林誠司 俳句オデッセイ

1月からヨークカルチャーセンター俳句講座(松戸市八柱・第3月曜日)始まります。ご参加ください!

全体表示

[ リスト ]

小島健

白き花ふえて卯の花腐しかな     小島 健

(しろきはな ふえて うのはなくたしかな)


最新句集『蛍光』より。

その他の収録句に、


水吐いて蛸逃げゆけり春の昼

(みずはいて たこにげゆけり はるのくれ)

歌垣の山のかたぶく春の暮

(うたがきの やまのかたぶく はるのくれ)

空と地に桐の花おく淋しさよ

(そらとちに きりのはなおく さびしさよ)

橋の上に人をあつめて海月かな

(はしのうえに ひとをあつめて くらげかな)

紙風船男がついて凹ませり

(かみふうせん おとこがついて へこませり)

薄氷の岸を離れて水の色

(うすらいの きしをはなれて みずのいろ)

妻とよく歩くこのごろ心太

(つまとよく あるくこのごろ ところてん)


などがある。
至る所に秀句がみられる好著である。

初夏の季語「卯の花腐し」はなかなか難しい季語だ。
「卯の花腐し」は、旧暦四月(卯月)の頃の雨で、そのころに咲く卯の花を腐らせるようにして降りつづく雨のことを言う。


さす傘も卯の花腐しもちおもり  久保田万太郎

朝食や卯の花腐したのしみて   阿波野青畝

卯の花腐し君出棺の時と思ふ   石田波郷



万葉の頃から親しまれた言葉であり、先人たちにも名句がある。
それゆえかもしれないが、最近はなかなか「卯の花腐し」のよい句に出会ったことが無い。
いやむしろ、情緒のとても深い季語なので、そこそこの句が安易に出来てしまっている、ということが言えるだろうか。

私なども何度か挑戦したことがあるが納得した句が出来ていない。

さて、掲句であるが、「白き花」とはまず卯の花のことであろうが、それ以外にも白く可憐な花がちらほらと見られるのであろう。

白い花は初夏の頃にふさわしい。
先人たちは、長雨によって、その白い可憐な花を愛でることができないことを惜しみ、その雨を「卯の花腐し」と名付けたのであろう。

掲句は、その季語の持つ本意・本情をよく踏まえている。

周りに知らぬ間に、白い花が増えてきた。
作者は、先人たちの心を踏まえながら、「卯の花腐し」の情緒を楽しんでいるのである。

この記事に

閉じる コメント(2)

顔アイコン

なにげない言葉で、なにげないことを、なにげなく唄う。
だけれども、みんな、その出来事が、瞬間のことのように思われる。
そんな気分にさせる句ばかりです。
このなにげなさの境地には、だれしもが達することが出来ないそういう境地なのだろう。
いつも、勉強になる評です。

2008/9/3(水) 午後 9:55 大介 返信する

顔アイコン

大介さん ありがとうございます。

2012/10/7(日) 午後 11:39 セセエト 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事