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「やめて!」
星子、無我夢中でとびだした。
宙太と春之介が戦うなんて、それも、春之介は仕込み剣を抜き放ち、宙太を斬ろうとしている。
絶対に、あってはいけないことだ。何が何でも、止めなくては。
「せ、星子さんっ」
「危ない、ハニィ!」
宙太も春之介も、身構えたまま、ハッとなって星子を見た。
「やめて! お願い! やめないと、もう、絶交よ! 二度と会わないから!二度とね!」
「星子さん……」
「ハニィ……」
宙太と春之介、困惑した顔で立ちつくした。
その時、ふいに、ザーッっと音を立てて竹林が揺れ始めた。
かなり強い風が吹きつけてきて、大きな竹がしなり、枝がざわめき、恐いくらいだ。
星子、足もとがよろけて、あわてて、竹に掴まった。でも、さらに、強い風が巻き起こり、星子、しなった竹にはじき飛ばされた。
「キャーッ」
「ハニィ!」
「星子さんっ」
宙太と春之介の声が、突風に巻かれながら、どこかへとんでいく。
星子、急に頭の中が真っ白になって、そのまま、意識を失った。
○
「ハーイ、ハニィ! おまっとうさん!」
宙太、新幹線のぞみ号の座席に、駅弁を二つ置いた。
一つは、定番の幕の内。もう一つは、専門店の名物カツサンドだ。どちらも、旅のお供には、申し分ない。もちろん、ゴンベエへのハンバーガーもしっかりと買ってきてくれている。さすがは宙太、ぬかりがない。
「ありがと」
星子、素直にお礼をいった。こういうことには、つっぱりハニィの星子チャンも、格別、素直になるってわけ。
「でも、ほんま、よかった、星子ちゃんが、また、旅にでかけられるようになって」
ゲンジロウ、嬉しそうな顔でいった。
「ほんと、ほんと」
マサル、右京や左京、タケルや小次郎も、うなづいた。星子のあらたな旅立ちに、仲間達がみんなで見送りにきてくれたのだ。
「竹林で突風に飛ばされて気を失った星子ちゃん、ぐったりしてたからな。もう、ダメかと思ったぜ」と、宙太。
「おさわがせレディも、ジ・エンド。これで、俺達も安心して暮らせるってわけ」と、タケル。
「よくいうぜ」
大笑いの宙太達だ。
日頃は生真面目な顔が目立つ右京も、静かに微笑んでいる。その右京が、ふと、いった。
「それはそうと、春之介君はどうなったんだ?」
「竹林から姿を消したきりさ」
宙太、肩をすくめた。
「突風に吹かれて、どこへいったやら。マサル君と手分けして探しているけど、今のところ、手がかりナシだ」
「どかで、また、悪党狩りでもはじめるんじゃないのかな」と、小次郎。
「あくまで、男の義、男の道を貫こうってわけか」と、右京。
「星子ちゃんの愛を獲得するためにかい。殊勝な心がけだっていいたいけど、すでに、勝負あり。オレの勝ちや」と、ゲンジロウ。
「とんでもない! 星子ちゃんが相手にするわけないって。んな、星子ちゃん?」と、左京。
「そうそう、勝者はこのボクチャンでーす!」
と、タケル。
「もう、みんな、いい加減にしろよ。星子さんは、もう一度、ほんとの恋、ほんとの愛を探しに旅立つんだ。静かに見送ってやろうや」と、右京、たしなめるようにいった。
「そう、その通りだ」と、マサル。
はしゃいでいたゲンジロウたちも、シュンとなった。
と、宙太が、
「ま、そうだけどさ、ほんとはみんな、さびしいんだよな。星子さんが、また、一人旅に出かけてしまうのがさ」
ちょっと気まずくなりかけた雰囲気を、和らげるようにいった。
「もしかすると、旅先でほんとの恋を見つけて、もう、二度と戻ってこないかも……そんな思いが、みんな、あ、もちろん、俺にもさ……」
宙太の顔に、不安と心配、それに、悲しそうな翳が流れた。
「……」
右京達、黙ったまま、目を伏せている。
「でも、それはそれ、その時は仕方ないさ。星子さんが、ほんとの恋を見つけたんなら、素直に祝ってあげようぜ。俺達みんな、星子さんの幸せを願っているんだしさ。な、そうだろ?」
宙太が見つめると、右京達もじきにうなずいた。
「そうや、宙太のいうとおりや」
「星子さん、ほんとの恋をしっかりさがしてこいよ」
「今度こそ、見つけるだぜ」
「いいな、星子ちゃん」
「!……」
星子、微笑んだ。同時に、熱いものがこみ上げてきた。
「ありがと、みんな、ほんとに……ありがとう……」
なんてステキな仲間達なんだろう。このまま、皆とずっと一緒にいたい。でも、そうもいかない。本当の恋、真実の愛を探して、わたしは、今、旅立つ。旅立たなくては。
それが、わたしにとって、生きるってことなんだから。
発車ベルが鳴りだした。
いよいよ、新しい旅が始まる。
「じゃ、いってきます!」
星子、気持ちを振り切るように明るい顔を作りデッキに乗り込んだ。
その時、「待って、星子ちゃん!」
そう叫びながら、ホームに駆けつけてきたのは……ん、春ちゃんじゃ!
それも、着流し姿ではなくて、オシャレなレディ・スタイルにド派手なお化粧顔だ。
ということは、いつもの、春之介ってことだ。
「お、おい!」
「は、春ちゃん!」
宙太達も、ビックリ、唖然となった。
「よかったわ、間に合って! はい、星子ちゃん、お餞別のかわり!」
春之介、星子に包装箱を差し出した。
「あたしの手作りクッキーよ。旅のお供にどうぞ」
「ありがと、春ちゃん……」
「星子ちゃん、ステキな恋を見つけてきてね。あたしは、今まで通り宙太さん命! 宙太さん一筋よ!」
そういって、キョーレツなウインクを宙太にバシッ。
「う、うわっ」
宙太、悲鳴をあげた。
「マサルくん、逮捕! 春ちゃんを逮捕しろ!」
「無理だな。俺たちが追っているのは、あくまで、悪党狩りの男・伊集院春之介だ。ミス・アンド・レディの春ちゃんじゃないぜ」
「そ、そんなぁ」
宙太がガクッとなった時、デッキのドアが閉まった。
いよいよ、発車だ。
「今度こそほんとにいってきます!」
星子、ガラス窓越しに手を振った。
「いってらっしゃい!」
「いいオトコ、見つけるなよ!」
「あとから追いかけるからな!」
もう、皆、勝手なことばかりいってるよね。
でも、とにかく、
わたし、旅立ちます!
いい恋さがし、幸せさがしの新しい旅に!
いってきまーす!
(おわり)
追記 どうにか、完結しました。星子さん、あらたな恋さがしの一人旅に出発したわけですが、はたして、この先、どうなりますやら。作者の僕にも、まったく、わかりません。春ちゃんもダブル・キャラで登場するのかな。その新しい旅については、また、機会があったら、お目にかけたいと思います。それまで、しばらく、留守にします。皆さんも、どうか、お元気でね。
では、星子の新しい旅立ちに、カンパイ!
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完結、おめでとうございます&お疲れ様でした〜^^
星子さん一人旅の始まりですネ〜。見送る皆の、追い掛けるという台詞、いい男を見つけるなという勝手な台詞、それに、春ちゃんがダブル・キャラになりそうで、行く先々での巻き起こる、また楽しげな事件とやり取りが楽しみです〜!
新しい一人旅、続きが楽しみです〜。先生、期待していますヨ♪
2008/1/20(日) 午後 0:44
番外編完結、お疲れ様でしたm(_ _)m
最後の最後まで楽しませていただきました+. (*゚∀゚*)゚+.゚
みんなが星子さんの事を大好きなのも再確認できて嬉しかったですw
そして何より春ちゃんと星子さん達との関係が崩れなくて良かったです…つД`)・゚・。・゚゚・*
星子さんの新たな恋さがしの一人旅が拝見できる日を心待ちにしております(≧w≦)w
2008/1/21(月) 午後 3:52 [ ゆうきあおい ]
どうもありがとうございました。
とっても楽しく読ませていただきました。
また、次回作を楽しみにまっております☆
2008/1/21(月) 午後 11:10 [ cielwine ]
センセーお疲れ様でした
楽しく拝見させていただきました(^O^)v
どうなるのかハラハラドキドキして読みましたが、
みんな仲良く、そして星子さんのまた1人旅が始まった。。。う〜〜ん今後の1人旅が楽しみです♪
2008/1/22(火) 午前 0:35
はじめまして。中学の時に星子シリーズが大好きで、皆で本を回し読みしてました。そんな私も2児の母…子どもたちも就学して、私にも少し時間が…ふと見ると星子シリーズの本が…懐かしくて読みました。すごくいいです。当時はまだ中学生で全巻持ってなかったけど他も読みたくて探してますが…そしてこのブログにたどりつきました。
まさか続きがあるなんて…すごくうれしいです。
でも…文庫にしないのでしょうか…またじっくり読みたいです。
昔のように本をめくって…昔の星子シリーズを再出版もしてほしいですが、ここまでわがまま言ってはいけませんね…せめて新シリーズ文庫化首を長くして待ってます。お願いします。
2008/1/23(水) 午前 10:40 [ ねこ娘。 ]
星子シリーズ大好きです。高校3年ですが小学生のときに
古本屋で初めて手にしたときから今までずっとはまってしまいました。古本屋をたくさん回ったりしたりしています。昔、誰が流行っていたのかなどのカルチャーギャップ?を探すのも楽しみの一つです
2008/1/30(水) 午後 6:39 [ tre*tm*nt*oy1*89 ]
山浦先生はじめまして…!
やっとこのブログにたどり着けました。
ゆうきあおい様、ありがとうございます!
私は小学5年生からずっと星子シリーズのファンです…!
今はもう3姉妹の母、29歳になりました。
でも星子さん達をすきな気持ちはあの頃のままです!
先生がお元気なようで安心しました…
先生、大好きです!
いつかまた文庫で星子さんに会いたいです。
このブログは私の日々の希望になりそうです。
2008/2/29(金) 午後 9:41 [ さくらちゃん ]