林誠司 俳句オデッセイ

1月からヨークカルチャーセンター俳句講座(松戸市八柱・第3月曜日)始まります。ご参加ください!

全体表示

[ リスト ]

薄氷の終はりはいつも火のごとく  加藤かな文(かとう・かなぶん)


「家」所属。
愛知県生まれ、愛知在住。
文章にも長けた40代の精鋭である。

「薄氷(うすらい)」は、水たまりやバケツに張る春の薄い氷のこと。冬の場合は寒さが厳しいので「厚氷(あつごおり)」である。

この句の感覚の冴えは素晴らしい。
凄まじささえ感じる。

一般的に感覚を全面に出す作品は、感覚に頼りすぎるためか、本格的な写生句と較べると一句の立ち姿が弱々しく、重量感が足りないのだが、加藤氏の作品は、感覚の冴えを存分に発揮しながら、迫力もあり、すっきりとした立ち姿になっている。
技術的土台をしっかりと鍛えた上での観念であるからだろう。

薄氷は日が高くなるにつれ小さくなり、水面を漂っていたりする。
そしてゆっくりと解けて消えてゆくのだが、その氷が消滅する瞬間を「火のごとく」と捉えた眼は鋭い。
まるで消滅した瞬間に煙が立ちあがっているかのような光景が眼前に浮かんでくる。

この句、「いつも」という、曖昧な表現ゆえに感覚句、観念句となっているが、それ以外は、厳しい写生眼によって支えられている。

「いつも」という表現を“感覚の冴え”と見るか、“写生から逃避した安易な表現”と見るかは、見解の分かれるところだが、現代の新しい表現感覚に充ちた作品である。

この記事に

閉じる コメント(6)

顔アイコン

批評が素晴らしいので、どんな句でも、素晴らしく思えるような気がいたします。実に要点を突いた批評です。確かに、「いつも」はなくとも俳句として立派に、自律する気がいたします。火のごとくの措辞が見事です。

2007/2/6(火) 午後 9:36 大介 返信する

顔アイコン

大介さんの仰るとおりです。見事さと疑問の両方がありますが、名句というのはいつでも賛否両論あるわけで、この句も名句の条件を持っているかもしれません。

2007/2/6(火) 午後 11:17 セセエト 返信する

顔アイコン

俳句の観賞が深く、私なんかの力ではまだまだ理解しきれないところもありますが、このブログで勉強していきたいと思っています。少なくとも「火の如く」の措辞、私だったら思い浮かびません。

2007/2/7(水) 午前 9:28 sak**238* 返信する

顔アイコン

すみません、説明してもらって、やっと情景がわかりました(^_^;)

2007/2/7(水) 午後 8:58 [ あーちゃん ] 返信する

顔アイコン

SAKIさん そんなことありません。ちょっと説明不足だったでしょうか? 反省…。

2007/2/7(水) 午後 9:25 セセエト 返信する

顔アイコン

ジュンママさん あら、ちょっと難しかったですかね。僕が一人で感心してるだけでしょうか?(笑)

2007/2/7(水) 午後 9:27 セセエト 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事