が正しく伝わら&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ない事が、社会全体に誤解を与えているのでは無いだろうか？い&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
や、もしかすれば、メディアも如何に社会に波及するのかは把握&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
出来ないのかもしれない。つまり、我々の社会の関心こそが物事&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
を誇張して伝える増幅装置なのかもしれない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「また、テレビに出ていたじゃない？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　女社長からだった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　私は女社長も驚くほど積極的にマスコミの取材を受けた。ある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
番組ではホームレスの時に寝泊りしたネットカフェにも同行して&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
、その当時の様子までも再現して見せた。そして最後には、あざ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
とく個展の宣伝までした。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「ねぇ、どうしちゃたの？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　女社長は私の変貌に驚いていた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「打ち合わせをしたいんだけど、何時空いてる？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　個展の初日が一ヶ月を切って迫っていた。期間は一週間の予定&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
だったが、問い合わせが殺到した為、もうすこし延ばすことにな&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
った。マスコミのお陰だった。ただ、その為にどうしても作品を&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
増やさなければならなかった。私は、例の川面から眺めた東京の&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
夜景を、成功を確信して描き殴った。もう時間が無かったのでス&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ケッチなどに行かずに、カメラマンに頼んで夜景の写真を撮って&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
もらいそれを絵にしていた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「個展が終わったらどこかへ旅行をしようか？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　私は、バロックの彼女に言った。彼女は答えなかったが、小さ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
く頷いた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/sea56seven/17129790.html</link>
			<pubDate>Thu, 16 Aug 2007 13:52:54 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>書を持って、街を棄てろ！　（三十六）</title>
			<description>(三十六）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 「何処まで行かれるんですか？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　駅長風の初老の男が言った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「別に、決めてませんが、」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「行き先も決まってないのに乗ったの？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「・・・。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　私は弁解をする気力も無かった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「身元が確かめられないなら警察を呼ぶことになるが。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
  　蝉が鳴いていた。私の好きな蜩（ひぐらし）だ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 雨上がりの涼風に誘われて鳴いているのだろう。子供の頃、蝉&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
取りをしていて、取ることの出来ない蝉の一番だった。その次が&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、クマゼミ。陽の強い日中は全く&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
鳴かないが、蝉取りをやめて家に帰った頃に嘲笑うかのように鳴&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
き始めて、いつも声は聴こえるが鳴いている姿を見たことの無い&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「幻」の蝉だった。「いつか取ってやる」と思っていたある日の&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
早朝、祭りの準備で集会所へ行ったら、なんとその集会所の電灯&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
の下に無数の蜩（ひぐらし）が落ちていた。多くはまだ生きてい&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
て、手に取ると弱々しく例の声で悲しげに鳴いた。電灯の光に誘&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
われて飛んできて、壁に当たって地面に落ちたのだろう。蝉は平&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
らな地面に逆さに為ると起き上がれないのだ。私は嬉しさよりも&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
哀しさを覚えてしまって、落ちてる蝉を拾っては空へ放ってやっ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
た。蝉は一生のほとんどを暗い土の中で費やして、求愛の為だけ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
に地上に出て生殖を終えれば死に絶える。私は、祖母の「殺生す&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
るなぃ！」の意味がなんとなく解って、それからは蝉取りをやめ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
た。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　蜩（ひぐらし）は、鳴きやんだ。静寂が深まった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一路線だけの駅の電車の来ない時間は静かだった。暇を持て余&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
した駅員にとって、私は格好の暇つぶしに違いなかった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「どうする？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　駅長風が言った。私はついにあんなに嫌がっていたマスコミの&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
力を借りて、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「私のこと、知りませんか？ほらっ、今日の新聞に載っている&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　、ほらっ・・・。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「自殺」と言いかけて言えなかった。なんか自ら墓穴を掘る様&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
な気がした。すると一人の駅員が、私の正面から携帯のカメラで&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私を撮った。私はそれどころじゃ無かったのでされるがままだっ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
た。間違いなく彼らは、私のことに気付いていた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ついに、私は最も選びたくない手段を選ばざるを得なかった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　東京で、金持ちと貧乏人の違いは何かと問われれば、金の有る&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
無しも然る事ながら、いざという時のその人脈の有無こそが決定&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
的だと思った。つまり、私には例の選択しか残されていなかった&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「今度は何っ？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　女社長は「もう、いい加減にして」と言わんばかりに電話に出&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
た。私は、何回「すみません」と言ったか数えておけば、きっと&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
電話で「すみません」と謝った回数世界一でギネスが認めるに違&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
いないと思える程「すみません」を連発していた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　結局、女社長に現金を振り込んでもらって、駅前の郵便局で引&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
き出して一件は落着した。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　帰りの電車の切符を買うときに、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「グリーン車で！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と言ったら、駅員全員が笑っていた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/sea56seven/17008970.html</link>
			<pubDate>Wed, 15 Aug 2007 12:26:51 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>書を持って、街を棄てろ！　（三十五）</title>
			<description>(三十五）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　雨はしばらくして止んだ。雨が止んだのか、列車がそこを通り&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
過ぎたのか分からなかったが、窓から見える街並は一様に濡れて&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
いた。役割を終えた雨雲の切れ目からは、逆らう様な激しさで夏&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
の陽が差し込んできて、反射した光が車内を黄金色にした。すで&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
に車内は、乗る人よりも降りる人の方が多くなり、身軽になった&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
車両は仕事を終えて家に帰る者の様に軽快に疾走した。停車した&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
駅ですぐ横にある端の座席が空いたのでその席に腰を下ろした。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
立っている人は次の駅で降りるのだろうと予測出来るほど空席が&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
あった。女子高生はもういなかった。私はずいぶん都心から離れ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
てしまったことに戸惑っていた。当てもなく乗った列車を何処で&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
降りようか考えあぐねている内に、雷雨が来て先延ばしになって&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
、ついにはもうどうでもよくなってしまった。私はいつもこんな&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
風だった。何かを決めてもその直前に躊躇してしまい、上手く行&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
かないことが多かった。ただ、東京はこういった目的の伴わない&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
行動が似合わない街だった。散歩するだけでも歩数を数え、徘徊&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
するにもマニュアルに従い、めしを食わずにカロリーを食べる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
我々の生活は全て目的を持って行われる。説明の付かない行動は&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
許されない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　とその時、年のいった車掌が私の前に来て、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「恐れ入りますが、乗車券を拝見させていただきます。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と、申し訳なさそうに言った。私は元より行き先など決めてい&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
なかったので、駅の入場券で改札を抜け電車に乗っていた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「あっ、次で降ります！」&lt;br /&gt;
　　&lt;br /&gt;
　と、自分では決められなかった下車を車掌の登場で決断した。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私はその入場券をポケットから出して車掌に渡して、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「いくらですか？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と、差額を支払う為にお尻のサイフを取ろうとして、サイフも&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
携帯も忘れてきたことに気が付いた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「あっ！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　車掌は差額の計算を電卓を使ってやっていて、私の狼狽には気&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
付かなかった。私はもう一度入場券を入れていた前のポケットに&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
、股間に届きそうになるほど手を入れて、冷遇してきた小銭をす&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
がる思いで取り出した。しかし、牛丼も食べれない額だった。慌&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
てふためく私に気付いた車掌は、事務的に差額の金額を請求した&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
。それは牛丼が五杯分にさらにそれぞれに生卵が付いてくる額だ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「すみません、サイフを忘れました。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　私は申し訳なさそうにそう言った。すると、車掌は始めの謙虚&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
さを忘れたかのように、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「はあっ？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と、座っている私を見下しながらぞんざいに言った。私はもう&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
一度同じ科白を繰り返さざるを得なかった。車掌はしばらく考え&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
た後、車掌室に同行するように言われ、怪訝そうに見る乗客の間&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
を車掌の後を着いて、進む電車に逆らって最後尾まで歩いた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　電車が次の駅に着くと、私は待機していた駅員に引き渡されて&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
、いかにも郊外の三階建てのモルタル風の駅舎に入れられた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　初老の駅長らしき人が居て、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「サイフを忘れたって？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と言って、身元の確認をするので座って書類を書くように促&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
された。そして書き終わった書類をしばらく見て、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「この住所には誰かいるの？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「はいっ、事務をする者がいます！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「それじゃあ、電話しよう、いいでしょ？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「はいっ、お願いします。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　私はバロックの彼女がすぐに電話に出てくれものと思っていた&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
。駅長らしき人は随分長い間電話が繋がるのを待っていたが、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「出ないね？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と冷静に言った。そして、私に電話を掛けるように言った。私&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
は電話のボタンを押している中に、出かける時に彼女に告げた言&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
葉を思い出した。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「あっ！それから、怪しい電話には出なくていいからね！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/sea56seven/16904536.html</link>
			<pubDate>Tue, 14 Aug 2007 13:01:20 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>書を持って、街を棄てろ！　（三十四）</title>
			<description>　　　　　　　　　（三十四）&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　それからすぐに、新聞や週刊誌からの電話が引っ切り無しに掛&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
かってきたので、バロックの彼女に頼んで、私は部屋を出て行っ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
た。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「あっ！それから、怪しい電話には出なくていいからね！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　私はどこへ行くという当てなど無かったが、駅まで歩いて電車&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
に乗った。車内は昼前といっても空いている座席が見つからない&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ほど慌しく人が乗り降りした。私はドアが閉まる間際の最後の乗&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
客になってドアにへばり付いて立ち、流れ去る街並を眺めていた&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
。世間は何も変わる事の無い退屈な日常を映していた。そしてそ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
の退屈な日常が何故かとても有難く思えた。人は置かれた境遇が&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
変われば、世間ですら異なって見えてくる。かつて私はその退屈&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
な日常の中で、ひたすら日常からの逃避を夢見ていた。私に与え&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
られた仕事が私でなければならない理由は無かったし、もしもそ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
のままで一生を終える位なら、通勤電車が爆破でもされて死んだ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
方が無駄な人生を送らずに済むと思ったりもした。自分は何がし&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
たいのか、何が出来るのか、虫かごに捕らえられた昆虫のように&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
、思ってもみなかった社会の現実に苦悩した。しかし、答えは簡&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
単だった、辞めてしまえば虫かごからは抜け出せた、ただエサも&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
貰えなくなった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　東京での暮らしは、他人に無関心な世間が有難かった。と云う&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
より、一千万人を超える人が一つの都市に折り重なり合いながら&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
、それぞれが野心を持っての仮住まいの暮らしに他人への関心な&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ど生まれる筈がない。それは、ちょうどこの電車に乗り合わせて&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
、たまたま隣同士になった者に何の関心も生じないのと同じだ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　電車の走行は心地よかった。それは決められたレールの上を迷&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
うことなく進んでいく心地よさだ。身を預けるだけで何も考えな&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
いでも走っていく。この快適さこそが我々が望んでいたものだ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「楽して生きたい！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　システム化された「安楽死」為らぬ「安楽生」の先には何が待&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
っているのだろう。もはや「怒り」や「喜び」の感情は退化して&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
つまらぬ「夢」を追うことは無くなるだろう。何故なら「夢」は&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
、感情の炎によって生まれるからだ。我々を激情させる思想や芸&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
術や文化は、「安楽」を脅かす忌むべきものとして蔑まれ、ひた&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
すら神経を癒すものが持てはやされ、片隅に追い遣られ、ついに&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
はその役目を終えるに違いない。確かに、この街で感情を表に出&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
して生きることは絶望を手にするのと同じことだ。しかし、感情&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
を押さえ込む余り、何か大切な人間性も押し殺しているのじゃな&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
いだろうか？&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　電車のドアのガラスに水滴が着いた。青空だった空は気付かな&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
い間に、灰色の雲が侵略して空を占領していた。窓越しの景色の&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
木々は予期せぬ突風に吹き叩かれて、老いた葉からその手を離し&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
風の中に消えた。すると、かなたの暗雲から一条の雷光が屈折し&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ながら大地に突き刺さり、暫くして、鬼太鼓座も驚く程の雷鳴の&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
後、バチで太鼓の皮を叩き破った様な異様な音がして、大粒の雨&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
が降りだした。その後も雷鳴は鳴り止まず、遠くの方で、またす&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ぐ傍らで、そしてついには電車が爆破されたかと思うほど近くで&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
凄まじい爆音を響かせた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　すると、近くに居た二人の女子高生の一人が、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「死にたくないよー」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と、笑いながらもう一人に言った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　彼女のありふれたその言葉は、何故か、私には新鮮に聴こえた&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「そうだ、死にたくないんだ！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一般的には「何故、死にたくないのか」に「理由」など無い。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「死にたくない」は「生きたい」で、つまり「生きたい」に理由&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
など無いのだ。ところが、人は生きているのが辛いとき、「死に&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
たい」と思うことがある。だが、「死にたい」には「理由」があ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
る。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人はただ一人で生きているのではない、我々は社会の中で生き&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ている。夢も、成功も、幸福も、全て社会に依存している。幾ら&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人より優れた能力を持っていても、社会がその能力を認めない限&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
り優れた能力ではない。野球の松坂投手がいくら速い球を投げれ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
るとしても、野球というゲームに人気が無ければ、今ほどの成功&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
は収めていないだろう。実際、ヨーロッパでは、誰も野球などに&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関心を示さないし、北京五輪の後はオリンピック競技からも無く&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
なるかもしれない、アメリカと一部の親米国だけでかろうじて人&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
気の競技である。たとえば、川面に石を投げて弾かれた石が何度&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
も川面を弾きながらその回数を競う競技が人気になったとして、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その石投げの天才と松坂投手とどちらが優れているかは、その時&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
にどちらの競技が人気になっているかによって変わる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　そんな移ろい易い社会の中で、自分のやりたいことで認められ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ることは、余程の幸運に出会わないと叶わないだろう。それどこ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ろか世間一般は、身に煩瑣の種は尽きまじで、思い通りに為らな&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
い事の方が多い。そんな社会に嫌気が挿して、遂には「死にたい」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
と洩らすこともむべなるかなと思う。つまり「死にたい」の理由&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
は、社会の中で「楽して生きたい」が、思い通りに為らないこと&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
に由る。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかし、そもそも我々は「理」に由って生きて居る訳じゃ無い&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
のだから、「楽して生きたい」を棄てた時に、つまり都会の生活&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
を棄てた時に、「死にたい」は理由を失って、一己の生き物とし&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
て唯「生きたい」と思うのでは無いのだろうか？&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 私は、予測の出来ない未来に向かって、成功とか失敗とかを考え&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ずに、つまりは社会に拘らないで、生きたいと思った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/sea56seven/16136752.html</link>
			<pubDate>Wed, 08 Aug 2007 03:04:50 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>書を持って、街を棄てろ！(三十三）</title>
			<description>　　　　　　　　　（三十三）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 私の偽装入水自殺未遂事件は、二日後のスポーツ紙に社会欄の&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
頁に載った。朝の、工場ではラジオ体操を終えて従業員が持ち場&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
の仕事に着いて働き始めた頃、私はまだベッドの中で、バロック&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
の彼女が電話を掛けてきて教えてくれた。その声はまるで楽しい&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
事を伝えるように聞こえた。私はすぐに誰がリークしたのか解っ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
た、元芸能人の女社長に決まっている。しばらくして、バロック&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
の彼女が息子と、スポーツ紙を持ってやって来た。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「元ネットカフェ難民の画家〇〇　自殺未遂？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　そこには、日時から河の名前、助けられるまでの経緯など詳し&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
く書かれていた。そして画業の行き詰まりから思い悩み、死を選&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ぼうとしたが、自殺する者が服を脱いで入水することは考えられ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ないとして、いざとなってやはりタメライがあったのだろうと終&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
わっていた。私の入水自殺未遂は、本人の言い分を無視して社会&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
的事実になってしまった。何故こうなってしまうのか？私は当事&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
者の言い分を取り上げ様としないマスコミに腹が立った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　するとバロックの彼女が、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「きのう、新聞の人から電話はありましたよ。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「それで、どうしたの？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「確認だけさせてほしいと言うので、応えましたけど・・・」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「何を答えたの？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「だって、何もかも知っているんだもん。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　私は早速、女社長に電話をして記事のことを伝えた、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　女社長は、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「名前が売れて良かったじゃない！」と、言った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「やっぱり、あんたかっ！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/sea56seven/14382431.html</link>
			<pubDate>Thu, 26 Jul 2007 04:26:50 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>書を持って、街を棄てろ！（三十二）</title>
			<description>(三十二）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人は何事かに集中している時に、遠くの方から呼び掛けられて&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
も驚きはしないが、すぐ後ろで呼ばれると、たとえ小さな声であ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ってもビックリする。それは声の大小に因らず声を発した人との&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
距離の近さに驚くのだと思う。人がすぐ後ろに居ることに気付か&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
されることは本能的な恐怖を目覚めさせる。人が他人との間に許&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
容できる距離はその親密さに比例する。たとえば、出先で急に「&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
もよおし」て、開店直後のデパートの上の階なら、客の姿も疎ら&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
で気兼ねなく用を足せるだろうと思って、エレベーターに飛び乗&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
って、思い通りの閑散とした広い「催し物」フロアを抜けて、案&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
内を辿って目指すトイレに駆け込んで、耐え難きを耐えた「もよ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
おし」を思う存分「開催」できると思いきや、何故か居る筈の無&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
い人がすぐに隣の空室に入ってきて、広く閑散としたフロアの片&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
隅の狭い個室に隣同士で、互いに気兼ねしながら排泄することな&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
って、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「なにもココに来なくてもいいだろう！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と、思わず言いたくなる時があるが、排泄の時は人に対しても&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
排他的にもなる。関わりたくない者と距離の許容範囲を超えて近&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
づかなければならないのはストレスになる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　タクシーの後部座席に気の合わない三人の大人が肩を寄せて座&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
るのは、まさにストレスそのものだった。満員電車の乗客の様に&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人格を棄てて眠る訳にもいかず、なんとか和ませようと迷惑を掛&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
けた事をひたすら謝って、何故、河に入ったかを順を追って説明&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
した。すると、すっぴんの女社長が、すっぴんでいることを忘れ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
たかのように突き放すような言い方で、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「ほんとは、死のうと思ったんじゃないの？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と言った。私は女社長のすっぴんの顔をまざまざと見た。無意&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
識のうちに化粧をしている時の顔との違いを見比べようとしてい&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
たが、すぐ思い直して、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「何で！そんな事する訳ないでしょ。」と言った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　すると、それまで黙っていたバロックの彼女が、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「いったい、社長はこの人に何をしたんですか？」と、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　すっぴんの女社長に食って掛るように言った。女社長と比べれ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ばまだまだ若い彼女は、子供が小さいこともあって普段でも殆ど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
化粧をしていなかったので、化粧やけした女社長に勝ち誇った様&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
に聞こえた。ただ、彼女の一言は、私と女社長に数時間前に高級&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ホテルのレストランで起こった顛末を思い起こさせた。そして、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
女社長が、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「まさか、あんなことで死のうとしたんじゃないでしょうね？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と言った。すると、バロックの彼女が、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「ほらっ！やっぱり、あんたが何かしたんだっ！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と怒りを露にして言い放った。そして、彼女は、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「もうっ！死ぬのはやめてよっ！バロックだけでいいよっ！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と言って、ドライバーが驚いて後ろを振り向いた程大きな声で&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
泣き出した。車内には彼女のすすり泣く声だけが聞こえた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　私はどうして河の中に入ったのかを散々説明したのに、結局、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
自殺をする為に河に飛び込んだことに成ってしまった。私のスト&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
レスは、さらに、説明しても信じてもらえないというストレスが&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
増えた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/sea56seven/13486227.html</link>
			<pubDate>Thu, 19 Jul 2007 01:14:18 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>書を持って、街を棄てろ！（三十一）</title>
			<description>（三十一）&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　東京を仕切るこの河は、この世とあの世を仕切る三途の川のよ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
うだった。息継ぎに上げた頭に水面を流れる何かが当たって、何&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
が当たった分からない不安がさらに恐怖を増幅して全身の神経を&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
萎縮させた。ただ人を襲う海獣がいる訳も無く、しばらく息を整&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
えて落ち着かせた。人は眼に見える情報を失えば一瞬にして不安&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
に陥って動けなくなる。人を不安に陥れるのは、この認識が出来&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ない事の不安だ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　たとえば人通りの多い繁華街は見知らぬ人々でごった返してい&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
るが、誰しも身の危険を感じずに行き来出来るのは、人の考えは&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
様々だとしても、人に迷惑を掛けてはいけないという認識を共有&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
していると信じているので不安を感じないで歩ける。ところが、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
中東をはじめ自爆テロに悩まされている社会は、見知らぬ者のた&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
だならぬ所作にも、すわ自爆者かと、人を見てもその人が何を考&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
えているのか認識出来ない限り自爆テロの不安は消えない。そも&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
そも人が身を賭してまでも訴えようとする行為に、その怒りの矛&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
先を向けられた者は、少なくとも如何なる理由で人がそういう憤&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
りを持つに至ったかを認識しなければならない。そして認識する&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ためには話し合って情報を得なければならない。世界を苦しめる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
多くの不安は、話し合いによる相互の情報の少なさと、そのこと&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
から作られた誤った認識によるのではないだろうか？そのことは&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
、この国が抱える近隣の国に対する不安の多くも、情報の少なさ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
とそのことによる誤った認識から作られていると言えるのではな&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
いか。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「そんなことはない、あの国では人権がない！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　それじゃあ、この国では正しく人権がまもられていますか？&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「多くの国民が貧困で死んでいる！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　この国では貧困が原因で死ぬ人はいませんか？&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「民主主義がない！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　この国は本当に民主的ですか？&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「・・・・。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　政治は世襲的だし、官僚は特権的だし、格差は益々拡がろう&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
としているし、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「えっ！もしかして、そんなに違わないの？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ってことに為らない様にしてもらいた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　漂う空のペットボトルに手が触れて、それが認識できない不安&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
から、ペットボトルが人を飲み込む海獣に想造されてはならない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　私はこの不安を振り切って、川面から見上げる東京の夜景を見&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
るために、さらに岸から離れた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　三途の川から見た「人工の楽園」東京の夜景は、黄泉に旅立つ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
魂が過ぎし世を顧みて、惜別の情が万感胸に迫るであろう華やか&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
な光彩を暗黒の空間に放っていた。川面に漂って過ぎし世を遠く&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
に見れば、屍と成り果てても想いは留まろうとするのは止むべか&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
らずことだ思えた。私は、自殺したバロックのことを想っていた&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
。もしかすれば、バロックはこの夜景に魅せられて、ここに留ま&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
っているのではないか？現実と妄想が頭の中で混乱して、私は、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「バロック！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と、有らん限りの大声で叫んだ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　すると、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「おーい！大丈夫か！」と遠くから声がした。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　驚いた私は確かめようと、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「バロック？」ともう一度叫んだ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　するとすぐに、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「あそこだ！あそこっ！」と声がした。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　と同時に、闇を切り裂くサーチライトの光が何度か川面を嘗めた&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
後に私の頭に照準を当てた。私はその強力な光に一瞬何も見えなく&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
なった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「今、助けに行くからな！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　川岸の方からの声だった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　私は、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　「ええっ？」と、思った。&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
 私は三途の川から無事引き上げられて、パトカーに乗せられて警&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
察署へ連れて行かれた。なんでも犬の散歩をさせていた人が、河へ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
飛む込む音を聞いて入水自殺と思って警察に電話したらしい。こっ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ちの事情を説明したがなかなか信じてもらえずに、調書を取られた&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上に身元引き受け人を呼ぶように言われ、バロックの彼女に頼んだ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
が関係を聞かれて「知人」と答えたが、「それじゃあ駄目だ」と言&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
われ、結局、画廊の女社長に頼まざるを得なくなった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　女社長は寝る前だったらしく、化粧を落としたすっぴんの顔でタ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
クシーで駆けつけたが、ついさっきまでホテルのレストランで目に&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
した顔とは様変わりしていて、すぐには女社長とは気付かなかった&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
程だった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　帰りのタクシーは、先にすっぴんの女社長が乗り込んで、次に私&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
が乗り、バロックの彼女だけを別にするのも変だと思って私が躊躇&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
っている彼女を呼んで車に乗せた。動き出した車の中で始めて二人&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
の気が合わない事に気付いて、静まり返った車内で、右肩と左肩の&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
空気の違いを敏感に感じながら、こういう状況を図らずも演出した&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
事に後悔した。</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/sea56seven/12634529.html</link>
			<pubDate>Thu, 12 Jul 2007 20:58:11 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>書を持って、街を棄てろ！　（三十）</title>
			<description>　　　　　　　　　（三十）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いつしか、国が所有する河に着いた、彼岸はもう東京ではない&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
。それでも街の灯は、東京に負けまいと天空を紅く染め、対岸の&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
喫水線を境にして対称に川面に映えて、静かな流れの河を騒がせ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ている。しばらく、その景色を見ていたら、此岸の方はどうなっ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ているのか気になった。夜の川面から見える東京の夜景とそれを&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
映す河の流れ・・・、私は東京の主たる情景を描き尽くしてしま&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ったので、作品のモチーフに困っていた。水辺から見た夜の高層&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ビル群とそれをフットライトで照らす街のネオン、街全体の明る&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
さが暗闇の空を紅く染め、どす黒い川面に転写される。その川面&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
から闇の中で光輝く東京ワンダーランドの絵が見たくなった。も&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
はや東京の大地に残された自然は河の流れくらいで、長い歴史の&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
間に岸を固められて、昔人が驚くほど河の水の流れも人の思い通&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
りになってしまった。水の流れは故郷の川を思い出させる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　貧しかった子供の頃、夏休みになればお金を使わずに一人で遊&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
べるので、毎日のように素潜りで魚を獲ったりして川で遊んだ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
東京へ来てからも川が流れていると覗き込んで生き物の姿を捜し&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
たが、生き物の棲まない川が信じられなかった。生命の根源は生&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
命体の方から色々語られるが、液体の流動性とりわけ水こそが生&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
命の源である。全ての生き物は中に液体の流動性を保っている、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
地球は稀有の水の惑星である。もしも人間が地上と同じように水&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
中でも生きることが出来るならば、私は迷わずに水中で暮らすだ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ろう。私は泳ぎは得意だった。ホームレスの時、夏の暑さで汗ま&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
みれになって、Tシャツの襟口から汗の臭いが鼻先にまとわり付&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
いてしかたなかったので、人目の無い深夜に何度か河に入って身&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
体を洗ったことがあった。だから何の戸惑いもなく、辺りに人影&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
が無いのを確かめて河川敷を横切って、服を脱いでパンツ一枚に&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
なった。川岸のゴミかごに服とカバンを入れ上から新聞紙で隠し&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
、対岸の街の明かりを頼りに水際で靴を脱ぎ河に入って身体を濡&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
らしてから一気に飛び込んだ。飛び込むなり深く潜って息の続く&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
限り蛙泳ぎで岸から離れた。河の真ん中は思ったよりも流れが速&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
く、何度か息継ぎをして頭を上げた時はだいぶ河口へ流されてい&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
た。私はどうしてもそのアングルからの絵が見たかった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/sea56seven/12555013.html</link>
			<pubDate>Thu, 12 Jul 2007 01:40:41 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
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