|
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050525-00000000-san-pol&kz=pol
中国副首相、突然の帰国 「靖国発言」が原因 報道官、対日強硬に転換
【北京=伊藤正】中国の呉儀副首相が二十三日、小泉純一郎首相との会談を急遽(きゅうきょ)取りやめて帰国した問題は、改善軌道に乗りつつあった日中関係を再び緊張させた。中国外務省は二十四日、靖国神社参拝をめぐる小泉首相や武部勤自民党幹事長の発言が副首相の緊急帰国の理由だったと認め、日本側の批判に真っ向から反論、対決姿勢をにじませた。国内の反日世論を背景に胡錦濤政権が今後、対日圧力を強めるのは必至な形勢で、民間交流にも影響は避けられないとみられている。
日中関係は四月に中国各地で発生した反日デモで深刻な事態に陥ったが、中国側は日中の経済関係などへの影響や国際的批判を考慮し、反日デモを抑制する一方、両国は同月後半、外相会談や首脳会談を通じ、関係修復に動いた。
五月の外相会談で合意した呉儀副首相の訪日は「関係改善・発展の一歩」(中国外務省報道官)だったが、副首相は突然、「緊急な公務のため」との理由で小泉首相との会談をキャンセルして帰国。河野洋平衆院議長との会談や日本経団連主催の講演はこなし、二十四日からのモンゴル訪問も予定通りだったことなどから、日本側では「非礼」との批判が噴出した。
中国外務省は二十三日夕、「重要な緊急公務を処理するため」との報道官談話を出したが、数時間後、孔泉報道官の談話で「日本の指導者の靖国神社参拝に関する発言」を批判した。その談話では、副首相帰国の理由との指摘は避けていたが、孔報道官は二十四日午後の記者会見では、名指しは避けつつも小泉、武部両氏の「靖国参拝批判は内政干渉」との発言を手厳しく非難した。
小泉首相の発言は呉副首相訪日前日の十六日の国会答弁。その内容は人民日報など主要紙が報じていたが、孔泉報道官は十九日の記者会見では、呉氏と小泉首相の会談について「極めて重要」と期待を表明していた。それが一転したのは、訪中した武部氏と中国共産党対外連絡部長の王家瑞氏の二十一日の会談が契機だったとみられている。
この翌日、武部氏らと会談した胡錦濤主席は、小泉首相の靖国参拝継続姿勢を約束違反と強く批判、この後、呉副首相の繰り上げ帰国が決まったようだ。しかし、奇妙なことに中国では胡主席の靖国問題に関する報道はなく、呉副首相の帰国理由も「公務のため」との虚偽の名目を立てた。
これについて、中国筋は「国内世論への刺激を避けると同時に、日中関係への影響を避けるため」とし、その後の日本側の「対中批判」に党中央が外交当局に反撃を指示したとの見方を示した。同筋によると、政権内部には対日政策をめぐる対立があり、今回の問題では温家宝首相らの強硬意見が大勢を占めたと推測されるという。
二十四日付の中国各紙は前夜の孔泉報道官談話を一斉に報道、インターネット上には再び対日批判の書き込みが殺到した。孔報道官は対日戦勝六十周年という敏感な年に、日本の指導者が歴史を反省しない言動を重ねるのは無責任とし、反日デモ発生当時と同様、責任は日本側にあるとの立場を強調した。
中国側が今後、対日攻撃を激化させた場合、日中関係全般に影響が及ぶ可能性もある。ある外交筋は、胡錦濤政権が愛国主義教育を求心力にしている点に不安を示しつつ「中国にとっても利益の大きい日本との実務関係への影響は限定的ではないか」とし、「政冷経熱」が続くと述べた。
|