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「敷金・礼金ゼロ」物件の落とし穴
東京などの大都市で「敷金・礼金がゼロ」をうたう民間賃貸アパートが急増中だ。「初期費用がかからない」と大学生や若い独身社会人などに人気になっている。しかしこの“ゼロ・ゼロ物件”入居には意外な落とし穴が待ち構えている。一体、どこが危ないのか――。
●神奈川県の消費者被害救済委員会が初の仲裁
すでに“ゼロ・ゼロ物件”の落とし穴を物語るようなトラブルが神奈川県で表面化している。同県消費者被害救済委員会が、賃貸アパート仲介業者と“住人”の仲裁に乗り出し、今年2月に決着したのだ。このケースはゼロ・ゼロ物件入居を巡るトラブルで、公的機関が仲裁した第1号になった。
紛争事件の概要はこうだ。昨年3月末、神奈川県内に住む女性が4月20日に入居予定のゼロ・ゼロ物件のアパートの賃貸借契約を結んだ。しかし、自己都合で入居前の4月15日に解約を申し出た。契約時に敷金・礼金ゼロの代わりに会員になるための入会金と年会費に加えて家賃(4月の11日分と5月分)など合計21万円余を支払った。
解約の申し出に対して業者は入会金や年会費、部屋の清掃代(未入居なのに)などを差し引き、彼女にたった3000円弱しか返金しなかった。「家賃の支払いは仕方ないが、それ以外の負担は納得できない」とした彼女は、斡旋による解決を委員会に付託した。
委員会は両者から事情聴取を行い、その結果、「広告で『敷金・礼金ゼロ』とうたっているのであれば、会員制と称して家賃の1〜2カ月分に相当する入会金と年会費の費用負担が前提であることは疑問といえる」と判断。約16万円を女性に返金する斡旋案を提示し、これを双方が合意したため決着がついた。
●退去時には原状回復の費用も必要
ゼロ・ゼロ物件の事情に詳しく、敷金返還トラブルの解決も行っているNPO法人「日本住宅性能検査協会」理事長の大谷昭二氏が言う。
「ゼロ・ゼロ物件が増えてきたのは、賃貸アパートの過当競争が背景になっています。初期費用をかけずに済むというイメージを植えつけることで、入居希望者を集める作戦です。しかし、実態はまったく違います。敷金・礼金が不要の代わりに、神奈川県のケースのように会員制とした上で入会金と年会費を取ったり、『保証金』や『内装費』などの名目で家賃の1カ月分を取る業者もいます。入居希望者は、契約前に業者から説明を受けますが、“それなら入居をやめる”という人は少ないのです。断った場合、また物件を探さなければならないですからね」
しかも退去時には利用していた部屋の原状を回復する必要があるので、さらに別途費用がかかるケースが多い。
「退去時に業者の担当スタッフが部屋をチェックします。民間賃貸住宅では貸主と借り主のルールを定めた国土交通省の原状回復のためのガイドラインはありますが、チェック法はガイドラインを無視し、借り主に有無を言わせない一方的なやり方です。部屋の原状回復費用の相場は10万から20万円。不満はあっても大学生や社会人になってまだ日が浅い人たちですので、大半が泣き寝入りです」(大谷氏)
●対策は消費者相談室に真っ先に行くこと
できればトラブルは避けたい。打つ手はないのか。
「裁判で“ゼロ・ゼロ物件は違法”と判決が出ていませんので、業者は“野放し状態”です。できることは、自治体の消費者相談室に駆け込むことと、退去時の原状回復費用を安く済ませること。もしも立ち会いを依頼されたら、退去当日に私が出向き、費用の交渉を行います」(大谷氏)
その立ち会い費用は1回2万3000円。
ゼロ・ゼロ物件は何かと“問題あり”だ。
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