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〔3〕時空の繋がり・・・(2)
眠りこけてるサユリのために、朝ごはんを作って食べさせようと、近所のスーパーへ買い物に出かけようと靴を履いた。つま先をトントンと靴の先っぽに馴染ませ、踵のあたりに少しの空間をつくってスニーカーを履くのが彼の流儀である。だから、少し靴の踵あたりが踏まれている。座って履けばそうはならないはずだが、必ずそうして履く。右脚をトントンやった時、
「ねえ。どこか出かけるの?」
と、眠そうな声のサユリが声をかける。
「起きちゃった?ちょっと食料品を買い出しに行ってくる。すぐ戻るから」
そう言い残すと、ドアをバタンと閉め、駆け足で鉄の階段を駆け降りる。
外に出ると一段と寒さが増してくる。3年程東京を離れ、函館に住んでいたから、寒さには慣れているはずだったが、やっぱり冬の朝は、どこでも同じだ。気力が勝負である。
2分も走るとスーパーに着いた。正月の食料品も半額のシールが貼ってあるものが眼につく。売れないのだ。郁雄はそう思った。すべての事柄には、定められた、それに相応しい「時」があって、何人もこれに逆らうことはできないのだ。きっと食料品もそうなんだろう・・。そう決め付けた。基本的に、思い込みの強い性格なのだ。
タマゴを1ケースと、レタス半切れ、キュウリ1本に食パンを買った。全部で500円を超えなかったことに、なんともいえない喜びを感じた。レジのデジタル数字を見つめてほくそ笑む郁雄を、レジ係のおばさんが怪訝そうに横眼使いで睨むのだった。(つづく)
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