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先日 実家に帰った時 部屋にあった
「少年時代」という漫画を読みました。 ずいぶん前に買って、一回読みましたが、なんとも後味の悪い漫画だったなという印象しかなくて、その後、いくら暇な時でも読み返してみようという気にはならない本のうちの一冊だったのですが どういうわけか 妙に惹かれるものがあって手に取ったのです。 後味の悪いはずの漫画で、あらすじもだいたい憶えているにも拘わらず、ひどく惹かれるものがあって夜遅くまでかかって最後まで読み通しました。 確かに陰惨な部分もありますが、依然読んだ時よりはずっと好印象でした 5人組というグループを作り、リーダー(私ではありませんよ^^;)の気にくわない奴を「絶交」扱いにして 残りのみんなで無視し、いたぶっていたかと思うと今度は別の奴が「絶交」対象となり、それまで「絶交」されていた奴は許されて、いたぶる方に回るという、なにやら作品の中の少年達と似たような事をしてきた自分の小学校中学年の頃を思い出して、こういう話もありだよな、不自然に仲良しこよしの話なんかよりもずっとリアルでいけてるって感じたわけです。 本の末尾にある解説みたいなところを見ると、なにやら原作みたいな物があるやに書かれており ネットで調べてみると、芥川賞作家である 柏原兵三氏の「長い道」 がそれであると判明。アマゾンで購入して読んでみました。 漫画よりも少年達の人物像であるとか、微妙な人間関係が詳細に描かれており、とりわけ主人公の葛藤とか揺れ動く心のありようが詳しく描かれていて、読み応えのある内容でした。かなりの長編にも拘わらず一気に読んでしまいました。 いろいろ感想はもちましたが、一番印象に残った(感情移入できた)のは、主人公をいたぶり続けたものの最後にはクラス中の児童から虐め蔑まれる対象に没落してしまった「進」君(漫画ではタケシだったかな?)のことです。主人公の「潔」にはとうとう最後まで感情移入できませんでしたね。なんだかんだ言うものの、最後の最後までへたれで、そのくせプライドだけは強くて、なんだか「北の国から」の初めの頃の「純」みたいでした。 「純」はその後、北の国の自然や人々の営みや、生き様に触れるうちに、どんどんたくましい北の国の少年に成長していきましたが、「潔」は最後の最後までへたれだったくせに、その自分のふがいなさを言いくるめる屁理屈だけは卓越しており、そんなもやしッコぶりに ほとほと嫌気がさしました しかし、「進」はいい。 権力を握っていた時の、時には潔を真の友人のように扱いながらも、時には先頭にたっていじめ抜くあの感じは、どこか恋愛もどきでゾクゾクしますが、没落したあともじつにいい。 いくら殴られても超然としている感じは、読んでいてほれぼれしました。 私はいろいろ「進」の心内を想像してみたわけですが(これは本編の最後らへんに、著者も進の感想として触れておりましたが)、この富山の田舎の子供達の中で一番の被害者は「進」だよなと思いました。 たしかに東京から縁故疎開してきた潔は、「理不尽な」虐めをうけ、なんで自分がこんな理由のない虐めをうけなければならないのかと悶々とするわけですが、一見「理不尽な」ように見える一連の行為にも土地の人間というか、進サイドとしては ぜんぜん「理不尽」なんかではなく、それ相応の理由があったということです。 進は潔が転校してくるまでは、それほど権力を振り回す事もなかった。権力を振り回さなくても、級長として人望をあつめ、許すところは許し、許さざるべきところは厳しく迫ってクラスの治安を維持していた(ようすだ)が、潔という東京の優等生が転校してきてから、その人間関係のバランスが大きく崩れていった。進はその崩れたバランスをもとに戻そうと相当な無理、自らはしたくもなかった無理を強いられるようになったわけですよ。わざわざ示さなくてもみんな知っていたはずの権力を、必要以上に他を絶対服従させることで、潔にみせつけ、そのことで自分の地位を潔がおびやかさないようにしたし、そのことには成功したけれど、逆にそのことで、それまで、進の権力を多少不満は感じながらもしぶしぶ認めてきた児童の鬱憤に火をつけることになってしまった。 没落した後の進の気持ちはなんとなくわかるような気がします。 進はそれで気が楽になったんですよ。 自らの権力を維持するために、権謀術数をめぐらせて必死になっていたころよりも、ずっと気楽にすごせていたのだと思うんです。いざとなれば本気になって策をめぐらせて、必死になってやれば、進が再び権力を手にすることもできたと思うわけですが、進はあえてそれをしなかった。進には、もうそれが魅力のないことだったんだと思う。はやく中学校に進んで、こんな面倒くさい世界からは抜け出したいとでも思っていたのではないでしょうか。 それは主人公の潔が、繰り返し繰り返し自分に言い聞かせるように考えていたことだけど、結局潔はその面倒くさい世界から、自分の力では抜け出すことができなかったけど、進は自分が没落し、甘んじてその状況を認め続けることで、早々にその面倒くさい子供の世界から足を洗うことができたそう思うのです。 そして、そこのところが、進という人物を人一倍魅力的にしているのだと。そう思うのです。 潔ではなく、進を主人公にして、同じ物語を書き換えたらどんな話になるかなって考えたら、ひどく魅力的な感じがしてゾクゾクしましたね。いつか、そういう話を書いてみたいものです。 ちなみに、昨日、映画の「少年時代」を見てみようと思って、ツタヤに行きましたが、ツタヤでは扱っていないとのことでした。またアマゾンで購入してみようかなと思っています。 |
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ほんま、久しぶりの更新だね。オレ、この漫画、知っている。確かに、何か、後味悪かった。最後に、タケシが主人公を見送る場面か何か、あったかな。少年雑誌にしては、ひねりが効き過ぎたストーリーって感じかな。原作や、映画は見ていません。
2014/5/6(火) 午後 8:15 [ 輪太郎 ]
進への共感について、私も貴記事を読ませて頂いて、そうなのか、と共感しました。この小説を読んでほぼ1年たち、いま心静かに思うとご指摘に納得した次第です。ついでにTBもさせて頂きました。ご笑覧いただければ幸甚。
2015/6/8(月) 午前 1:23 [ renqing ]
> renqingさん
最近ブログを更新しておらず 書き込みも見ていなかったため
返信が遅れました もうし訳ありません これに懲りず寄ってみてください
2015/6/17(水) 午後 7:52 [ seijiseiji ]