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シラベ(シラビソ)Abies veitchiii モミ属 マツ科
クリスマスツリーはモミの木となっている。歌では「オー、タネンバウム、オー、タネンバウム〜、」ドイツ語でタンネンバウムはモミの木、本当にモミなのか?本場ドイツでは元々はヨーロッパモミ(Abies alba)だったと思うが、現在はほとんどなく、クリスマスツリーとして使われているのは大抵ドイツトウヒ(ヨーロッパトウヒ)(Picea abies)である。
では日本ではどうか?私がクリスマスシーズンに売られているのを見た限りでは、モミ属(Abies)とトウヒ属(Picea)で、このリースに用いたシラベ(Abies veitchii)か、ウラジロモミ、ヨーロッパトウ(Picea Abies)である。北海道ではトドマツ(Abies sachalinencis)、エゾマツ(Picea jezoensis)が一般的に使われる。モミは痛くて扱いにくく、上記のモミ属、トウヒ属の樹種は栽培しやすことから、普及するようになったのであろう。山梨の花屋さんの店先では、したがってクリスマスの「モミの木」というのも、正確にはシラベ、ウラジロモミ、ドイツトウヒで違うということになる。アメリカ産の組み立て式のクリスマスツリーを見たことがあるが、これはホワイトパイン(Pinus storobus)を模っていた。
このクリスマスシーズンになれば、あちこちで見かけるクリスマスツリー、その由来はなんであろうか。イエスキリスト誕生の地イスラエルの地には、モミは無い。もしその地の常緑樹ではじまったとするならば、レバノンシーダー(スギ)(Cedrus libani)、イトスギ(Cupressus senpervirens)とかでなければならない。そうなると、さしずめ日本ではヒマラヤスギ(Cedrus deodro)とかにるはずである。
そんな疑問からなぜモミになったのか調べたことがある。
この由来は八世紀のやはりドイツにさかのぼると言われている。当時のドイツには、ドルイド教団(キリスト教に改宗する以前の古代ケルト族の僧・妖術師・詩人・裁判官など)と呼ばれる人たちがいた。彼らはオーク(木)を崇拝し、幼児犠牲を捧げていた。伝説によると、イングランドからの伝道者であるボニファティウスが、それを止めさせようとしてオークを切り倒した時、一本のモミの若木に変わる奇跡が起こった。それを記念するためドイツではモミの木をクリスマスに植えるようになったということである。また、一六世紀のこと、有名な宗教改革者マルチン・ルターがクリスマスイブ礼拝の帰り道、森の中で常緑樹の枝の合間にまばゆく輝く無数の星を見、その美しさに打たれたルターは、それを子供たちのために再現しようと、家の中に木を持ち込み、火を灯したろうそくを枝にくくりつけたそうである。それから、ドイツではクリスマスツリーが一般的になり、次第に色々なオーナメントが飾り付けられるようになってきということである。クリスマスツリーの習慣は、ドイツからの移民たちによって一九世紀初頭にはアメリカへと伝えられた言い伝えがある。
また、イギリスでは1841年、ビクトリア女王の夫君であるアルバート公がウィンザー宮殿でクリスマスツリーを飾り付けたのが始まりとされている。ツリーには必ず常緑樹を使う。この「常緑」、つまり強い生命力をもって一年中葉を茂らせる緑の姿は永遠をあらわし、さらに神の永遠の愛や、イエス・キリストが与える永遠の命を象徴している。
永遠の命の木の生命力にあやかろう、祝おうという習俗は、実に無数にある。古代ローマの時代から、ローマ人達は季節ごとに月桂樹の枝を戸口に飾っていた。また、クリスマスが近付くと、時代が経つにつれ、クリスマスの間にモミの若枝を天井からぶら下げて飾るようになってきた。今でいう「クリスマスのリース」であろう。これが今から300年程前頃には、現代のような、木の枝に林檎やお菓子を下げ、蝋燭を点けたものになっていたようである。木に吊るされる玉は本来リンゴ、つまり生命の果実である。吊るされる人形は、古い異教の信仰の「木に吊るされた生け贄」の代用からはじまったという説もある。
世界的に見れば、木を運び込んで飾り付け、祀るのは、しばしば見られる。西欧の「五月柱(メイ・ポール)」、日本にも同様のものはある。例えば七夕の笹。地方によっては、小正月(旧暦の正月)には木の枝(ミズキ)に、紅白の小餅を花のようにくっつけて飾り付ける。
ツリーの先端に飾られる星は、三人の博士を幼子キリストの元へ導いた”ベツレヘムの星”を表している。
ちなみにクリスマスにはヒイラギ(Osmanthus heterophyllus)のリースも持ちいられる。この意味は、やはりイエスキリストに関わることで、イエスキリストが十字架につけられる前にいばらの冠をかぶらされた。刺(とげ)のようなヒイラギの葉は、そのいばらの冠を象徴している。また、赤い実をつけるが、その赤い実は私たちの救いのためにイエスキリストが流した血を、そして緑の葉はやはり永遠の命をあらわしている。クリスマスはイエスキリストの誕生を祝うお祭りと考えるが、信仰的にはキリストの十字架の死と復活まで意識したお祭りなのである。
花言葉は「高尚、時、昇進」
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