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「信じられない……どうして、あたしがこんなところに……」
たしか、今さっきまで夜汽車に乗っていたはず。
ブルートレイン『北斗星一号』。北海道への旅。
愛するべビィ・双子の星丸と宙美……そして、愛する夫・宙太を残して……旅の目的は、あの人に……星子が命よりも大事に想うあの人に、会うため……。
名は、十文字右京。ルックスもハートも、五つ星クラスの青年弁護士だ。
その右京が北国の地の果てで、重い病に倒れ、吹雪に閉ざされた病院に一人ぽっちで入院しているという。
医者の話では、助からないかも知れないと……。
そんな話しを親友の春之助から聞いた星子、何もかも捨てて、上野駅発の『北斗星1号』に飛び乗った。それがどんなに罪深いことか、自分でも良くわかっている。でも、心の底から吹き上がる熱い想いはどうにも止めようがなかった。
「ごめんなさい、宙太さん。ごめんね、星丸、宙美ちゃん。許せないだろうけど、許して」
窓の外を流れる吹雪まじりの夜の闇に向かい、涙ながらに訴えた星子だった。
ところが、夜汽車がトンネルに入って間もなく、車内が真っ暗になり、じきに、目もくらむようなまぶしい光りがいっぱいに広がったと思うと、星子の体はその光に包まれ、ものすごい勢いで回りだして、たまらずに気を失った。
それからどれくらいたったのか、気がついたときには、星子、東京駅の中央通路に立っていた……というわけだ。
ううん、見覚えがあるのは場所だけじゃなかった。電光時計に表示される年月日や時刻を見て、ビックリ。
だって、ほとんど、あの時のまんま。あの時っていうのは、星子が、ほら、東京駅からブルートレイン『さくら』で長崎へはじめての一人旅に出かけたあの記念すべき日のあの時間だ。『さくら』は、夕方の4時50分に発車したから、今はその少し前ってことになる。
もちろん、まだ、宙太と出会ってなんかいない。だから宙太と結婚もしていないし、したがって、カワイイ双子のべビィも生まれていない。それだけじゃない、右京にも、春之助にも、そして、つっぱり刑事・マサルにも、宙太の異母兄弟・ゲンジロウにも、さらに、旅先で知り合ったステキな男の子達とも、出会っていないわけ。
「……いったい、どういうことなんじゃぁ……」
はじめは、電光板の表示が間違っているのかと思った。でも、腕時計で確認したところ、西暦も月日も時間も電光板の表示と同じ。だけど、念には念を入れろっていうじゃない。でもって、すれ違う人に、
「す、すいませんっ、い、今、何年の何月何日、何時ですかーっ?」
うわずった声で聞いたが、相手はまともに答えてくれない。それどころか、ほとんどの人が無視、無視、無視。
ま、ムリもないよね。時間だけならともかく、年月日とくれば、「この子、おかしいんじゃない」と思って当然かも。それでも、親切そうなおばさんが、星子を気の毒そうな目で見ながら教えてくれた。
その年月日と時間は、電光掲示板とまったく同じ。茫然自失とパニックをミックスジュースにしてイッキ飲みした感じ。
そこへ、団体客のオジサンオバサンの大群がワーッと星子めがけて突進してきた。
あわてて脇へ逃げて、大きく深呼吸。すると、リュックの中からフニャーゴと間の抜けた大あくびが……むっくりと顔を出したのは、ドラネコのゴンベエくん。「せっかく、いい気持ちで昼寝していたのに、何事じゃい」ってな顔だ。
あ、もちろん、あらためて紹介するまでもなく、ゴンベエくん、星子のひとり旅にはなくてはならないガードマン猫であり、良きエスコート猫であります!……なんて、ちょっと、ほめすぎかな。肝心な時に役に立たない、タダメシ食らいのマイペース猫くんの印象が強いからして。
そのゴンベエを、星子、キッと睨みつけた。
「なによっ、他人事みたいな寝ぼけ顔して! どうなってんのか、ちゃんと、説明しなさいよ!」
ゴンベエ、そんな無茶な、ってな顔で、もう一度、大あくびしながら、フニャーゴとカワユクナイ声で鳴いた。
「ユメ?」
星子には、ゴンベエの鳴き声がそういっているように聞こえた。
(宙太からのメッセージ2)
ありがとう、プレゼントを楽しんでくれて。みんなの笑顔が見たいから、プロローグの続きをお見せしちゃいますか。今度はキッスじゃすまないぜ! なんちゃって。
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宙太さんっ! 超〜嬉しいプレゼントだけど、ヤバイです。 続きが気になって仕方ありません!!!
2006/12/25(月) 午後 10:38 [ makogizumo ]
ここまで読んでしまったら、もう一気に読みたくなったよぅ〜〜〜!!嬉しさと焦る気持ちでいっぱいです!!宙太さん〜〜どーにかしてぇ〜〜!!
2006/12/26(火) 午前 0:57
これをなんだと表現したらよいのかしら?今、現実には乗ることのできない『さくら』号まで^^;宙太さんと先生のカレンダーはまだクリスマスのままでしょうか?・・・追記:私が大好きなピアノ弾きさんはこんな風に言ってました。「長崎は『奇跡』の街」だと^^v
2006/12/26(火) 午前 3:08
続きがとっても気になります〜! なんか、初めて星子シリーズを読んだ頃がよみがえってくるような。楽しみです〜^^
2006/12/26(火) 午前 7:57
続きが気になります。楽しみ〜〜宙太さん素敵なプレゼントありがとうございます。
2006/12/26(火) 午前 8:55 [ しろ ]
タイムスリップを私達も味わえるんですね。異父兄弟のゲンジロウさんも元気でしょうか?私的にはちょっと苦手なキャラだったんですがもしかしたら本当は一番誠実な人なのかもと今この歳になって感じるようになりました。もう一度逢えたら彼の事理解できそうな気がします。
2006/12/26(火) 午前 9:02 [ sei*mu*ai ]