依水

読書ノートと投資と中島みゆきの翻訳

日記

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]

ご存じの方も多いと思いますが、中国ではネット検閲が厳しくてGoogle(谷歌)やYoutube(油条)やこのYahooブログが繋がりません。ずっと中国にいると別に不便を感じませんが、私のように日本に慣れているとやっぱり息苦しいです。さて、ブログ更新のためにも検閲を潜り抜けねばなりません。
 
中国の検閲システムが「长城防火墙」(グレートウォールファイアウォール)と呼ばれているので、それを潜り抜けることが「翻墙」とか「爬墙」といいます。ところがみなさんが国内の掲示板などでも「翻墙,翻墙」とうるさいものだから、ついに「翻墙」関連のサイトも規制の対象となりました。そこで新しい呼び名として浮上したのは「科学上網」であります。「上網」はネットに繋げることで「上」は「上车」「上船」(車に乗る、船に乗る)という使い方で、「網」はネットワークのことです。「科学」は説明不要と思われがちだが、中国政府のプロパガンダとして「科学発展観」(胡錦濤前主席の肝いりだった)などがあるように、「科学」も政治的な意味合いを持っております。「科学上網」とはいかにも政府が提唱しそうな言葉でその中身は政府の検閲を回避するという、ブラックユーモアを含んでいます。実際問題、グーグルに繋がらないとグーグルの論文検索も使えないので、これは研究者にとってはかなりの痛手ですから、実際「科学上網」する人のかなりの割合が研究者だったりもします。本当に研究のためにやっているのだから「科学上網」でしょ、という話です。
 
「科学上網」の方法ですが、主にvpn技術を使っています。アップルストアでvpnと探せば「○○神器」(「神器」は「神アプリ」)が付くものがわんさか出てきますが、大概そういう類です。パソコンだとTunnelloをChromeにインストールするとやりやすいです。そのほかにセカイVPNなども1か月無料で使えたりしますが、繋がったり繋がらなかったりします。筑波大学が無償提供しているVPN Gateが無料で使えます(が、中国からだとVPN Gateにアクセスできないので、日本にいるうちに登録しておけばミラーサイトのアドレスが毎日送られてきます)。私はいまHMAというのを試しているが、今のところ接続速度が遅くて大いに不満であります。
 
「科学上網」の普及度合ですが、私の周りはやり方を知らないという人が大多数です。よく政府批判する友人も「敏感話題」(規制コンテンツ)をみるときにだけ「科学上網」する、らしいです。中国で「女神」と言えば「蒼井空」という時期もあって、その蒼井さんがブレークする時に中国から四万人のフォロワーがついていたけれど、当然この四万人は全員「科学上網」でした。
 
女神蒼井さんといえばもともと日本のav女優です。親しみ(や慕わしさ)を込めて「苍老师」(蒼井センセイ)と呼ぶ人もいます。中国はエロ禁止なので国内の情報だけで「苍老师」のファンになった方は蒼井センセイの本職を知らなかったりもします。蒼井さんはエロ以外の要素でしっかりとファンの心を捉えていた。皆さん結構真剣でした(日本社会ももう少し評価してもいいのにと思う)。中には蒼井センセイの裸体を拝むために「科学上網」のワザを覚えてオトナの世界とともに広い世界にも目覚める若者もいます。いろんな意味で蒼井さんが国の未来を背負うという若者たちを啓蒙してくださいました。
 
オタクと研究者、似たようなものかもしれません。科学と性、物理をするのはセックスをするのに似ていて、時々子供ができて社会の役に立つものが生まれたりもするが、それが目的でやっているわけじゃない、とおっしゃる某大先生(もちろんノーベル賞受賞者)もいたようです。
 
今中国の改革開放を裏で支える黒子役、「科学上網」でした。

デンマーク、感想

デンマークから帰って来た。
 
日本は明るい。太陽が眩しい。しかし表情の方はデンマークの方が明るかった。日本人の礼儀的な微笑と違って、デンマーク人のそれは人生に満足しているような表情だった。そして日本と同じ、皆親切だった。直ぐ隣の冷たい(知り合いには親切)ドイツなどとは大違い。
 
しかしデンマークは物価が高くて失業率も高い。どちらも日本よりずっと高い。一体こんな国がどうやって成り立っているのか不思議でしょうがない。人に聞くと「イノベーション」だという。
 
日本も近年ずっとイノベーションを大きく掲げて邁進しているようだが、実態はとてもショボイらしい。両者を比べてみて
 
「なるほど、笑えない人間にはイノベーションなんてできないよなぁ。デンマークやアメリカと違って、日本の若き人材たちが大学院にいるときは自力で生活できない。その結果皆が奨学金という名の負債を負っている。人生を二、三千万の借金でスタートするから笑えないよねぇ。奨学金破産というのも単なる冗談じゃないらしい。外人にこれを言うと、みな揃ってシンジラレナーイという反応をする。それでいて政治家はさらに大学のお金を削って手柄にするから凄い。イノベーション?アハハ、よく思いついたものだ。日本の国会議員も大半はボンクラだから、先にそちらを半分ぐらいに仕分けたらどうでしょうか。まあ日本のことは別として、俺個人としてはもうちょっといい笑い方をするように努力しよう」
 
などと思ったりもした。
 
コペンハーゲンは千年以上の歴史はあるが、町が小さい。人口は50万人しかいない。デンマーク全体でも500万人しかいないから、文字通りの小国である。しかしこんなちっぽけな国でも実は日本とほぼ同数のノーベル受賞者を出したから侮れない。
 
首都コペンハーゲンには博物館や美術館がたくさんあって楽しかった。なんでも奴らは国が破綻寸前の状態に陥った時でも、トーヴァルセン美術館などを建てて復興への決意を示したそうですから、経済や技術だけでなく、文化の国でもある。アメリカと中国のような、お金でしかものを考えられない「心なき大国」とは正反対だ。
 
コペンハーゲンにはチボリ公園という世界最初の遊園地がある。ディズニーも参考にしたというこの公園は規模こそ大きくないが、いろんな意味ですごい。何よりもそれがコペンハーゲン駅の真ん前にあるのが驚きだ。
 
他のどの国にこんなことができるでしょう。一国の首都の中央駅前、いわば国の中心を遊園地にした。行政の中心を担う立派な市庁舎も、同じ世界初と言われる歩行者天国の商店街も、この「チボリ」を越えて初めてたどりつける。いわば政治も経済も後回しにして国の未来たちが楽しむ場所を地理的に最優先したわけだ。アンデルセンを生んだ国だからこそできたことでしょう。しかしそれでも建設当初は激しい反対にあったのは想像に難くない。そこで様々な困難を押し切って建設を続行させた政治家たちこそ、本物の政治家だと僕は思う。駅前は遊園地というのは結構クレイジーな話だが、よく考えてみれば案外合理的で、いや、むしろ一番理にかなっているかもしれない。
 
デンマークは豊かな国だが、人々は贅沢をしない。部屋にあまり物がないけれど、必要な物は揃っていて、プラズマテレビなども普通のように置いてある(彼らはなぜかカーテンを締めない…)。「景気が悪いからみんな不幸せ」なんていうのは野蛮な社会の証かもしれない。経済だの政治だの、我々はいろいろと小難しい論を弄するが、結局は単に自分たちの欲を庇うための、手の込んだ言い訳かもしれない。物欲の奴隷にならずに、子供たちのために大人が少し我慢すれば、弱い者のために強い者がすこし譲ってあげれば、教育の問題も社会の問題もそう難しくないはずだ。その難しくないはずのことが実際できることが真の文化的素養ではないか。
 
文化とは何か、イノベーションとは何か、改めて考えさせられた。
 
毎年「我が国はなぜノーベル賞をもらえないだろう」と嘆いている中国、参考にして欲しい。つまらないマオ記念堂や胡散臭い聖人の像などにお金をかけないで、ぜひ天安門広場にジェットコースターと絶叫マシン、そしてメリゴーランドを置くとよい(ちなみに私はこの三つのどれにも乗りたくないが)。そうすれば二十年後にはノーベル賞受賞者が湧いて出てくるようになるでしょう。

卒業

先日卒業式に行ってきました。地震でイベントを大幅に減らした簡素なものでした。話によるとそれでも卒業式を行うかどうかについて意見が分かれたそうです。「こんな状況だから卒業式は中止にすべきだ」という意見に対して、「卒業式はやはり社会へ飛び出していく学生たちにとって大事なことだ」、「せめて学校が正常に機能しているということだけでも示したい」、「何があろうと日本は戦争の時でも卒業式だけはやめなかった、こんな時だからこそ社会へ出ていく彼らを応援したい」などの意見が優勢でした。すこし感動します。

ということで学長先生の式辞も暗い話でした。

たびたび起こる無差別殺傷事件、自由になった分人と人の絆がもろくなり、孤立し自分の世界に閉じこもっていく個人、境遇の平等は人々をどこへ導いていくのだろうか。幸福、あるいは困窮、文明あるいは野蛮へと導くのだろうか、それは人々次第だといいます。「精神無き専門家、心情無き娯楽人」という現状がどんどん深刻化している今、そんな社会に対して自分なりに何かを為してほしいという先生の期待が伝わってきました。それは難しいことだが、でも今回の地震で被災者の方々が見せてくれた相互扶助の精神を真剣に学んでほしい、それがまさに今の日本にとって必要なことで、しかしなくなりかけていたことだそうです。そんな内容でした。

ほかに印象に残ったこととして、実はうちの大学では毎年200人の博士が出ていて、それに対し、国が大学に博士ひとり当たり年間2000万円の資金を投入していることです。アメリカなどでも大体同じ計算になるそうです。五年間で計算すると博士一人を育成するのに1億円もかかるといいます。思うに博士って案外お金がかりますね。まさに高コスト低利益ではないか…

これでは「どうして世界一にならなければいけないですか」ではなくて「どうして博士がいなければいけないですか」といわれても不思議ではありません。福島原発も話によると、老朽化した原子炉を立て替える計画があったのだけれども、それも「仕分けられて」しまったそうです。そういう御時世になったということでしょうか。でも大学への経費削減は仕方のないことなのかもしれません。日本経済が悪化しつづけているのだから、政府も教育費を捻りだすのに苦労していると言われれば信じる気にならないのでもありません。
もちろん、学長先生がこの話をする主旨はこんなことじゃなくて、とにかく「そのお金は社会から出たものだから、卒業してから自分だけではなく、自分なりに社会にお返しをするように」ということです。

式辞は非常時だけあって、普段の式典と違い、たいへん内容のあるお言葉だったので、私は眠くならずにまじめに話を聞けました(周りは案外寝ていたが、それはきっと何かわけがあるということにして)。自分が切実に感じた問題は決して自分だけの問題ではない、ということを知ったのがよかったです。すでに様々な人が懸命に取り込んでいること、当たり前だが、独りではないことを知りました。
 
---
 
ところで、めでたく賞もいただけました。そのついでに学長先生から送る言葉
 
「…どのカスターリエンの研究所も、どのカスターリエン人も、ただ二つの目標と理想を知っていなければならないであろう。すなわち、自分の専門をできるかぎり完全に成し遂げることと、その専門を絶えずほかの分野と結びつけ、すべての分野と親密な関係を保つことにより、専門と自分自身とを生き生きとした、弾力のあるものに維持することである。」
 
ヘルマン・ヘッセの言葉です。「カスターリエン」とは「精神的理想郷」のことで、ギリシャのパルナッソス山にある聖なる泉カスタリアにちなんでいます。
 
ヘルマン・ヘッセさん名前はよく聞くけど興味を持ったことがありませんでした。わりといいこと言いましたね…
ただ、理想としてはヘッセさんの言うとおりですが、私は自分の分野も完全どころか一人前までまだまだ遠いし、他分野のこともよく知らない、そんな高い要求をされていては困ります。幸いヘッセ先生はこの二つのことを「やれ」というのではなく、「知っていなければいけない」といったのが助かります。

より他分野に目を向けることは本当に大事だと思う、深く理解しなくても、どのような問題があり、どのように解決したいのか、くらいのことは知っておきたいですね。それは一人一人の人間の精神的な活力と健康にとっても必要なことだと感じます。
 
---
 
ところで地震でずっとうちに引きこもっていたので堕落してしまった。まあ、言い訳はいくらでもあるが、何もやっていないのは事実だ。向上心をすっかり忘れてしまった。その結果、無気力。

そういえば研究所は大惨事らしい、設備がぼろぼろ、某建物にひびも。建物は壊れてもいいかもしれないけど、設備の方は当分復旧できないでしょう、かなりお金と電気がかかるから再建できるのだろうか。東海の方も地盤沈下でひどいことになっているようだし。うちは理論だから大丈夫だけど、来年卒業できなくなってしまう実験の学生がどれくらいいるのだろうか。昨日電気が復旧した。ただ暖房がもちろん、照明も厳禁だそうだ。パソコンとプリンタだけはOK、照明ないと論文読めないが、スタンドをOKにしていただけると助かる…
そういえば昨日指導教員から「君の机のまわりは、物が大量に散乱しています」とのメールが入った。
はいはい、片付けます、ついでに汚れて元気がなくなった心のほうも片付けをしないと…
 
---
 
放射線に関して、現場の方が必死で頑張っているのにこういう質問が不謹慎かもしれないが、でも「どこまでひどくなったら避難すべきか」というのがやはり皆さん一番気になっていることではないでしょうか。
http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html
また、ここによると
http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/20110315_06/index.html
一番ひどいときでもわが茨城は5マイクロシーベルで黄色信号までまたまた遠いようだ。ちょっと恥ずかしいが、やはりこうやって比較対象があるとちょっと安心する。
ここ一週間原発でいろいろと騒いています。
ネットに解説のような資料も結構出ています。
たとえば
など。
 
スライドの方は様々なことが説明されていて、参考になるかと思います。
そして「全部読むのがしんどい、まず福島原発で状況が悪化したら最悪どうなるかだけ教えろ」という気の短い方はまず22ページか29ページあたりから読めばいいかと思います。
 
私も理系が専門で、いちおう研究もしているから、何人もの知人から電話がかかってきて原発の状況について意見を求められました。しかし、素粒子のことを知っていても原子炉のことは何もわかりません。テレビで聞いた情報しか知らないのですが、そのテレビで聞いた情報を予約してあげるだけで、あわてていた方も落ち着いたりもしました。やはり本当に伝えるべき情報がきちんと伝わってないのではないかなと思いました。
 
ただこの種の説明は基本的に難しいと思います。通常テレビ慣れしていない専門家はとにかく皆さんに間違ったことを言ってはいけないという責任感が強く、厳密さに気を取られて説明が分かりにくくなりやすいです。また、個々の説明を分かりやすくできても、その個々の事柄が意味するところの説明が欠けていたりします。結果として普通の人にはことの全体像がなかなか伝わりません。
 
加えて日本語はほのめかすことが多く、はっきりと物を言わないので、専門家と素人のコミュニケーションは特に食い違いが起きやすいと感じます。テレビを見ていてもやはり専門家は素人がいったい何を聞きたいのかを感じ取れず、そして素人もどのように正確に自分の知りたいことを聞くことができていなかったのが気になりました。

コトバのタッチ

言葉の中に時々絵の触感のようなものを感じる。重すぎず軽すぎず、ちょうどいい具合のものに出会ったりする。それは時には獲物を襲う鷹のように、力強くそして俊敏に、心の深淵へと突き刺さる、また時には草原を駆け抜ける獅子のように、すべてを圧倒し、王の覇気が精神の砦を吹き飛ばす、あるいはまた、最高に美しいものはいつも、蜻蛉が水面を掠めるように、静かな丸い、感動の波紋をやさしく広げる。
 
だがどんなタイプにせよ。優れたタッチ、つまり傑作には、余分な力が入らない。そしてそれを捕まえることが不可能である、なぜならそれがいつも向こうからやってくるのだから。
 
鋭い弾道を時速300キロで走ってくる、白い小さな円錐を捉えるようなもの。一瞬を待つために、重心を下げて深呼吸、膝を曲げ、体を上下斜めに小さく震動しつつ、全身の力を抜いていくバドミントン選手のように、構えたい。

全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]


.
塵
男性 / O型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

標準グループ

登録されていません

Yahoo!からのお知らせ

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

CMで話題のふるさと納税サイトさとふる
毎日お礼品ランキング更新中!
2019年のふるさと納税は≪12/31まで≫

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事