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星子、頭の中が真っ白になった。
宙太のいったとおりだった。乙女は、殺し屋だったんだ。
乙女、ナイフを、写生中のオジサマに向かって手裏剣のようにかざした。
「星子さん、ここから動くなっ」
宙太、低い声でいうと、体を屈めながら、植込み伝いに素早く移動していく。その手には、いつの間にか拳銃が握られていた。
マサルも、ライダースーツのポケットから拳銃を取り出して、乙女に狙いをつけた。乙女が手裏剣を投げる瞬間、引き金をしぼるつもりらしい。
こんなにステキな観光スポットで、じきに、恐ろしいことが起きるかも……星子、ただ、茫然と立ち尽くすしかなかった。
その時、だった。
庭園の入口からサングラスをかけた男が足早に入って、オジサマに近寄り、耳打ちした。
「なに、家内がここへ?」
オジサマ、立ち上がった。
家内っていうと、オジサマの奥さんのことらしい。
じきに、庭園の向こうから、パラソルをさした和服姿の女の人があらわれた。まるで、オペラの蝶々夫人のように艶やかで美しい姿だ。歳はまだかなり若いし、オジサマとは親子ほどの差がある。
「なにしにきた?」
オジサマ、ちょっと不機嫌そうにいった。
すると、奥さん、
「ごめんなさい、邪魔してしまって……でも、マフラーをお忘れになっていたので、届けにきたんです。お風邪でもひかれたら大変ですから……」
そういいながら、和服の女の人、バックの中からマフラーを取り出して、オジサマの首に巻いてやろうとした。でも、オジサマ、邪険に手を払いのけて、自分でマフラーを巻き始めた。
なんとこと、せっかく、届けに来てくれたっていうのに。夫婦仲はうまくいっていないみたい。
とにかく、アブナイ! 早くどかないと、大怪我するかも……。
星子、今にも叫び声をあげそうになって、口を押さえながら、乙女に目をやった。
ん? 乙女の様子がおかしい。ナイフを振りかざしたまま、凍りついたように動かない。
どうしたんだろう。宙太とマサルも、けげんそうに乙女を見ている。
と、立ち上がったオジサマが不機嫌な顔で、いったん。
「私は今から人に会うから。後片づけを頼む」
「はい」
「絵を汚すなよ、いいか、茜」
――茜?……。
一瞬、星子、ハッとなった。たしか、乙女の恋人も、茜という名前だった。
乙女の様子から見て、あの和服の人が……茜さん!……。
星子、茫然とみつめた。
(つづく)
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予告通り、茜さんとその旦那様でしたネ〜! 茜さんのことはあきらめた?かのような乙女さん。でも、これからいろんな(笑)追っ手もかかることだし、これからどうなるんでしょう〜?
2007/10/5(金) 午後 11:11
先生こんばんは!随分前にもコメントを書き込ませていただいた吉田です。オフの諸事情で暫くネットから離れていたのですが、久しぶりに拝見させていただき、番外と新シリーズに感激です!星子シリーズを読むときのこの幸せな感じがたまらなく嬉しいです!星子さんや乙女さんのこれからの動向・・・気になります!
2007/10/5(金) 午後 11:14 [ and*nte**7 ]
茜さんの旦那様の態度ヒドイです!
これじゃあ、乙女さんと恋に落ちるのもうなずけます。
星子さんと宙太さんのやりとりやっぱりいいです♪スカッとします(^^)。
2007/10/7(日) 午前 6:15 [ のりぷこ ]
娘が面白い本を読みたいというので、昔好きだった星子さんシリーズを思い出し検索したら、先生のブログを見つけました。新しいシリーズが始まってるのを知り、思わず一気に読んでしまいました。一人旅シリーズが大好きだったので、またそのころの星子さんに会えて、うれしくてなつかしくて、続きがとても楽しみです!
2007/10/7(日) 午前 11:05 [ ぷーちゃん ]
はじめまして、瑠璃と申します。
10代を思い出しながら、日々日参させていただいています(^-^)/(笑)
私は長崎県在住なのですが、またもや地元が舞台となっていて嬉しい限りです。
地元が舞台だと、星子さんや宙太さん達を探しに行きたくなってしまいます(笑)
PS:長崎は本日7日から『おくんち』です(^O^)/
2007/10/7(日) 午前 11:46 [ 瑠璃 ]
続きが気になります〜!!
楽しみデス☆
2007/10/8(月) 午後 2:40 [ - ]