八ヶ岳にある薬草・樹木 と 男の腕まくり

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思い出の木

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イチイ

イチイ  Taxus cuspidate                 イチイ科 
北海道はオンコ、山梨はヘダ                             
 家の生け垣や庭木として植えられていることも多く、子供の頃は「オンコ、オンコの実」と言って、近所の家のイチイの実を食したものである。北海道では、今は阿寒湖畔周辺、美幌峠、屈斜路湖周辺など観光地だけに天然分布が限定されてといると聞いたが、元々は道内のイチイの天然分布は多かった。種子を包んだ赤い肉質の仮種皮はゼリー状で甘く、よく競って食した。 しかし、中のタネが有毒だと知ったのは大人になってからである。調べてみると、主要物質はタキシンであり、これは英語の毒素=toxinの語源といっしょで、つまりは『イチイ=毒』なのである。鳥はこのイチイの実を食べるが種子は糞とともに体外に排出する。しかし、人間が食べられるのだろうと、種子ごと飲み込んでしまうと、四、五粒で呼吸・心臓麻痺、一瞬のうちに心臓停止で死に至るらしい。 子供の頃によくも事故に会わなかったと思うと恐ろしい。  
 なぜ、種子に毒があるのだろうか、おそらく種子の分散繁殖に関係すると思われる。樹木の繁殖は、樹木出現の最初は、風散布であったろう。針葉樹がたいていそうである。種子に羽根がついていて風散布するのである。広葉樹の中でも比較的古いカバノキ科、ヤナギ科などは風散布、カエデ科も羽根で舞うのである。そして針葉樹で風散布の例外がイチイ科、イチョウ科、マキ科、イヌガヤ科である。これは進化の後期に属すのであろうか、とにかく液果のイチイ、イチョウは後の広葉樹に受け継ぐべく針葉樹群から進化していったと思われる。イチイ種子の鳥散布であるが果肉は食べられてもよいが、タネは食べられてはこまるので、毒を含ませた種子をはき出すための戦略を生み出したのではなかろうか?この毒を混ぜるのは広葉樹のナラやトチノキに受け継がれている。ナラはタンニンを、トチノキはサポニンを混ぜている。一般の広葉樹には毒を混ぜなかった。なぜなら、鳥や動物の胃腸を通過しても消化酵素によって溶けることのないよう、種子の外皮を堅固な構造にする戦略をとっているからだとおもう。  
オンコの呼び名は、北海道、東北地方で呼ばれ、アイヌ語からきたらしく、アイヌの人々は「神の木」と呼んでいた。
山梨県では富士山北麓に多く、忍野では「ヘダの木」と呼んでおり、民家の垣根に好んで植えられている。それは、イチイが干ばつにも強く、庭木には適当な生育で手入れが容易なのが特徴で、夏でも涼しい忍野のような高冷地の気候が適しているからである。忍野村には珍しいイチイの群集や樹齢三〇〇年以上もの巨木がたくさんある。特に忍草浅間神社の境内にあるイチイの群集は樹齢四五〇年と推定され、神社を守ってきた巨木群には目を引くものがある。また巨木としては山梨県指定になっている七面山の大イチイがある。この大木は周囲六.一m、樹高二三mもありもあり、みごとである。
イチイは、アララギの別名がある。歌人・斎藤茂吉らの「アララギ派」はこの木をシンボルとしている。
 イチイの名前は、仁徳天皇が即位の儀式に、飛騨川の水源である位山(くらいやま)の「いちいのき」で作り、この木でつくった最初の笏と衣桁(いこう)を献上した一一五九年(平治元年)の記録が山麓の水無神社に残っている。このとき優れた用材と認められ、木に「正一位」の位を賜り、「一位の木」と呼ばれるようになったと伝えられる。
 樹皮はスギと似ているが、スギよりもっと赤みが強い赤褐色で、スギよりもっと細かい縦の割れ目があり、葉はモミの木に似ているが、もっと細くて軟らかく、とがってはいるが葉先にさわっても痛くない。
 イチイは秋になって、本当に真っ赤なルビーのようにきれいな実をつける。 全部の木につけるのではなくて、雌の木だけにつける雌雄異株である。 イチイは実も赤いが、木材にした時の心材も赤っぽい。スギやネズコなどより赤みが強く、また成長が遅いので年輪が緻密で、材としてもスギやネズコより比重が大きい。 針葉樹の中ではかなり堅い材に属し、材の強度も充分ある。 また年輪が細かく、木理は通直で、木の肌もなめらかで光沢があり、優美な感じがする。さらに板の反りや割れも少なく、材が重厚な割に切削などの加工も容易である。 つまり、大きな大木が少ないということを除けば、材としては非常に優れた材と言える。また、これほど木工に好適な材はまず見当たらないとさえ言える優良材である。
  建築材や家具につかえるほどの量は確保できなくなったので、現在使われるものは、彫刻など小さくて高価なものの原材料である。赤くて艶がある材質が珍重がられるので、寄木細工や象眼細工の材料となることも多い。 飛騨の高山では、「一位一刀彫」という伝統の工芸があり、現在でも沢山の彫刻師たちがいる。
樺太では、果実を脚気の薬、及び利尿剤とした。また内皮を煎じて下痢止めにした。一般には、葉を利尿、通経、糖尿の薬とし、果実を咳止めや下痢止めに用いている。
欧州ではもっとも貴重な造園木であり、トピアリーといって造形的な刈り込みにしたりし、史的名木、巨樹、老樹は保護されている。伝説や詩歌に多く現れる。一般的に墓の木Church-yard tree、 Church-yard Yew、あるいは葬送の樹Funeral treeと呼んでいる。英国で最も古い木のひとつとされ、少なくとも9000年前からの生息が認められている。長生きする木として知られることから、墓地に植える習慣ができたという。
イチイと教会、イチイと牧師にまつわる話も多い。英文学に現れる巨木は多くはイチイとオーク(カシ)である。たとえば、リチャード王に忠誠を誓ったロビンフッドだが、王の死後、討ち取られることになった。新しい王の部下と戦い傷ついた彼は矢の落ちたところに埋葬してくれと、リトルジョンに頼むと、その矢はイチイの木の根元にささったという。
 かつてウェールズでは各種の樹木に課税する法律がしかれたことがあり、なぜ牧師なのかわからないが、牧師の使うヨーロッパイチイに一ポンド(一七〇円)、ヤドリギの枝に六〇ペンス、サンザシに七ペンス半、その他の樹木に一ペンスを課したという。欧州各国では三大老樹種と呼んで、オーク、シダーと共に愛護している。英国の老木には周囲八m、樹齢二〇〇〇年といわれるものがあるそうだ。この牧師への課税は、御神木的に教会のシンボルツリーとして植えられているが故、保護する意味であったのであろう。
近年イチイの皮に含まれる物質から 乳癌の特効薬が発見され治療に成功している。治療に成木二本が必要といわれアメリカのイチイが激減しているという。
 花言葉は「高尚」。 


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