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〔3〕時空の繋がり・・・(7)
頭のうしろで両手を重ね、天井の模様を数えるようにしていた郁雄の前に、サユリの作ってくれた朝ごはんが並べられていく。
メインディッシュには、キャベツのコールスロー、レタス、キュウリは孔雀が羽根を広げたみたいに扇形に飾られ、由紀ちゃんの唐揚げとオムレツが美しく乗せられている。スープはインスタントのオニオンスープに、タマゴの浮きみが浮かんでいる。トーストには、ちゃんとバターが塗ってある。・・・・・完璧だ。しばらく呆然と眺めてしまう。
「どうしたの?嫌いなの?さっ、早く召し上がれ!」
満面に得意そうな笑みを浮かべて、それでいて左のほっぺにタマゴを焼いている時にくっついた破片に気付かないサユリを、美しいと思った。
心の中にあったはずの鈍色の不安な雲は、いつのまにか何処かに消え去り、雲の陰に隠れていた太陽が見えてきたように、サユリの愛情が自分の心の奥の、いまだ誰も開けたことのないドアをこじ開けて入ってきたような、不思議な感覚を覚える。
・・・・・ダメだ。好きになったかも。・・・・・・
抜き差しならぬ境地に追い込まれながら、その断崖絶壁から見晴るかす眼下に広がる風景を美しいと云う旅人の心境にも似た心持ちに、例えばこんな時、自分の背中に翼を持っているなら、谷底から吹き上げてくる冷たい風をも上手に受け止め、きっと空高く飛べるに違いない。・・・・そう思った。
と、その時玄関先で足音が止まる。
「コンコンッ。コンコンッ」・・・(つづく)
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