林誠司 俳句オデッセイ

9月、杉並区荻窪で、松尾芭蕉「おくのほそ道」講座を行います!

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しつかりと見ておけと滝凍りけり     今瀬剛一(いませ・ごういち)

 
この凍滝は茨城県北部、大子町にある袋田の滝(ふくろだのたき)である。
袋田の滝は、日本の三名瀑の一つに数えられる勇壮な滝だ。
大きな岩盤のような山の頂から、噴き出すように滝が落下する。
「凍滝(いてだき)」としても有名で、厳冬の日は滝が氷り、豪壮な自然美を見せてくれる。
 
掲句は、この勇壮さと美しさを持った凍滝の迫力を見事にとらえている。
作者は、滝がおのれの凍りゆくさまを「しっかりと見ておけ」と呼びかけられたように感じたのだ。
特徴的なのは、凍滝の様子を全く説明していないにも関わらず、凍滝の圧倒的な姿がありありと浮かんでくるところだ。
このことから、俳句はこまごまと「モノ」を写生しなくても、十分に「ものの光り」を表現しうる文芸であることがわかる。
俳句という短詩は、言葉による読み手の経験・体験、または感性に基づくイマジネーションが大きな力となっているのだ。

ところで、凍滝は何を「しっかりと見ておけ」といったのであろうか。
もちろんそれは、凍滝の雄大な姿であるが、さらに言えば、千変万化する森羅万象すべての大きな姿なのだ。
滝と真向かいながら、「おまえはどうなんだ」「おまえもそうであろう」と言われているかのように、作者は自分の生きざまを考えている。

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「しっかりと見ておけ」ということばの中に、凍滝の迫ってくるような自然の姿が表されてますね。すごいですね!

2007/1/16(火) 午後 5:44 じゅんママ 返信する

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「言葉の迫力」を感じますね。

2007/1/16(火) 午後 7:46 セセエト 返信する

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袋田の滝、夏は見た事がありますが、冬に一度はと思いつつ、今まで来ました。あの滝が、凍滝となった姿は、それこそ、見たくなくとも全貌を露にする。氷の世界。凍滝でこのような滝は、ないのではないでしょうか。そこを、俳句にする力、凄いですね。

2007/1/16(火) 午後 9:43 大介 返信する

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僕は一度冬に行きましたが、残念ながら凍っていませんでした。温暖化の影響で凍る日が少なくなっているそうですよ。

2007/1/16(火) 午後 11:10 セセエト 返信する

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