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――本当に愛しているのなら、信じて待っているはずだ。それが、愛というものだから……。
星子、自分にいい聞かせるように、心の中でくり返した。
わたしは、もとの時空へ帰れると思って、この長崎へきた。もとの時空では、みんながわたしを待っている。また、みんなに会える、いとしい人にも逢える……そう思って、長崎へきたんだ。それだけを信じて……それだけを……。
「君……」
乙女、顔を上げて星子を見た。
「ありがとう、君のいうとおりだ。茜さんは、きっと、僕を待っていてくれている。きっと……」
「ええ、もちろんよ」
星子、しっかりと頷いた。
でも、牧師さんの話じゃ、茜さん、近頃はあの待ち合わせ場所にはきていないという。病気でもしたのか、それとも、何か、事情があるのかもね。
「ね、茜さんと連絡を取れないの? 電話かけるとか……」
「うん」
うなづいた乙女、車を道路わきにとめると、携帯電話を取り出してキイを押した。
でも、じきに歯噛みして、携帯電話を握りしめた。
「どうしたの?」
「ダメだ、茜さんのケータイ、番号が使われていないってさ」
「うそっ、じゃ、住んでいる家に電話は?」
「いや、茜さんがどこに住んでいるのか、ご主人がどういう人なのか、僕にはまるでわかっていないんだ」
「え?」
「僕も茜さんも、お互い、プライバシーにはなるべく触れないようにしていたし……そのほうが、逢っている時もつらくないからね……」
「……」
たしかに、それはいえる。デイトは、恋人達にとって、現実とはかけ離れた別世界だから。その時、二人はドラマのヒロインでありヒーローなんだ。
「じゃ、茜さんとは連絡の取りようがないわけ」
「うん……」
乙女、顔を曇らせた。
星子にも、乙女のつらい気持ちが痛いくらい伝わってくる。でも、どうにもならない。
その時だ。乙女の携帯電話が鳴り出した。
誰からだろう。もしかして、茜さんからの電話かも……そんな予感がする。
星子、一瞬、期待を込めて見つめた。
でも、応答する乙女の表情は、暗くこわばっていた。
「あ、どうも……ええ、今、長崎です……え? ターゲットが?……」
乙女、星子を気にしているように声をひそめて電話している。どうやら、星子に聞かれては都合が悪い内容らしい。
「わかりました、今からそっちへ向かいます」
通話を終えた乙女、こわばったままの顔を星子に向けた。
「星子さん、悪いけど、ここで車を降りてくれないか」
「えっ、どうして?」
「急用が出来てね、今からいかなきゃならないんだ」
「用事って、どんな?」
「うん、ちょっとね……」
乙女、口を濁したけど、どうも、おかしい。
「わたし、やっぱり、一緒にいきたいな。こんな所で降ろされても、困るし、あなたのそばにいたいから……ね、いいでしょ?」
星子、甘えるようにいった。ほんとは、乙女のことが心配になったからだけどね。
でも、乙女の顔、別人のように冷ややかだった。
(つづく)
追記 本日と明日、二回にわたって続けます。よろしく!
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楽しみにしています♪
今日は暑かったですね・・・
会社に来ていく服が困ります。
でも、どうやら明日からまた涼しくなるみたいです。
ヘ(-′д`-)ゝヤレヤレ..
2007/9/28(金) 午後 11:15 [ - ]
星子さんの元の時空へ戻りたいという思い、切ないですね。
今、できることを一生懸命やっている星子さんの姿、カッコいいです!
2007/9/29(土) 午前 5:13 [ のりぷこ ]
本当の愛を探しに旅をする星子さんだから、乙女さんのことも放っておけない、星子さんのよい所だよネ〜。でも終わりの言葉は下心あり?(笑)
2007/9/29(土) 午後 11:03