星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

新星子一人旅「長崎恋旅は魔女特急

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第二章 初恋は悲しや、一人旅

                 1

「君、星子さん……」
 やさしくささやく声が、すっごく、心地いい。
 んもぅ、甘えちゃうから、星子ぉ……カレの肩にもたれたところで、ガタンとゆれて目が覚めた。
 星子、ハンドルを握る乙女の左の肩にもたれているじゃないですか。
「ご、ごめんなさいっ」
 あわてて、姿勢を正す。ほんとは、もうちょっと、もたれていたかったりして、コラコラ。
 だけど、カレの横顔、やっぱり、似ている……あのリョウくんに……。
 もしかして、京乙女っていうのは偽名で、ほんとの名前は、疾風涼じゃ。
 乙女の横顔をジッと見上げた星子に、
「着いたよ」
 と、乙女がいった。
「え?」
「だから、長崎」
 乙女にいわれて助手席の窓から外を見ると、丘の上にステキな教会の礼拝堂が……どこかで見たような……そうか、浦上の天主堂だ。ということは、やっぱり、ここは長崎だよね。
 熊本でレンタカーを借りて、高速道路をすっとばしてきたわけだけど、思ったよりも早く着いたってわけ。
 だけど、ほんと、なつかしい……長崎……。
 星子がはじめての一人旅で訪れた街だった。あの波乱万丈の恋物語は、ここからはじまったといっても過言じゃない。
 ま、あたしの原点ってことかしらね。
 甘酸っぱい想いがこみ上げかけた時、ググーッ……お腹が、鳴った。もう、雰囲気、ぶち壊し。
「んもぅ、ゴンベエったら、はしたないな!」
 あわてて、ゴンベエのせいにする。
 ゴンベエ、そりゃないぜ、姐御、と、リュックサックの中でフニャーゴ。
 と、乙女、
「おなかすいたな。なにか、食べようか」
「ええ、どっちでも」
 なんて、カッコつけちゃって。
「でも、その前に、ちょっと、寄りたいところがあるんだ。いいかな?」
「あ、はい、もちろん」
 ほんとは、食べてからにして欲しいのにね。
 でも、立ち寄りたいところって、どこなんだろう。
 聞いてみたいけど、乙女の顔には、どこか思いつめたような雰囲気がある。声をかけるのは、ためらってしまう。
 市電通りを走って間もなく、クルマは小高い丘へと続く石畳の坂道の途中で停まった。下のほうには港が広がり、乙女梶野の向こうには、あ、グラバー邸が見えるじゃないですか。
 坂道の途中には小さな教会や古いレンガの石塀がずーと続いていて、いかにも、ここは長崎です、っていう感じ。
 乙女、エンジンを切ると、車の外へ出て、近くの道ばたに立つマリア像の前に歩み寄った。
 かわいい花が飾られた、高さ一メートルほどの石造りのマリア様で、かなり古そうだけど、とっても慈愛にあふれたお顔をしている。
 乙女、あたりを見回したあと、肩を落として、歯噛みしながら溜息をついた。なんとも、悲しそうな顔だった。
 どうしたんだろ、すっごく、わけありってな様子だけど。
 星子が見ていると、乙女、ふと、マリア像に手をのばして、マリア様の首にかけられたネックレスのようなものを手に取った。次の瞬間、乙女の顔がハッとなった。そして、ネックレスをギュッと握りしめて、こみあげるものを懸命にこらえている。
 もう、わけありもいいとこ。星子、助手席のドアを開けて、車の外へ出ると、乙女に近づこうとした。
その時、だった。
 教会から、人が出てくる気配がした。振り向くと、外国人の年取った牧師さんだ。
「しつれいですが、ちょっと……」
 その牧師さん、流暢な日本語で乙女に話しかけた。
「もしかして、あなたのお名前は、京乙女さんとおっしゃるのではありませんか?」
「え?」
 乙女、振り返ると、まじまじと牧師を見た。
「ええ、そうです。でも、どうして、僕の名前を……」
「茜さんとおっしゃるかたから、うかがっていました」
「えっ」
「ここであなたと待ち合わせていらしたとか。毎日のように、決まった時間にここへこられましてね。雪の日も、嵐の日も、日照りの日も、毎日、毎日……でも、結局、あなたとは会えずじまいで、そのネックレスをマリア様にことづけて、もし、京乙女という人がきたら、伝えて下さい。約束どおり、待っていたと……」
「!……」
 乙女の目に、涙が光った。
「……それって、いつのことでしょうか?……」
「たしか、二月の終わりの頃では……」
「今年ですか?」
「いいえ、もう、二年前になりますが」
「えっ、そんな!」
「いや、間違いありません、寝台特急『さくら』の最終列車が発車した日でしたからね」
「!……」
 乙女、うめくように声をあげると、その場にうずくまった。


                              (つづく)





追記
 ファンのかたから、星子の初恋の人は、他にいたはずだ、と、お叱りのコメントをいただきました。「ジョーカーは謎の旅先案内人」の第四話で、星子の初恋の相手は、小学校時代、となりのクラス委員・上杉幸次クンという子だ、とのこと。確認したところ、間違いないです。幸次クン、マサルによく似ているとも書いている。
 他にも、春之助はコバルト本では春之介じゃないのか、とか、リツ子の苗字が途中で変わったとか、宙太の母親の名前も途中から違っているとか、細かく、指摘されました。  やれやれ、そうか、そんなに違っていたか。本当に、申しわけありません。モノカキとして、一番恥ずかしいことです。読んでいて、さめてしまった、といわれても、仕方ないか。
 本当に、申しわけありません。今回登場の初恋のカレは、高校時代の初恋のヒトということで、ま、恋愛体験でいえば、思春期時代の恋が一番印象に残る恋だろうし、それを、本当の初恋と呼んでもいいのではないか、と、判断してくだされば、助かります。春チャンについては、次回から訂正しますので。


                            (以 上)

閉じる コメント(7)

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随分と長いシリーズでしたもの、仕方がないと思います。
それより、またこうして新たな星子サン一人旅が復活!
幸せです☆
首をながぁ〜くして、待ってた甲斐がありました。

2007/9/20(木) 午前 0:03 [ - ]

登場人物も多いですしね^^
私も宙太さんのお母さんの名前にアレ?って思った事ありますが…^^;そんなに気にしてませんよ。
新シリーズ、楽しんで書いて下さいねvvv

2007/9/20(木) 午前 1:14 [ - ]

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「これが初恋なんだ!」って思った恋は全部初恋だと思います^^私なんて、初恋3回はあります!だから大丈夫!(って何がでしょう…^^;)すっごく楽しんで読ませていただいてますよ♪ありがとうございます!

2007/9/20(木) 午後 4:44 [ りったん ]

センセー。。。タイトルの所のカウントが間違ってるよぉ〜〜
11ではなく12です!!
早く続き〜〜〜〜o(^O^)o

2007/9/20(木) 午後 9:23 かおりん

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ググーッとお腹がなっちゃうあたり、星子さんらしくて笑っちゃいました♪
細かい設定の勘違いなんか全然気になりません。
読んで楽しませていただいている私たち同様、先生も楽しんで書いていらっしゃるかどうかのほうが気になります(^^)。

2007/9/20(木) 午後 9:53 [ のりぷこ ]

あは、私は全然名前とかの設定、気がつきませんでした〜(笑
乙女さん、訳ありですネ〜! 続き、見に行きます〜!(←次の記事アップで新記事に気がつきました、汗

2007/9/20(木) 午後 10:52 くにざわゆう

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私は全然気にしてませんよ〜^^特に春ちゃんのことは全然気がつきませんでした★ファン失格かしら・・・
何より星子さんに会えて嬉しいです♪

2007/9/20(木) 午後 11:01 [ ミミ ]


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