星子&宙太yyy

ファンの集う癒しの小部屋です。

新星子一人旅「長崎恋旅は魔女特急

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 ……愛している人が、他の人の奥さんだなんて……それって、不倫……。
 不倫というと、どうしても、ちょっと、不潔っぽくてイヤラシイ感じがしてしまう。でも、乙女の物悲しそうな顔からは、そんな匂いはなかった。
 乙女、低い声でいった。
「僕は、きっぱりと別れるつもりだった。許されないことだからね……」
 やっぱり、純粋な人なんだ、乙女さんって。
「でも、出来なかった、どうしても……茜さんも、同じでね……」
「……」
 わかる、わかる、その気持ち。ほんとに人を好きなる気持ちって、もう、止められない。たとえ、カミサマに叱られようと。
(わたしだって、そうだったもん……)
 星子の脳裏を、右京の顔がかげろうのように流れた。
 ふいに、涙が目に……と、乙女、けげんそうに星子を見た。
「ん?」
「あ、な、なんでもないの」
 星子、あわてて、涙をぬぐった。話したって、乙女には信じてもらえそうにはないし、自分の胸にしまっておきたい。それにですよ、時空がこんなにずれてしまったんじゃ、右京さんとのことだって、なかったことかも……ううん、当然、そういうことになるんじゃ……。
 あの宙太さんさえ、このわたしを知らなかった。右京さんだけじゃない、マサルさんや春ちゃん達だって、このわたしを知っているはずが……。
 わぁ、やだやだ、そんなのやだ!
 思わず叫びそうになって、どうにか、呑み込む星子サンだ。
ま、それはさておいて、
「それで?……」
 星子、おずおずと乙女の横顔を見た。そのあと、どうなったのか、知りたい。人の恋路って気になる。乙女は初恋の人に似ているし、なおさらだった。
「……二人だけで遠くへいこうって……何もかも捨ててね……」
「……」
 なさぬ仲の恋の行く末は、別れるか、それとも、道行か……昔から、相場が決まっているよね。
「待ち合わせしたのは、さっきのマリア様の前さ。時間は二月二十八日の午後二時、そのあと、最終の『さくら』に乗って東京へいくつもりでいたんだ……」
「最終の『さくら』に?」
「うん、廃止になる『さくら』は、もう二度とこの長崎には戻ってこない。茜さんも二度と長崎へは戻らない。その気持ちを重ねたかったんだ……」
 そういうことだったのか。
「でも、あなた、ここへはこなかったんでしょ。どうして?……茜さんって人がそんなに強い気持ちでいたのに、どうして、これなかったの? 気持ちが変わったわけ?」
「いや、違う。僕は茜さんを迎えにいこうと、前の晩、つまり、二月二十七日、東京発の下りの『さくら』に乗ったんだ」
 乙女、真剣な眼差しで答えた。
「ところが、真夜中過ぎた頃、列車の中で、光の渦のようなものに巻き込まれてね」
「光の渦に……」
 そういえば、星子も、そんなことがあったような……やっぱり、真夜中過ぎた時間だった。今まで忘れていたけど、乙女の言葉に記憶がおぼろげだけど、よみがえってきたようだ。
「それで、気を失ったようになって、目が覚めたときには、『はやぶさ』に乗っていたってわけさ」
「……」
 そこも、星子と同じだ。
「だけど、どうして、いつの間にか時間が……それも、二年もたっているなんて……」
 乙女、混乱した顔でつぶやいた。
「これって、タイムスリップってやつかな。映画や小説の世界と思っていたのに……いったい、どうなっているんだ!」
「……」
 星子も、それが一番知りたい。原因がわからないと、もとの世界へは帰れなくなってしまう。
「……二年か……茜さん、どんな想いで僕を待っていたんだろう……」
 乙女、唇を噛み締めると、マリア像のほうへ目をやった。
「毎日、ここへきて、僕がくるのを待ち続けて……つらかったろうな、さぞかし……」
 乙女の切れ長の目に、キラッと涙が光った。
 星子も、胸の中がジーンと熱くなった。茜さんというヒトには会ったことはないけど、その時の姿を想像しただけでもつらくなってくる。
「きっと、僕を恨んでいるだろうな。裏切られたって……たぶん、そう思っているはずだ」
「そんな……」
「いや、そう思われても当然さ。おしまいだよ、もう。最悪だよっ」
 乙女の口から、呻くような声が漏れた。
「そんなことない……」
 星子、つぶやいた。
「そんなことないわ、ぜったい」
「え?」
「ほんとに愛しているんだったら、あなたを信じて待っているはずよ。それが、愛ってもんだわ」
 星子、乙女の横顔を強く見据えた。


                               (つづく)



追記  お墓参りに行ってきました。ものすごい暑さで、まいりました。ほんとに、今年の気候はおかしい。なにか、とんでもないことが起きるかも……コワイです……。

 ところで、今回で書きだめておいたぶんは終わりです。この先は、あらためて書くことになるので、時間を下さい。
 よろしく!

閉じる コメント(3)

確かに今年といわず、少しずつ季節が暦とずれているようなそんな感じさえありますね。
彼岸を迎えようとしてるのに暑いです。(とほ)

ところで「あらためて」ですか?
いろいろ感じるところもありますでしょうしね。楽しみに待ちたいと思います〜。

2007/9/22(土) 午後 7:26 みりぃ・ミラー

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茜さんがどういう気持ちで待っていたかと思うと切なくなります。
乙女さんと茜さんも気になりますが、星子さんと他のメンバーとの出会いも気になります!本当のシリーズのように1話ずつ出会っていったら嬉しいです♪
(それだけ沢山読める!)なーんて考える方はものすごく大変なんでしょうね。

今日、電気屋さんにストーブが並んでいました(^_^;)。

2007/9/22(土) 午後 10:53 [ のりぷこ ]

ここまで書き溜めていたんですねぇ〜
しっかり楽しませて頂きました。
あらためてって事は、またいっぱい書き溜めてからの発表になるのかなぁ・・・
楽しみにして待ってます!!
その時は、また私のブログでも紹介させて頂きます!!

2007/9/23(日) 午前 0:07 かおりん


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